時事評論は難しい!?(六カ国協議:柳沢発言問題) [時の話題]
このBLOGでは、時事問題についての論評を意図的に避けています。
理由としては、一次情報に接することが出来ない私の立場では、今起こっている事への評価に足る情報を持っていないと考えているからです。
たとえば、今盛んに批判されている「六カ国評議」についても、実際の北朝鮮の核の開発状況は解りませんし、会議で実際に討議された議論の実態を知ることが出来ず、最終的な合意文書と各国関係者からのコメントを根拠にして論評するしか有りません。
こんな可能性だってあります。
- 韓国が、六カ国協議の枠組みを無視してでも独自のエネルギー供与に踏み切る旨の発言をして、韓国を六カ国協議から離脱させないための合意だった。
(中露の反応から見ても、為政者の判断としては、当然あり得ると思います。)
- 北朝鮮の核実験は爆縮がうまくいかない事による失敗で(通常は十数度の実験による信頼性テスト&写真の公開がセットになっている:何よりも実験時の威力が小さすぎです)、これ以上の開発を進めさせないための合意だった。
(実験のタイミングがあったにもかかわらず2度目に実験に踏み切らなかったのは、これしかないと個人的には考えています)
- 米中の間に北朝鮮が守らない場合、中国の実力行使など何らかの合意が出来ていて、中国を今後抜き差しならぬ立場に置く為の合意だった。(当然あり得る判断です。)
- 拉致問題についても、米中と、北朝鮮が進展を見せない場合の具体的なアクションプランについての合意が出来ている。
(スポンサー?の日本を枠外に置かないためあり得ると思っていますが、少なくとも進展がなければ日本政府として支援しないのは、明確になりました)
上は一例で、可能性という意味で書いていますので、これについての批評はご勘弁ください。
各国の事実認識(情報の確度)と、実際の会議の場でどんな駆け引きが行われているかが解らない限り、会議の結果を批判することは大変難しいと思います。
日露戦争時の「ポーツマス条約」締結の際も、ロシアは国内の政情不安によって継戦能力を失いつつあり、日本もこれ以上の戦争は戦費・戦力面で不可能であったにも係わらず、当然会議の場やその後の記者会見の場でもそれに触れることは無かったはずです。
(自らの弱みをさらけ出す交渉者は、どこにも居ません)
そして、小村寿太郎全権代表が国内に帰ると、実情(一次情報)を知らない日本の国内世論では戦争続行の意見が大半で、批判の嵐が巻き起こりました。
しかし、その際の事情がオープンになっている後世の我々から見ると、「ポーツマス条約」はギリギリの選択であったことは疑う余地がありません。
(ポーツマス条約は、積極継戦との在野世論のおかげで表向きには強気の交渉が出来たわけですので、今回の件も「安易な妥協はすべきでないとの世論」が巻き起こるのは必ずしも反対ではありませんが、「醒めた見方」も必要です。)
外交交渉というものの多くは、そんな要素で出来上がっています。
(それは、日常的に行われる会社間の交渉や駆け引きでも同様です。)
そして、政治家は政治的な決断をするのが仕事であり、「過程」に対してではなく「結果について責任を負う」べきものです。
(1994年の「米朝枠組み合意」とどう違うのか?は、これから実際に起こることを見ないと何とも評価できないと言う意味です。)
(何にでも妥協すればよいと言っているわけではありませんので、誤解無きようお願いします。:国家としての原理原則を示すというのも国益にあった行為であり、政治家には責任を持っていただかねばなりません)
眼前に起こっている一つ一つの事柄に敏感に反応するのではなく、こうした要素も鑑み、長い目で見、「結果」をもって評価を下して行かなくてはならないのではないでようか?
一連の「柳沢発言問題」についても同様だったと思います。
実際の発言の全文が紹介されている記事を読むと、私にはさほど違和感が感じられる発言ではありませんでした。
(参考で、引用記事を紹介しますので、そちらをお読み下さい)
しかし、新聞記事やTV報道を見ると一部のみを意図的に抜粋したり、表現を端的な物に変えたりして、「女性を機械だと言った柳沢厚生大臣」と言うような表記で、ニュアンスが大きく異なります。
元々の発言からは、不用意な発言ではあったかもしれませんが、決して辞任に追い込まれるほどの発言とは思うことが出来ませんでした。
これとても、オリジナルの発言(一次情報)に接していれば、誤解することはありませんし、マスコミから流れる「取捨選択して加工」という手続きを経た、二次情報では、誤った判断をしかねません。
書きたいとの思いがわき上がってくることもありますが、今後もそんな考え方でBLOGを綴ろうと考えています。
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(六カ国協議関連 参考:チョット違った角度からの物です)
杜父魚文庫ブログ 1994年の米朝枠組み合意
http://blog.kajika.net/?eid=478729
(1994年当時の米朝枠組み合意と今の北朝鮮を考えれば、安易な妥協がどれほど危険かよく解ると思います。)
そのとき、釣魚台は秀水市場になった…③-北京趣聞博客 (ぺきんこねたぶろぐ)イザ!
