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「能登地震」瓦屋根に関する報告(新潟県中越沖地震、お見舞い申し上げます) [屋根には「瓦」]

 昨日、新潟県中越地方でまた大きな地震が起こりました。
 被災地の方々、関連の方々に、心よりお見舞い申し上げます。

 

 門前町支所駐車場のアスファルト

 3月25日に発生した能登半島地震の視察に「愛知県陶器瓦工業組合 技術委員会」のメンバーとして6月28日に行ってきましたので、その際の私個人としての報告を書かさせていただきます。

(最後に愛知県陶器瓦工業組合の現地調査報告書を、資料として付けさせていただいています)

 

 まず、地震発生後3ヶ月経っての視察だったのですが、被災地の視察は一言で言うと、屋根工事に於いて「どんな工法での施工で被害があったのか?」「どんな工法は大丈夫であったのか?」を明らかにする事が目的であり、被災後直ぐの視察では現地の屋根工事業者が当面の応急措置であるブルーシート掛けに忙殺されており、被災箇所の修理がある程度進んで構造的な差異が明らかになった時期でないと実効性を持たないことが、これまで数回実施された被災地の視察で明らかになっており、やや時期をおいての視察となりました。


 まず一点、この写真をご覧下さい。

 門前町支所横の鈑金屋根の物件

 今回の能登の地震でも、マスコミ報道のほとんどは「木造軸組在来工法-瓦葺き」の被災映像ばかりが紹介されていました。

 しかし現実の被災地には、このように鈑金屋根やコロニアルの屋根も家も被災しています。

 阪神大震災の場合もそうでしたし、今回の能登半島地震でもやはりこのような家は存在していました。

 

 ただしどの被災現場でも現地では圧倒的に瓦屋根の被災家屋が多いわけですが、これは前に記事に書きましたが「建物の災害強度の改善」がはかられた「昭和56年の建築基準法改正」以前の建物は現在の建物に比べ地震に対する要求強度が格段に劣り、そしてそれ以前に建てられた古い建物は結果的に「木造軸組在来工法-瓦葺き」の建物が多いために、被災家屋の多くに瓦が乗っかっていると言うことに過ぎません。

 現に阪神大震災の被災現場でも、鈑金やカラーベストで葺かれた古い建物の多くが実際に被害に遭っており、また瓦屋根でも新しい家は十分地震に耐えていて、屋根材の違いが地震による被災と直結しているかのような議論は全く無意味です。

 

 今回の能登半島地震でもこれは明らかで、建築学会などの地震に対する被害報告書群を詳細に検討しても「屋根が重いから壊れた!」などの記述は全く発見することが出来ませんでした

(そもそも能登の場合ほとんどの家の屋根が和瓦で、結果的に被災家屋の写真のほとんどが和瓦だというのは当たり前の話ですし、冒頭の写真のようにわずかしかない鈑金屋根の家でも被災しています。)

 

   阪神大震災で被災した鈑金屋根

blog山本大成 「かわら屋の雑記帳」「瓦屋根は地震に弱い」は、正しくない!?
http://blog.so-net.ne.jp/kawaraya-taisei/2007-03-13


 地震による災害現場の視察ポイントは、屋根業界から見て二つあります。

 一つ目のポイントは「瓦屋根であるかどうかで、被災家屋の被害に大きな違いがあるか?」と言う点で、この点につきましては前述のように「瓦屋根であることが主因となっている被災家屋はほとんど無い」と見受けられました。

 今回の現地調査は、瓦工事業者・行政情報の聞き込みと、門前町を中心に被災現場の現場調査を行ったわけですが、被災後時間が経っていることもあり倒壊・半壊家屋のほとんどは解体されていました。
 現地に残る修理可能な建物(ほとんどが外装)を見る限り、古い建物もかなり残っており、解体後の空き地の分布状況からも被災家屋が点在しているという印象であり(面として部落が丸々被災したという状況ではない)、新聞報道や先ほど紹介した「建築学会-能登地震リンク集」で紹介されている「報告書群」で書かれている「近年起こった同規模の地震に比べ、全壊・半壊した家屋の数は少なかった」という内容を裏付ける印象でした。

(壊れる家には、「開口部が広すぎる」「虫害・腐朽の進行」など、壊れる理由があったと言うことです。)


無事な建物の方が遙かに多いです(門前町から車で5分地点)

  解体後の空き地

  解体されるであろう建物

8495984.jpg 8495983.jpg 8495989.jpg 棟のブルーシート

2007年3月25日能登半島地震 - PukiWiki(建築学会-災害委員会)
http://wiki.arch.metro-u.ac.jp/saigai/index.php?2007%C7%AF3%B7%EE25%C6%FC%C7%BD%C5%D0%C8%BE%C5%E7%C3%CF%BF%CC

 



 もう一つのポイントは「瓦屋根としての被害状況はどうか?」と言う点で、これについては幾つか明らかになった点がありました。

 

 建築基準法での屋根瓦の災害に対する要求性能として書かれているのは「脱落無きこと」と言うことで、その点で今回の能登地震を点検すると、平部である「桟瓦」、両脇の妻側の「袖瓦」、軒側の「軒瓦」については、ほとんどの被災建物で全く落下やズレなどは起こっていませんでした。

 被害があったのは、棟(屋根の一番上部)のみで、それも建築基準法で言うところの「落下・脱落」はほとんど無く、のし瓦のズレと棟全体のゆがみという形での被害が大半でした。

8495985.jpg 棟の被害例

8495991.jpg のし瓦のズレ

8495981.jpg 棟の歪み+のし瓦のズレ

 棟部の施工法に関しては、全国各地でその土地の気候風土に合わせて様々な施工法が存在しており、どの方法にも一長一短ありますが、能登の場合は次のような施工法が一般的でした。

 

8496072.gif作図:碧南窯業㈱ 神谷社長


 実際の施工は、この棟の中を「葺き土」で盛り空間を埋た施工となるわけですが、葺き土の質(粘り・耐水性など)により、長年の風雪で「葺き土」が流失しているケースが多く見受けられ、中身が空洞だと皮だけのミカンのような物で地震の揺れによって瓦がずれたり棟が歪んだりと言った形での被害が大半でした。(堅結はしっかりされていますので、落下・脱落はほとんど無し)

 葺き土について言えば、「施工年代」「施工業者」により様々な質の「葺き土」が存在しているとのことで(現地屋根工事業者聞き込み)、比較的新しい施工でも被害を受けている棟は存在しており、今後「葺き土の質」についての指導が必要であると考えます。

(石川県でも金沢あたりとは違い能登では、屋根工事業者自身が山から葺き土を採取して土質を改質して使うケースが多いとのことです。)

 

 なお、家屋としての被害は思いの外軽微であったにもかかわらず、棟の被災地域は思いの外広く感じられたのですが、第一番の要因は「葺き土の流失による棟の空洞化」であったと考えられます。