http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/entry/116898/allcmt/
(産経新聞中国総局記者のBLOGです。今回の六カ国協議をわかりやすく比喩しています。)
外交と安全保障をクロフネが考えてみた。 ノムヒョンがババを引いた?
http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/blog-entry-460.html
(柳沢発言問題 参考)
乱読雑記 全文引用すべき時
http://nobu-bookshelf.cocolog-nifty.com/random/2007/02/post_7929.html
(いわゆる女性=機械発言、適切な比喩ではないかもしれませんが、何が悪いのか私にはよく解りません)
Yahoo!ブログ - 反日勢力を斬る 柳沢発言でテレ朝内乱!
http://blogs.yahoo.co.jp/blogger2005jp/45841129.html
(柳沢発言について、橋下弁護士の言うことが最も私には賛同できます)
もし、メディアの報道を鵜呑みにして一喜一憂するようなブログの記事なら、あまり必要があるとは思えませんが、自分で少し調べたりして、ある程度の確信を持っているなら、記事にしてもいいのではないでしょうか。
他の人に見てもらうことで自分の誤りに気づくことができるかもしれませんし、自分の見解が正しいことを再確認できるかもしれません。もし、仮に、後で間違いに気づいたなら訂正すればいいだけの話です。
そうでないと、今回の柳沢発言のように、野党やそれに組するメディアが、訳の分からない理屈で、しかも、国民を代表しているかのような顔をして発言しているのを許しておくことになります。
サイレントマジョリティがいつまでもサイレントのままだと、一部のおかしな連中がおかしな方向へと日本を持っていってしまいそうです。例え、声は小さくてもブログ等で「おかしいことはおかしい」と自分の意思をはっきりと示していくことも大切なのではないでしょうか。
by くらじ (2007-02-21 23:00)
くらじ★さん、いわゆる柳沢発言に関して、私も同様に思います。
新聞・TV等のマスメディアの大半は、オリジナルの発言を確認していないのか?、それとも意図的なギミックを使っているのか?、重箱の隅のご飯粒に光を当てて、それがすべてであるかのような報道をする場合が多く見受けられます。
私自身、読んでいる新聞は一紙で、TVも時間帯の合う特定の番組しか見ることが出来ず、BLOGをはじめとする商業ベースではないnetが、貴重な情報源になっています。
また、それによる世論形成も、もはや無視できない重要な要素となってもおり、これというのも前提はBLOGでこれらを取り上げる人たちが居てのことだと思います。
拙筆なため意図がうまく伝わっているかどうか不安なのですが、この記事を書こうと思ったのは、今回の「六カ国協議での合意文書」に対するる多くのブロガーの反応が、「安倍首相に即座に愛想を尽かした!?」かの論評が多い様に感じられ、上に書いた「世論」らしきものが形成されつつあるように感じたことが切っ掛けでした。
外交交渉という物は、各国の「思惑」や「つかんでいる事実」などの「様々な条件群」によってなされている物で、一次情報を知らない立場では「過程」である「合意文書」を持って判断すべき物ではなく、「実際に起こってくる変化」や「結果」をもって判断すべき物ではないのか?、「醒めた目」が必要ではないのか?と言うのが、私の書きたかったことです。
この件についても、大きく刺激を受けるBLOGなどのnet情報は多くありましたし、それらを否定しているのではないつもりです。
(私の場合は、今のところこういうスタンスという意味ですので....。:とは言っても、自分の考え方の正邪を問いたい場合など、現実には時事問題的な物も書いていますね!?)
物の見方、考え方に大きく刺激を与えてくれるBLOGが見たいと思いますし、可能であれば私もそんなBLOGが書いてみたいものです。
(くらじ★さんのBLOGも、私にとってはそんなBLOGの一つです)
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2007-02-22 12:12)
いいですよ。たいせいさん。この書き方はすごくいい。
私は読んで感動しました。
by (2007-02-22 23:47)
STEALTHさん、冗長で意味不明になってしまいはしないか?と、恐る恐るアップした記事で、こんな評価の言葉をいただき言葉になりません。
今後ともよろしくお願いいたします。
nice! &コメントありがとうございました!
by たいせい (2007-02-23 09:38)