 数年前の中越・宮城や福岡の地震の場合も、今回と同じように平部(桟瓦)は無被害で棟部に被害が集中していました。


 ただし、この両者の場合はモルタルにより棟全体を一体化させる工法が主体で、被害状況としては、一体化した棟部と野地(家本体)との接合部に使う「強力棟」などの固定金具の強度不足により、重量物である棟部全体がそのまま落下するような被害が多く、二階の大屋根から脱落した棟(特に隅棟・下り棟)が一階の屋根を突き破り階下まで落下するような被害が続出しましたが(最新の施工では堅結金具の使用数量を増やすなど対策されています)、能登地震の場合はそのような被害はほとんど無かったと聞いています。

8496144.jpg 8496145.jpg
新潟県中越地震-山古志村

8496143.jpg 新潟県中越地震-長岡市

8496142.jpg 8496141.jpg
福岡県西方沖地震(左側の隅棟は、訪販業者による誤ったリフォームの結果)


PS.
 新潟県中越沖地震については、まだ詳報が入っていません。

 まだそう言う段階ではないと承知はしていますが、最近のマスコミはワイドショー的に面白おかしく取り上げる傾向があり、被災状況の検討も無しに無責任に「瓦屋根」が原因となって家屋が倒壊したかのような印象を与える報道が横行しています。

(マスコミだけではなく、能登地震の際に建築を知らない土木専門の大学教授がコメントを求められ、無責任に「瓦は重いから家が壊れた」等というコメントを出していました。:業界として抗議しましたが、後の祭りです)

 公共の電波などでコメントを出したり報道する方は、社会的な影響を自覚して、最低限昭和56年の建築基準法改正の内容と、それ以前の建物のほとんどが瓦屋根だったことを勉強して欲しいと思う、今日この頃です....。


(この方達の無責任なコメントで、倒産や廃業により同業者数は10年間で半数近くまで減り、今もなお壊滅的な状況です。)


PS2.
 新潟県中越沖地震の起きた時間、私は年に一度の家族サービスの東京ディズニーランドでした。

(台風の中14日の午前3時に家を出て、台風の嵐の中を追かけっこで一泊。:そうそう休めないので強行しました)

 大変ゆったりとした長い周波数の揺れが、かなり長く続いたように感じられました。

 この周波数の地震波だと、家屋に与える被害は大変な状況かもしれぬと、冷や汗が出ました....。


8496067.jpg 8496069.jpg


 今の市況で遊びに行っている場合ではないとの、「天の声」だったのでしょうか?


(資料:愛知県陶器瓦工業組合「能登半島地震現地調査報告書」)

能登半島地震現地視察及び調査について

平成19年7月9日
愛知県陶器瓦工業組合
技術環境委員会

 2007年3月25日(日)午前9時42分ごろ、北陸を中心に強い地震があり、石川県の七尾市、輪島市、穴水市で震度6強、志賀町や能登町などで震度6弱、珠洲市で震度5強を観測した。翌々日3月27日の中日新聞によると、死傷者計211人、住宅の全半壊計225棟という被害状況で、震度のわりには、被害は少なく、被害が抑えられた原因としては、①日中で逃げやすく②強固な地盤③低い人口密集度が要因に挙げられている。また、住宅被害で見ると同じ震度6強を観測した宮城県北部地震(M6.4)が住宅の全半壊が5,000棟超であるのに対し能登地震(M6.9)では225棟と極端に少なく原因としては地元特有の強い海風や雪対策のために柱を太くした民家が多かったと指摘する声もある。また、間口を広く取るために前面の壁や柱を少なくした店舗への倒壊被害が目立っており、震災被害を低く抑えるためには、住宅の構造体(壁・柱など)を強くするという教訓が改めて示されたという報道がなされている。

 今回の災害に際して石川県瓦工事協同組合から依頼があり、ボランティアで行う屋根部分の応急措置作業用にブルーシート400枚を石川県へ発送し、地元瓦工事業組合と連携した被災者救援を組合として早急に行った。(H19.3.28発送)

 尚、視察にあたっては、石川県瓦工事協同組合様と話し合い日程を調整した。当日は、石川県瓦工事協同組合 山貢理事長、長井一則専務理事に同行して頂き現地を巡回した。

調査日時  平成19年6月28日(木)~29日(金)
参加者   担当副理事長 杉浦勝典
技術環境委員長 岡部誠司、技術環境副委員長 篠田裕重
技術委員:片岡泰蔵、吉岡初浩、山本大成、神谷彦二
      事務局:稲垣竜児

平成19年6月28日
石川県瓦工事協同組合との懇談会
場所  お料理あめや
参加者 石川県瓦工事協同組合 山理事長、蕪城副理事長、長井専務理事、杉本瓦工業㈱、能登窯業、(有)荒井瓦店、他1名  計7名

山理事長あいさつ、杉浦副理事長あいさつに引き続き、岡部委員長の司会により議題に沿って懇談会を進行した。

議 題
1.能登半島地震の状況報告及び意見交換の主な内容
〔工事組合さんからの意見〕
・門前町が一番被害が多かった。現在は復興が始まったところ。屋根が重たいからという話はほとんど出ていない。土蔵に被害が多かった。
・この地区は瓦志向が強い土地柄でもあり、瓦離れというのは起きていない。被害のあった屋根はほぼすべて瓦で修理を行っている。倒壊した住宅については、築年数の多い住宅で、不謹慎な言い方だが“つぶれるべくしてつぶれた”という印象がある。
・新しい住宅への被害は、ほとんど無かった。地震ではいつものことだが被害は棟に集中している。
・他県から災害屋がかなり入ってきている。(被災2日目から来ている。)こういった業者は、ラバー工法で済ますだけで、金額も高い。
・県の住宅課からは、7月24日までは、応急処置をする分について補助金が出るため、この期限までに工事を行ってほしいと言われている。これ以降は補助金が出ない。組合からは期間延長の要請はしているが…。
・金沢の方からも、応援に行ける人は入っている。中には民宿に3か月泊まり込んで修理している人もいる。
・今は皆さん忙しく資料の写真も集まらない状態。
・輪島市では、3階建の被害が多い。門前町では2階建てに被害が多い。築2年の物件でも棟のずれているところもある。強力棟を使った棟への被害状況は現在調査中であるが、壊れたというところもある。

〔能登地区工事業者さんからの意見〕
・震災から1か月は応急修理ができずシートを掛けただけであった。以前から組んでいた仕事があるので、合間にしか修理ができていない。
・シートを掛けた先から、いつになったら修理してくれるのか待ちきれないと苦情の電話がある。修理は毎日やっているのだが直しきれない。キャンセルされてもシートを掛けた手間代ももらえない状況である。修理が夏過ぎになっていしまう場合もあり、怒られるが仕方がない。
・被害は棟がほとんど。今は棟土を1日3台分は仕入れている。年間を通しての工事高は昨年とあまり変わらないと思うが、地元工事業が活気づいているのは確かである。仕事の無かった人も仕事ができた状況にある。
・平部は49枚判がほとんど。銅線が切れてずれているものもある。また、半栽瓦が留めてないためずれているものもある。
・瓦の緊結…49判:銅線縛り
56判:亜鉛挽き釘
53判:ステンレススクリング釘 55mm
 被害にあったのは、56判くらいまで。
※65mmを使うと野地板に突き抜けてしまい北陸では結露して水滴が落ちるため使えない。

〔棟の施工〕
・棟は棟土での施工がほとんど。作ってるところにより差はあるが、能登の棟土は砂っぽく、今回被害にあった棟でも土が流れてしまって空っぽのものもあった。
→どの地区でも、地震が起きると、この地区の土は良くないと言っている。土だけでは限界がある。なんばんなどにしていった方がよいのでは…。
・強力棟、棟につかの立ってるものなどは基本的に棟と屋根が一体になっているため大丈夫。
・強力棟は土台との止め方に問題あり。5段・7段の棟になると強力棟の止め方によって重さに耐えられない部分もあるようで、棟がそのままずれてしまうケースもあった。
・地震の揺れ方、揺れの方向と住宅の建っている位置により被害に差が出ている。
・今回補修してみて土が無くなっていると修理はしやすかった。モルタルだったとしても壊れる部分はあると思うが、そうなれば直すのは大変だと思う。補修しやすい棟ということも考えていった方がよいのでは。
・瓦が落ちないようにと言われるが、施工価格が高ければ丈夫な良い施工はいくらでも出来る。工事単価を瓦メーカー主導で安くしてしまうと、全体の価格もその値段になってしまう。そうなると、きちんとした施工はできない。メーカーもそのことを分かってもらわないと。
・修理価格の目安価格が提示できれば、悪徳訪販対策になるのでは。
→組合の中では、目安金額を出している。但し、お客さん向けには出していない。悪徳業者対策としての喚起広告は組合で出した。
→施主にすれば3倍払うから早く直してくれという人もいる。統一した価格を出すことは正論に思えるが、そうでもないこともあるのかも。緊急事態では価格が上がるのも適正かも。
→いい加減な仕事で、10倍とかの価格の例もある。こういったものとの判断にはなればよいのでは。


輪島市門前町総合支所を訪問〔山口支所長に話を伺った。〕
・門前地区は、世帯数3349世帯。47.3%が老人であり子供は金沢市などに出ており、週末にならないと戻ってこない。子供が金沢の業者に修理の依頼をしているケースもある。
・ブルーシートは供給しているが間に合わない。組合でブルーシートを持って補修に回ってくれたのは助かった。ありがとうございましたとのこと。
・損壊の度合いで支援が決まる。20~30点で半壊扱い。それ以下は一部損壊で支援金は一時金の2万円しか出ない。
・点数の判定は、県の建築士会の人が入った調査班が巡回して判定する。1回目は外観のみの判定をし、2回、3回と巡回し判断を下すとのこと。
・屋根は全壊でも15点。屋根が全部落ちて建物が残ったため、一部損壊というケースもあった。基礎、柱が重要ポイントで柱が壊れていれば即20点となる。
・18、19点の方が気の毒である。
※別紙、輪島市被害状況集計資料をご参照ください。
  

調査のまとめ
今回の能登半島地震では、近年発生した同程度の地震に比べて全壊・半壊した住宅の数が少なかったと新聞各紙などで報道されているが、実際に現地を巡回した感想としても同じような印象を得た。
これは、地元特有の強い海風や雪対策のため柱や梁など住宅の構造体を丈夫にした民家が多かったためと指摘する声が多く、地震調査をするたびに技術環境委員会として考察してきた“地震に対しては住宅の構造体の影響が極めて重要で、屋根の重さによる影響はない”ということが、改めて示される結果であった。
棟の被害についても、この地区の施工法ではのし瓦を銅線ですべて緊結するため、飛散して脱落することがあまりなく、近年の地震での棟被害と比べて被害が抑えられている印象を受けた。


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大成さん、こんばんは。見事なレポートですね。さすがプロ、視点が違うなと感心いたしておりました。

私も多少は建築をかじっておりますので、地震になるたびに殊更に瓦屋根の倒壊家屋を映像に仕立てるマスコミには辟易しておりました。私の故郷、能登でそれをやろうと思っても、そもそも瓦屋根の家しかないからどうするのか、と思ってニュースを見つめておりましたが、絵になるほどの倒壊家屋が殆どなかったのでしょう。それほど「瓦」の責任にした報道は無かったように記憶しております。

私の実家も、築百数十年の、重たい瓦が沢山乗った家ですがびくともしておりません。(むしろ台風の風雨で、経年の為に脆くなった北側の壁が傷むのではないかと心配しております)

最後の、報告書の中で、業者の相場の話などが出ておりましたが、どうもこのあたりは県民性が出ていけません。ちょっとでも余計にだすからうちを先にやってくれ、などと言い出す人間が多いのが石川の県民性です、恥ずかしながら。でも、他県からいかがわしい業者が入ってきても、地元のつながりを優先する土地柄ですので、あまり田舎に行っても相手にはされないはずです。今までの付き合いを裏切って、下手に他県の業者へ依頼しようものなら、後の生活で不自由しますので、そういう選択は中々出来ないでしょう。

しかし、今回の新潟の地震の折は、千葉県にお越しだったのですね!私はあの地震の時はクルマで移動中でまったく気づきませんでした。(船橋のららぽーと付近に居りました)本当は好天でゆっくり過ごしていただけると良かったのですが。また近くへお越しの事がございましたら、ぜひ私のブログへもお声がけください。
by (2007-07-18 00:44) 

このレポートすばらしいです。勉強させていただきました。
地震の被災地の映像で木造住宅+瓦屋根の良さも発見しましたよ。
結果としては家の下敷きになってしまっていた方は命をおとされていたわけですが、人力と手で持てる程度の工具で中の様子をうかがうことができたのです。時間との戦いになるかもしれませんが。屋根も板金葺きは簡単に剥がすことはできません。瓦ならば手渡しで何枚も除くことができるのではないでしょうか。
考える糸口を感じました。
by (2007-07-18 09:34) 

アキラ

大地震の後には、私は建築業者としていつも同じ事を言っています。
瓦工業会には、もっと頑張って戴きたいと思うのです。

瓦を作る事も、売ることも大事でしょうが、「使う側に問題あり」なのです。
もう少し使う側に啓蒙や義務化をしないと、古い家屋の倒壊は免れません。
地震による倒壊は、天災ではなく人災そのものではないかと思うのです。

今回の家屋倒壊の映像をみると、野地板がベニヤ板になっていて瓦のずり落ちが少ない、或いは完全に瓦が乗ったまま家が潰れている(瓦は現在の止め方になっていると思われる)にも拘わらず、壁の方は昔通りの土壁。

瓦を現在の止め方にするのであれば、壁も現在の建基法に沿った補強がなされていなければ、潰れるのは自明の理です。

国土交通省・建築士会・建築工業会そして瓦工業会の責任は大きいと思うのです。
by アキラ (2007-07-18 10:21) 

たいせい

 まーきんさん、能登のご実家の無事、本当に良かったですね!
 地震の第一報の際にはかなりご心配されていらっしゃったのではないかと拝察いたします。

 石川県民の県民性。
 聞き取り調査の中でも、随所にうかがい見ることが出来ました。
 災害後の視察は、何かあるたびに全国各地にお邪魔しそれぞれの屋根工事業者の方達とお話をさせていただく機会は多いのですが、今回のケースでは特に、被災されたお客様の期待に応えられず修理の着工が遅れる事への心労を、屋根工事業者の方達は非常に強く持っていらっしゃるのを感じることが出来ました。

 人間関係の濃さは、反面人情の厚さでもあり(やっかみも強い場合もあるかもしれませんが)、地域社会がまだ健全に機能していることの現れでもあるような気がします。

 今回の現地調査で安心したのは、思いのほか被害家屋が多くなかったこと。
 被災された方々は本当にお気の毒なのですが、実際に現地に行って少しですが心が軽くなりました。

PS.
 我が鬼嫁の実家も、島根県-安来市のの築後百数十年の古民家。(もちろん瓦葺きです)
 数年前に鳥取県西部地震があり心配したのですが、隣の米子市でかなり被害があったにもかかわらずビクともせず、昔の建物の強さを感じました。
by たいせい (2007-07-18 13:15) 

たいせい

 ヒゲボーズさん、能登の被災地を見て感じたのは、「真面目に建てられた建物の多い地域では、手抜き工事が発覚するようになるのでは?」ということです。
 今後、昭和56年の建築基準法改正以後の建物が多くを占めるようになると、大半の建物は大丈夫で手、抜きを行っていた○○工務店の家だけが櫛の歯が抜けるように被災するなんて事例が、出現してきそうな気がしました。
(かつて台風被害で、○○屋根工事店が施工した屋根だけ瓦が飛んだという事例が存在しました)

 そしてキーワードは、「地震に耐える構造」は勿論、壁内結露を引き金とした「虫害」「構造部材の腐朽」ではないのか?と思った次第です。

 こうした地震の度に、地場でキチンと看板を上げて古くから営業している真面目な工務店の価値がもっと見直されなければならないように思います。

 結局、能登地震で被害が少なかったのは、そうした地場の真面目な工務店が、一生懸命仕事を続けてきたことに依るものだと帰宅後思いました。

 nice! &コメント、ありがとうございました!

PS.
 「瓦屋根なら被害現場でも救出が容易」
 なるほど!と思いました。(気がつかなかった視点です)
 地震による被害があって当たり前という誤ったメッセージを伝えてしまう危険があり、メーカーや業界としてのキャッチコピーに使うのは難しいかもしれませんが、どこかで言える場がありそうですのでその際には使わさせていただきます。
by たいせい (2007-07-18 14:04) 

たいせい

 アキラさん、太平洋沿岸地域での屋根の施工法は昔は「土葺き」で、地震の際には瓦と葺き土をわざと落下させ構造を守る施工を元にした構造体で出来てていて、瓦が落下しないリーフォームが問題となるケースがあろうかと思いますが、北陸の施工法は昔からそれらとは違っています。

 北陸で桟木による「引っ掛け桟葺き」が普及したのはさほど古くなく、それ以前も「銅線による全数堅結」が標準的な施工法として採用されてきており、元々地震でも瓦が脱落しない様になっていました。
 従って、リフォームによって現在の全数堅結による瓦桟葺きとなった場合も、構造体から見た屋根の重さという面では、葺き土が使われなくなった事による軽量化の恩恵を受けるのみで、耐震性に於いて不利にはなっていません。
 また、積雪の多い地域でもあり、基本的には積雪を想定した構造で建てられていることもあり、比較的耐震性は高い建物が多いと考えています。

 但し、昭和56年の建築基準法改正以前と以後の建物では、やはり構造的な強度に大きな違いがあり、築年度による問題は他の地域と同様に存在しています。

 具体的に関連の報告書などを紐解くことは出来ませんが、3年前の中越地震を視察した私の印象では、「比較的新しい建物も被害を受けている」、「地域が面として壊滅的な打撃を受けている」との感じであり、特定地域に想定以上に激しい揺れがあった結果ではないか?と思っています。

 いずれ詳細がハッキリするかと思いますが、今回の新潟県中越沖地震ではこの視点も持って情報収集に努めてみたいと思います。

 nice! &コメント、ありがとうございました!

PS.
 「能登地震」と3年前の「新潟県中越地震」、そして今回の「新潟県中越沖地震」。
 同じ雪国で、積雪の重さを想定した構造を持っているはずなのにもかかわらず被害状況に差異があるとすると、「何が違うのか?」構造の専門家の方の話を伺ってみたいです。
by たいせい (2007-07-18 14:22) 

plusgate

たいせいさん
見事なレポートですね。
訪販業者によるリフォームによる結果は
これを見てもらえれば一目瞭然です。
今回の地震についてのレポートもお待ちしてます。
by plusgate (2007-07-18 18:37) 

もりたろう

たいせいさん。詳細なレポート、ありがとうございます。
また、私のブログへのコメントとトラックバック、ありがとうございます。

おそらく、軽い屋根材メーカーの方が高い広告宣伝費を落としてくれているので、マスコミはほとんどお客さんにならない、重い屋根材の方に原因を押し付けておきたいというのも、嘘の報道がまことしやかに流されている事の遠因ではないかとも思います。

重い屋根材のメーカーで、関西でCMを目にしたのは、最近では何年か前の三州のつるやさんくらいですねえ。淡路の組合も、阪神の震災後の一時期は見ましたが…。

だけどこれからの時代は、たいせいさんのようにブログでコツコツ発信し続ける事が、とても大切になると思います。がんばって下さいね。

私自身は、必ずしも軽い屋根材はだめというわけではなく、時所位に応じて、それぞれの素材の長所短所をよく知った上で使えば良いという考えなんですね。ただ、もっと世の中が日本の気候風土に沿った、本来の日本的な、自然を尊重し自然に順応した世の中になれば、自ずから、瓦に回帰して行くと思っていますけどね。

けっこうそういう時代、もうすぐそこまで来ていると思います。それまでお互いがんばりましょう。
by もりたろう (2007-07-18 21:42) 

obara1999

こんばんは。大変勉強になります。
我が家は典型的和式住宅ですが、築10年未満なので、能登地震、
今回の地震、いずれも震度3だったのですが予想ほどの揺れにはなりませんでした。阪神の教訓が施工に生かされてるのでしょうか。
TVで見る限り、今回地震でも倒壊家屋は屋根より壁の強度に難があったようですね。
by obara1999 (2007-07-18 22:11) 

たいせい

 plusgateさん、福岡県西西方沖地震で被害例として紹介させていただいたリフォーム済み物件は、通常の棟の中を触らずに外側をステンレスのバンドで囲っただけの難のためにやったのかよく解らないリフォームでした。
(それも最下段ののし瓦には掛けられてていなく、一体化にもなってなかったため、地震で物の見事に崩れました:ステンレスのバンドが外側から見えるので、お施主は頑丈になったと錯覚させられる施工)

 いずれ紹介したいと思い写真を入手中なのですが、最近はやりのラバーロック工法(シリコンで瓦どうしを接着して台風によるめくれ上がりを防ぐリフォーム)で、瓦と野地の堅結はそのままで、瓦どうしを接着し一体構造にしたことにより、大風で片屋根が丸ごと一枚の魔法の絨毯のように飛んで、隣家にも損傷を与えた事例や、
シリコンによって瓦どうしの隙間を埋めて瓦裏の通気性(ルーフィングとの間の)を無くした事による腐朽例なども耳にしています。

 訪販業者は、まともな工事を行いそれを高値で吹っかけるのならばまだしも、とりあえず施工が簡単(工事原価が安く)で素人にそれらしく思わせられる施工が行われている場合が大半で、何の役にも立たぬどころか、家にとって害になる施工が行われている場合すら存在しています。
 そして気がついた頃には、連絡先が不明になっていて見事に逃げおおせています。

 結局、お施主に、もっと屋根や建築について知識を深めていただくしか防ぐ方法がないのかもしれません?
(地元でちゃんと看板を上げて長く仕事をしていらっしゃる業者に話をするようにとアドバイスをしてはいますが....。)

 nice! &コメント、ありがとうございました!

PS.
 建築学会のHPで、新潟県中越沖地震の報告書類が昨日から速報ベースでアップされ始めていますね。
 今回は組合としての対応がどうなるのかはよく解りませんが、やはり顧客の居る地域でもあり、時期を見て私個人としては機会を見つけて見にゆきたいと思っています。

 また、施工の違いと地震の特性による屋根被害の違いという意味で、近日中に「3年前の新潟県中越地震」「福岡県西方沖地震」「宮城地震」の愛知県陶器瓦工業組合としての視察報告も記事にしようと考えています。
(宮城以外は私も視察メンバーの一員だったのですが、頭の中で被災状況を混同していたり記憶が定かではないので、組合としての報告書のみとなるかもしれません)
by たいせい (2007-07-19 09:04) 

たいせい

 もりたろうさん、一般のお施主は屋根材が何であるのはほとんど関心を持っていないという現状に心を痛めています。
 金融機関の支店長や商社の営業などが、三州に異動になって初めて自分の家で使ってある屋根材を見て知る。
 三州瓦の足元でも、そんな事例は山ほどあります。

 ご指摘の通り、家を建てられる方の関心はふんだんに宣伝広告費を使って情報誌やCMなどで目に触れる機会の多い、お風呂やキッチン等の水回りに向かってしまい、外装ではせいぜいサイディングまでしか気にされていらっしゃらないように感じます。

 我々のような業界人は、住宅の三大要素は「基礎・地盤」「構造」とそれらを数十年の風雪から守る「屋根」だと言うことを声高らかに訴えて、屋根に関心を持っていただくことから始まるように思います。
(設備機器はリーフォームでいくらでも変えられる。三大要素がキチンと出来ていて初めて設備機器が芋を持つのだと言うことに気づいて欲しい...。)

 関心を持って、お施主自身が屋根材を選ぶようになれば屋根の付加価値の世界が広がるはずです!!


PS.
 最近住宅雑誌なども洋風一辺倒から、「和の風情」と言う切り口に少しずつ変わりつつあるように思います。
 思うに、最も原価が安く建てられる総二階をそれらしく見せられるのが洋風住宅だったわけですが、少しづつ飽きが来つつあるように思います。
 また都市部などで斜線制限?による片流れ屋根など、屋根を見せる住宅も増え始めているように感じています。

 史上空前の燃料高騰に、相変わらず続く住宅のデフレ傾向。
 メーカーとしてはへこたれてしまいそうですが、せめて空元気を振り絞り頑張ってまいりましょう!

 コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2007-07-19 09:32) 

たいせい

 obarinさん、何はともあれ被害がなかったとの一報に安心しました。
 私の印象なのですが、石川県の建物は、雪国であり積雪や季節風を配慮した施工が行われていることと、しっかりと足場を固めていらっしゃる地元の建築関係者が比較的元気なこともあって、安心できる建物が多い感じを持っています。
(今回の能登の視察で、より一層そう思うようになりました)

 今回の新潟県中越沖地震は、まだ自分の目で見ていないので何とも言えませんがTVや建築学会の報告書類で、比較的新しそうな物件の被害例も混じっていそうなのと(外装をリフォームしてあれば解りませんが....。)、被災物件は面として存在しているのではなくて、点在しているような感じであり、能登とは多少状況が違うかもしれません?
(少なくとも棟の施工法は、3年前の視察の際に見た範囲では違っていたと記憶しています)

 建築関係者以外には難解な記事で、失礼いたしました。
 nice! &コメント、ありがとうございます!

PS.
 金沢市内で和瓦でしたら、うちの瓦を使っていただいている可能性は結構高い様に思います。(1/3くらいの確率でしょうか?)
by たいせい (2007-07-19 10:06) 

アキラ

一概に「屋根と壁の強度差」が問題なのではないと言うわけですね。
良く解りました。勉強不足だったようです。
今後も色々と教えて下さい。

地域的に面としてダメージを受けているとすると、被害が少ないと思われる家屋も「それなりのダメージを受けている」と考えるべきで、地域的に耐震改修がなされる事が望まれるように思えますが、この点に付いてはどのようにお考えでしょうか?
by アキラ (2007-07-20 10:26) 

たいせい

 アキラさん、仰るとおり面として(と言っても部落単位ですが)被災比率が高い場合、一見無事だと思われる建物でも内部的には破損が進んでいる場合もあるように思います。(特に外壁のクラックなどがあった場合)

 ただし、一番破損していそうなのが「接合金物」だと思いますが、金物の場合少しでも破損が進めばその後加速度的に弱くなって少しの力でも破損する様に思われ、余震などを経験しても大丈夫なのであればそれほど心配しなくとも良いようにも思われます。


 建築学会などにアップされている報告書群を読んでいつも思うことは、被災した建物の写真やレポートはふんだんにあるのですが、無事な建物がどういう構造?で、どうして無事だったか?に一切触れられていないこと。

 可能であれば無事な建物を数点解体して、一見無事な建物で何が起こって、何が起こっていないか?を検討していただきたい物だと思われてなりません。
 現実の建物では、住んでいる人もおり当然難しいのですが、せめて国の事業である大大特でのE-ディフェンスで加震された試験体住宅の「解体評価」の結果が公開されるのを心待ちにしています。

 報告書を見る限り、大学などの現地調査団なども、現地に入るととたんに「俯瞰的な目線」を失ってしまい、一点一点の被災住宅を調査するのみの「アリの目目線」になってしまうように感じています。(それも当然必要ですが)
 願わくば「どんな建物が壊れたか?」だけではなく、「どんな建物は無事だったか?」を明らかにしていただき、出来ることならば「築年数(適用建築基準法年度)と被災率」など時間軸を頭に入れた報告書が見たいと思います。
(屋根業界の目線や知識では、とてもそこまで手を広げられません....。)


 不明点等ありましたら、私のする限りお答えしますので、ご遠慮なくコメント下さい!
(とは言っても間違った情報もあろうかと思います。私も勉強中ですので、その場合はどんどんご指摘下さい。)


PS.
 まだ未確定なのですが、愛知県陶器瓦工業組合として、8月第一週辺りに新潟県中越沖地震の現地調査に行く計画が進行しています。
 道路状況などもかなり厳しく(現地は大渋滞との情報)、どれだけ見られるかは解りませんが、もし行けるようであればまた報告させていただきます。


PS2.
 業界の口コミ情報ですが、阪神大震災以来の大きな地震のほとんどは横揺れによる破損と思われる場合が多かったのですが、今回の「中越沖地震」は縦揺れ成分がずいぶん多かったようで、堅結されていて落下がないにもかかわらず、平部(桟瓦)が浮いて瓦がガタガタになった物件があるとの情報が入っています。

 地震波の検討をしてみたいとは思っていますが、私の知る限りあまりこれまで聞かなかった現象なので(堅結のない施工地域ではこれまでも起こっていたことなのかもしれません:その場合は瓦の落下になるので表面化しなかっただけかも?)、もしTV等で被災家屋の映像をご覧になる際、頭に入れておいていただくと良いかもしれません。
by たいせい (2007-07-20 11:27) 

今回の大きな地震、台風の去った直後に起きて
被災者の方の不安さ無念さを考えると本当に胸が痛みます。
たいせいさんのプロから見る地震と建築の問題点、
本当に本当に勉強になります。
実は私は(たいせいさんだから言うわけではありませんが)
瓦のない家、建物が好きではありません。
というか、和風建築物がすごくいい!と思っています。
それにはやっぱり瓦が不可欠(藁葺きもいいけど)だと思うんです。

今回被災した家の壁の強度が問題だったと聞いています。
日本中の家が陸屋根になったら、私は、泣きます。(;_;)
by (2007-07-20 22:15) 

たいせい

 ぺんたごんさん、専門的な記事へのコメント恐縮です。
 今回の地震と台風、順番が逆だったり重なっていたら更に大変なことになっていたように思います。
 3年前の中越地震の視察に行った際、山古志村などは(通行止めで入り口程度しか見られませんでしたが)、斜面崩壊や地滑りなどでわずかに載った平地の建物がほとんど全て悲惨な状況で、棚田なども地形が変わってしまっていたのを目の当たりにしたこともあって、本当に何と言っていいかよく解りません。

 一日も早く復旧して落ち着いた生活を取り戻し、さらなる復興へとつながっていって欲しいです。

PS.
 和瓦へのエール、ありがとうございます。
 日本中の家が陸屋根になったら、我が家は泣くどころではなく、一家全員首を括らねばなりません。
 そんな日が来ないことを信じています....。
by たいせい (2007-07-21 09:42) 

まさ

B有り難うございます。
地震の被災地の映像を冷静に見ればいろんな建物が倒壊しています。
素人目に見ても耐震基準に合わせて作られているかが問題だと思うのですが、マスコミが単純に屋根瓦の所為にするのは違うのじゃないかと思います。
大成さんの記事を読みよく分かりました。

マスコミ(TV)の影響は大きいので、間違ったことを報道したらそれが途端に広まってしまいます。
しかしその事について訂正をしないため垂れ流しになってしまいます。
マスコミは報道の自由と言うかもしれないが、自由には責任が伴うことを一番自覚していないところと言えるでしょう。
by まさ (2007-07-21 09:52) 

たいせい

 まささん、私のマスコミ嫌いの根っこの一つはこんな所にもありました。
 詳細を知っているものからすれば全くおかしな報道がなされているケースは、他の業界や他の事柄でも山のようにあるように思われてなりません。

 報道は、「事実」を伝えるのが最低限の仕事なのでしょうが(無意識のうちの取捨選択があるかもしれませんが?)、決して「風評」を広めるのが仕事ではないはずです。

 「権力に対するチェック機能」などと平気でのたまわりますが、このような私たちのような中小零細企業への仕打ちを見ると(スポンサー能力のある大規模メーカーには非常に手厚く優しいです)、「取って付けたような言い訳」にしか聞こえません。

 薄型スレート瓦のアスベスト含有問題なども、私たちの業界では十数年前からマスコミを含め情報発信していますが、製造メーカー(クボタ・ナショナル)が対策を済ませ、使わなくなってからしか報道されていません。

 マスコミは情報伝達行を「商売でやっている」のが明白で、この状況が続けば、いずれ瓦業界だけではなく国をも滅ぼすように思われてなりません。


 コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2007-07-21 12:10) 

柿崎

早速のコメントありがとうございます。
今回の地震で亡くなられた方は、全員70歳以上でした。この方たちは、全て、建物による圧死です。住み慣れた築年数の古い建物に住んでいらっしゃた方々がほとんどのようです。

 中には、たまたまお墓参りにいってお寺の建物の倒壊にあわれた方もいらっしゃいました。本当に残念なことです。

 即ち、建物が古くて耐力的に問題のある建物に住んでいたということが大きな問題です。

 タイセイさんも、書かれているように昭和56年に建築基準法が改正され、耐震性の高い建物を建てることが義務づけられました。これは、防災科学技術研究所のHPでも載っているように、非常に有効であることがわかります。

 しかし、昭和56年以降建てられた建物でも倒壊している建物が阪神淡路大震災にありました。それを踏まえて、平成12年にまた建築基準法が改正されホールダウン金物などを使うなどの金物補強がなされました。また、建物の耐力壁のバランスをチェックすることも義務付けられました。

 私個人的には、平成12年以前の建物は、一度耐震診断を受けたほうがよいと思っています。ただこれを言うと、日本の住宅ほとんどが該当してしまうので、一応昭和56年以前という建前になっているようです。

 防災については、真剣に取り組まなければならない問題だと思います。私も、住んでいる町の防災担当をし、今年の春に防災用飲料水ペットボトル2二本づつ配りました。防災意識を高める意味で、概ね好評でした。

 我々建築に携わる者が耐震性の高い住宅を提供できるか今後も勉強してゆかなければならないと思っています。
by 柿崎 (2007-07-21 15:01) 

たいせい

 柿崎さん、仰るように平成12年の耐震設計であればベストだと思います。
 ただご指摘のように大半の既築建物がこれに該当してしまうのと、いざ耐震改修となった場合大変ハードルの高い物になってしまう印象があり、なかなか思うようにいかないと言うのが現状なのかもしれません。
(建築業界の端くれには居ますが、建材である瓦製造という立場なので、建築全般という意味では胃の腑に落ちていない部分もあり、真認識違いなどありましたら遠慮無くご指摘下さい)

 ただ、一階部を駐車場にしていたり、店舗などで開口部を大きく取り部分的に壁や柱がない場合などは、仰るように新しい物件であっても耐震診断を受けた方がよいように感じます。
(能登の被災例でもこのケースはかなり多かったようです)

 来月早々に、業界として中越沖地震の視察に行く計画が進行しており、今回の地震は久々の市街地がかなり揺れて被災しているケースで、新築物件から古い物件まで様々な物件があり、この観点も持って見ていきたいと思います。

 コメント、ありがとうございました!
 今後もいろいろご教授下さい。
by たいせい (2007-07-21 16:03) 

こう

私も重い瓦が住宅倒壊の原因だと信じていました。
間違った報告を信じてしまったことは情けないのですが、現場を見ないでいい加減な報告をしている学者先生は素直に反省して欲しいです。
by こう (2007-07-21 23:09) 

ひで

レポートありがとうございます。
大変勉強になりました。

屋根が重いということも一つの要因ですが、建物の構造強度が一番の問題ですね!

僕もマスコミの報道が嫌いです。
自分達の報道の仕方一つで物事が180度変わってしまうという自覚を持って
欲しいと痛切に感じます。

瓦の良さが一人でも多くの方に伝わるといいですね!
by ひで (2007-07-23 17:49) 

たいせい

 こうさん、柏崎に行った知人の話だと、今回の中越沖地震でも全ての建物が倒壊もしくは破損しているわけではなく、やはり昭和56年以前と思われる古い建物に被害が集中しているようです。(面としてやられているわけではないようです)
 TV等の映像をよく見ていると、時々いわゆる軽い屋根材の家の倒壊事例なんかも目に入ったりもしてきます。(北陸は和瓦の地域で、築件数自体が少なくそれほど事例は多くありませんが)

 昭和56年以前に家であるにもかかわらず、軽い屋根材だから大丈夫だとの勘違いをしていらっしゃる方達に、建築基準法の推移を知っていただき、もっと防災の啓蒙をして行かなくてはならないようにも思います。

 nive!&コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2007-07-24 07:09) 

たいせい

 ひでさん、数年前の九州に上陸した台風で、私たちの瓦業界では瓦屋根の飛散事例が挙がってこないにもかかわらず、TVに台風での瓦の飛散として映像が流れたことがありました。
 よくよく調べてみると、廃屋の数軒で瓦が飛んでいたようで、瓦の飛散映像が欲しかったのか?そんな家をTV局が総力を挙げて探し出し、ようやく見つけた家を放映。
 更にたちが悪いのが、カメラマン同士の横のつながりでなのか?他のTV局でも同じ物件の映像を流しているのを見たことがあります。

 上のコメントのどこかで書いたような気もしますが。マスコミって「事実」を伝えるのが仕事のはずなのに、「風評」を自ら作り出して、それをプロバカンダしていると思われる瞬間がままあります。
 「ほんとに変ですね!」

 コメントありがとうございました。
 今後ともよろしくお願いいたします!

PS.
(このコメントを読まれていらっしゃる方へ)
 今の工法は、台風での飛散という面でも十分配慮されていて、最近の工事であればまず瓦が飛ぶことはありません!
by たいせい (2007-07-24 07:19) 

前太

先日は私のブログにコメントをいただきありがとうございました。
実はコメントをいただいて以来「耐震と瓦の関係」ついて非常に気になっています。
一通りたいせいさんのブログを読ませていただき、
「瓦屋根の重さと耐震性能に関連性はない」ということは分かりましたし、
その上「保温性」「耐熱性」に優れた屋根材だということもわかりました。
でも、同じ床面積ならスレートなどに比べてやはり耐震壁は多く必要なのでしょうか?
その他、スレートや金属系の屋根材と比較したメリットと同時にデメリットも教えていただきたく思います。
お忙しい中、申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
by 前太 (2007-07-24 15:45) 

社長の(三日坊主)日記

私の拙いblogにお立ち寄りいただきありがとうございました。
それにしても凄いblogですね。私の場合はそこまで手を入れてませんので、恥ずかしい限りです。
さて、屋根の事もそうですが、日の丸掲揚については、うちではずっと掲揚してます。当たり前だと思ってるので、挙げてない方が不思議です。
そして、私の叔父も靖国神社に祀られていますので、同様な思いです。
PTAなどでも、結構煙たく思われているフシもありますが、気にしていません。実は子どもの学校は、国旗を掲揚している学校というのを基準に決めました。今ではほとんど上がっていますが、広島は教職員組合が強かったりいろいろありまして、国旗国歌で揉め、ある校長が自殺にまで追い込まれた過去もあります。そんな馬鹿な話はないと・・・・・・ん?瓦の事よりも長くなりそうなので、このあたりにさせていただきます。
私どものまちの屋根屋の今一番大きな問題は、マンション乱立により一戸建てが激減。数少ない一戸建ても、板金屋根かコロニアル。ハウスメーカーと取引のない当社は、新築の工事が15年前の1/20ですね。全国的な流れにも見えます。
私がメーカーさんによく話すのは、あのクボタでさえ松電と合併したというご時世なのに、なんで無理して頑張ろうとしてるんですか?そろそろ考える時期じゃないですか?と。私も工事店として他と一緒になっても良いと思っているのですが、誰も相手にしてくれませんね。ま、それが、工事店なんですけど。
これからどうなっていくのか、予測して対応を考えていかねばなりませんね。
いろんな話、参考になりました。
ありがとうございました。
by 社長の(三日坊主)日記 (2007-07-24 20:25) 

たいせい

 めんちさん、本文中で紹介させていただいた『blog山本大成 「かわら屋の雑記帳」「瓦屋根は地震に弱い」は、正しくない!?』http://blog.so-net.ne.jp/kawaraya-taisei/2007-03-13で、瓦屋根といわゆる軽い屋根との壁量の違いについて触れています。
 私も構造については専門外なので、後援会での伝聞なのですが、元特別委行政法人建築研究所の岡田先生によると、
木造2階建て1階床面積83㎡の建物を想定すると、現在の建築基準法で定められている「壁量計算」を行っても「壁倍率2倍の壁(耐力:4.5cmの筋交いが入った90cm以上の壁)で1間半の違いしか無く、耐風設計を加味すれば差は更に小さくなる」
 ということです。

 更に申し添えさせていただくと、新設で壁を設けなければいけないのではなくて、現行設置が予定している90cmの壁3枚に筋交いを入れるという事になり、意外にその差は大きくはありません。
(先に紹介しさせていただいた記事を読んでいただくと、具体的な平面図を引証して説明してあります)
 なお、このBLOGには結構設計士の方達もいらっしゃっており、コメント下さっているのですが、この点について特に異論が出ていないのは、概ね正しい認識だと言うことであろうと考えています。

 瓦の利点・欠点と言う事では、まず最初に考えていただきたいのは「屋根材の存在意義」と言う点です。
 私見になりますが、住宅の三大要素は「基礎(地盤も含む)」「構造」、それらを数十年の環境変化から守る「屋根・外装材」だと言うことに異論はないと思います。
 現実にリフォームなどで屋根材を剥がしたり、葺き替えたりする場合に、いわゆる「軽い屋根材」では「結露による野地板の腐朽」などが発生している場合が多く見受けられ、家本体の寿命を縮めてしまっている事例などは非常に多く見受けられます。
 判明瓦の場合は、瓦と野地板の間の空気層と瓦自体の熱的な物理特性の影響で、野地の腐朽にまで発展しているケースはほとんどありません。
(前に記事で書かせていただいた「夏涼しく、冬温かい瓦屋根」で紹介させていただいた福岡大学の野地板結露についての実験報告書を持っており、近日中に「軽い屋根材は家を守らない」との記事を書くよう準備しています)
 もちろんこれは、家全体の断熱や結露対策をどうやって行うか?と言う種類の問題で、単純に屋根材のみで語るのが難しい面もありますが、一般的に断熱材で断熱行う場合は、施工の細部にまでによっぽど気を配っておかないと熱的な架橋が生まれやすく、結果として結露、そして住宅自体の腐朽へとつながっていくのではないか?と考えています。
(検索を掛けてみると、軽い屋根材の野地板腐朽の例はかなり挙がってくるはずです。最近リフォームではやりのカバールーフ工法などは、本来は古い屋根材を撤去して拭き直すのが筋なのにもかかわらず、野地板の強度に自身が無く触りたくないため、古い屋根材の上にそのまま新しい屋根材を施工するという恐ろしいリフォーム工事が流行っています。)

 軽い屋根材のメリットは、施工時の価格が安く住むと言うことになろうかと思いますが、実はあまり知られていないのがメンテナンス費用が思いの外かさむこと。
 新築時の瓦との値差は数十万円なのですが、5年後の塗り替えなども含めて考えると一回目の塗り替えで概ね同等の金額となり、その後は瓦の方がむしろ安く付きます。
(メンテナンスが要らない軽い屋根材の場合は、新築時の価格は瓦よりもむしろ高いです)

「関連HP」
全国瓦相談室-瓦屋根の家は高くつくといわれた。本当の所教えて。
http://www.kawaraso.jp/q1/q115.shtml

屋根の葺き替えFAQ/新築・リフォームのご相談/瓦Web・愛知県陶器瓦工業組合
http://www.kawara.gr.jp/21_hukikae/hukikae.shtml

「その他瓦についていろいろ書いてあります」
三州瓦・全国かわら相談室【愛知県陶器瓦工業組合】
http://www.kawaraso.jp/index.html

瓦Web-三州瓦・愛知県陶器瓦工業組合-
http://www.kawara.gr.jp/

PS.
 瓦の宣伝コメントのようになってしまいました。
 瓦関係者のマスタベーションだと思われないように、これからデーターに基づいて、実証記事をもっと沢山積み上げていくつもりでいます。
by たいせい (2007-07-25 09:32) 

nina

とても興味深いレポートですね。
結局は全体のバランスという事でしょうか。
私はDTP屋ですから職種は全く違いますが、チラシにしろDMにしろ、最初に全体のバランスを考えて大まかなレイアウトをしてから細部の作り込みをやります。
一部だけ突出して目立ったりすると、全体のバランスというか雰囲気が壊れてしまいますので。(それでも途中で「ここだけ強調して」といった修正が入ってバランスが崩れる事は頻繁にありますが・・・(´д`))

私が住んでるアパートも瓦屋根ですが、阪神大震災でも潰れませんでした。
築30年以上の古い建物なので安全基準は満たしてないと思いますが、全体のバランスが悪くなかったということでしょうか。(近所の大きな建物は倒壊してましたので)

日本に住んでる以上、地震とはこれからも折り合いをつけていかなければなりませんので、たいせいさんのような研究は大切ですよね。
by nina (2007-07-25 10:50) 

たいせい

 社長の(三日坊主)日記さん、靖国や日の丸に関して思うのは、あまりにも理念やイデオロギーで語られすぎていて、庶民感覚や国民感情なとかけ離れた世界で右往左往しているような雰囲気が読み取られ、それに対して危惧を感じています。(まるでブームのようで。ブームが過ぎ去れば皆忘れ去ってしまいそう....。)
 本来は仰るように「当たり前のこと」であったり、「情」の世界の話であるはずなので、もっと落ち着いて話が出来るような雰囲気になって欲しいと思われて仕方ありません。

 瓦についてですが、また石州(島根)で大手が一社飛んでしまいました。
 製造業に厳しい日本になってから暫く立ちましたが、中有小規模の事業主が多い瓦業界も大変な事態が進行しています。
 ただ、我が社も10億円程度の中小規模の会社であるにかかわらず、数%というシェアを持ち、北は山形・宮城から南は沖縄まで工事店や瓦専業の問屋への直販による「製造販売委一貫体制」を持っていて、高付加価値製品や独自製品によるマーケティングが可能だという面白い業界であり、何とも言えない手応えを感じつつ仕事をしています。
 しかし、更に進む住宅のデフレ傾向と、どうにもならない燃料油の高騰、瓦離れで、我が社も含め業界全体が非常に危険アエリアに突入しています。
 工事業も大変かと思いますが、製造業は先銭を投じて設備投資をするいわば「ばくち打ち」の要素があり、大きな再編でも起こさねばどうにもならないと思うことも多々あります....。

 コメントありがとうございました。
 今後ともよろしくお願いいたします。
by たいせい (2007-07-25 10:52) 

たいせい

 ninaさん、正にバランスだと思います。
 ある壁だけを強くすると、柔構造だった構造に力が加わる支点が出来て壊れやすくなったり、土葺きで地震の揺れで屋根をわざと落下させて構造部を守るように造られた家が、瓦が落ちないようにしたために地震で壊れたり、バランスがとても大切だと感じます。
 伝統工法と在来工法は違うのですが(とあるBLOGで指摘されハタと気づきました)、幾度の地震にも耐え数百年(場合によっては千数百年)を経ても無事に立っている社寺仏閣なども、屋根は住宅に比べてとんでもなく重いのですがバランスが良いために、残っている建物だと思います。

 専門的な記事にnice! &コメント下さり、本当にありがとうございます!
by たいせい (2007-07-25 11:08) 

macoto

すばらしいリポートです
マスコミの一方的な目線を
変えるのは、私達施行屋さん
のお仕事でもあると思ってます。
by macoto (2007-07-25 13:40) 

たいせい

 macotoさん、来週(8月1~2日)に新潟県中越沖地震への愛知県陶器瓦工業組合技術委員会としての被災地視察が決まりました。
 今のところ私の方に入っている情報では、「被災物件の大半は昭和56年以前の古い建物」「鈑金やコロニアルの屋根の家も等しく被害を受けている」とのことで、それが事実なのか?自分の目で見てきます。

 できるだけ早い時期にレポートを書くつもりでいますので、もしお時間がありましたらまたお立ち寄り下さい。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2007-07-25 17:16) 

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