名古屋高裁の「ねじれ判決」は司法の自殺?(自衛隊イラク派遣) [旗日には「日の丸」を掲げよう]
先日名古屋高等裁判所で、イラク特措法がらみでの自衛隊派遣の差し止めと慰謝料を求めた市民グループによる訴訟で、原告側の敗訴との判決が出ました。
しかし、主文にて原告側の敗訴が明確になったにもかかわらず、傍論である判決理由の中で「憲法9条への違反」を指摘するという言わば「ねじれ判決」とも言うべき判決でした。
「イラク空自活動の違憲判断」で各紙を比較すれば…。:イザ!
http://hirosec.iza.ne.jp/blog/entry/547309/
私が今回違和感を持ってあえて記事にしようと思ったのは、イラクへの自衛隊派遣の是非ではなく、高裁レベルでこの様な重要な判断が確定してしまうことは司法制度の乱用とも言える行為ではないかと感じられたことにあります。
(現行制度の隙間を利用した「憲法の精神」を踏みにじる行為では?)
実はこのような「ねじれ判決」のケースは、平成16年9月の大阪高裁の小泉首相靖国参拝に対する判決や、過去にも岩手靖国訴訟の仙台高裁判決、中曽根康弘首相(当時)の公式参拝をめぐる訴訟や大阪即位礼・大嘗祭訴訟に対する大阪高裁判決、福岡靖国訴訟の地裁判決などのケースがあるようです。
旬を過ぎましたが、大阪高裁の靖国参拝違憲判決について 思うて学ばざれば則ち殆し
http://kahkun3601.at.webry.info/200510/article_4.html
私がこの件に関して思うのは、今回の高裁判決のように判決と判決文のネジレが容認されて、それで確定判決に出来てしまう裁判制度へ違和感です。
(○○高裁では違憲、□□高裁では合憲という判断がそれぞれ確定する状態が起こることになり、三権のうち「司法権の自殺」とも言えるのでは?)
これは、裁判官や個々の裁判所により判決の分かれる可能性のある高裁レベルの判断で国民による選挙という洗礼を受けた議員による立法府の議決を覆すことが出来るのか?と言う議論にも繋がっていきます。
本来であれば最高裁のレベルでの司法府としての高レベルの判決によって立法府や行政府と対抗すべき物を、一高裁のレベルでの判決でこれ程重要な違憲判断がそれも「ねじれ判決」の形で確定してしまう事に対して深い違和感を感じます。
憲法上の「三権分立」は何のためにある制度かと言うことを考えれば、少なくとも「憲法の精神」としては、言うまでもなく「主権在民国家」を独裁的な権力者から守る為の制度で、三権のうち独立した一つの権力である司法権の乱用であり権威の失落を自らが行っていると言うことではないのでしょうか?
現行制度の中で憲法判断を高裁が行うことに異議はありませんが、憲法の隙間を狙ったこのような高裁レベルの「ねじれ判決」による違憲判断が正当化されるのはどこかおかしいと思います。
ただ、本来の憲法上の手続きとしては実は立法府も不甲斐なく、法文の解釈のグレーゾーンで裁判所の判断が出た場合に、立法府は国民的な議論を起こし法文の曖昧さを無くす作業(改正)をせねばならないにも係わらずそれを行ってきていない。
特に憲法が関わる裁判所の判断については、立法府は国民的な議論を起こして必要な改正議論なり憲法解釈について国民的なコンセンサスを作り上げる責任があるにも関わらず、責任を果たしていないように感じます。
憲法を守るために政府と国民は存在しているのではなく、「主権在民国家」に於いては「国民の為に政府が存在しており、その運営ルールを定めたのが憲法」であり、違憲判断が出たのであれば粛々と改正議論が起こるのが筋だし、憲法を運用する本来の姿だと思います。
(その結果として改正しないという結論になるのならば、それはそれで国民の意思です)
「憲法改正」について思う事
http://kawaraya-taisei.blog.so-net.ne.jp/2006-07-29改正の手続きを定めてないのは憲法違反(違憲状態)ではないのか!?
http://kawaraya-taisei.blog.so-net.ne.jp/2007-01-10
PS.
イラクへの自衛隊派遣についての自分としての意見は持っていますが、あくまでもこの記事で訴えたいのは、憲法と現行の法制度についてです。
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こんにちは。
論旨はごもっともです。
共感できます。
by みみちゃん (2008-04-19 18:41)
おはようございます。私もこの新聞記事を読んで??と思いました。
ま、三権分立ですから判決を出すのは勝手といえば勝手です。
でも、”で、それでどうするんだろ?”って思います。
by STEALTH (2008-04-20 07:30)
こんにちは。
たいせいさん、私もこの名古屋高裁の「判決理由に憲法違反」を付け足すやり方に、何とも言えない怒りがこみ上げて来ました。
これは明らかに司法への冒涜だと思います。名古屋高裁はおかしな判決をする裁判官が多いですが、この判決は極め付けですね。
by まーきん。 (2008-04-20 09:00)
左翼の運動家が裁判でっち上げて国から賠償金とろうって言うながれだからねぇ、尺時定規で判断すると誤るよw。
by とおりすがり (2008-04-20 13:29)
これについては報道の仕方もおかしいと思います。
あくまでも判決は「原告側の敗訴」であって、憲法判断についてはただの傍論ですよね。
これを鬼の首を取ったように「違憲だ」というのはちょっと違うように思います。
せめて最高裁までいって、傍論などではなく判決としてやって欲しかったですね。
by nina (2008-04-20 22:43)
国防なんて日本には不要座談会←日本を滅ぼしたいんですか?
http://jp.youtube.com/watch?v=pBra6bd_xfQ
辛淑玉:1959年1月16日、東京都渋谷区生まれの在日韓国・朝鮮人3世の女性で、自ら設立した人材育成コンサルタント会社・香科舎(こうがしゃ)の代表。
松崎菊也:1953年3月9日、別府市生まれの戯作者で、数多くの風刺コントの作・演出を手がけ、コメディアンとしても大物政治家を演じる。
永六輔:江戸時代に渡来した中国の学僧を先祖に持つ、1933年4月10日、東京生れの元放送作家で、タレント、作詞家、エッセイスト。
中山千夏:1948年7月13日、熊本生まれの作家で、元俳優、テレビタレント、歌手、声優だが、70年代に女性解放運動(ウーマン・リブ)に参画した後、反差別・反戦などの市民運動に取り組み、その後一期だけ参議院議員を努めた。
石坂啓:1956年3月28日、愛知県名古屋市生まれの女性漫画家、作家、フェミニストだが、華僑を母に持ち、幼少時の差別や疎外感から反権威・反権力的な性向を持つようになる。
いやあ、凄いこと言ってるなあ。
例えば『殺されても、相手を殺すな』とか。
これ、国防に関してのことですよ。
『戦争を仕掛けられても抵抗するな』ってことは分かりやすく言えば、日本の男は家族を守るな、愛する者のために戦うなって言ってるわけです、これ。
もし世界が100人の村だったら風に言えば、『極悪非道な奴らが、我が家に押し入って来ても、何もせずに愛する家族と共におとなしく殺されていなさい』って言ってるわけだ。
この左翼思想の人たちは、己の論理矛盾に目をつむって発言しているのか?
そうとしか思えないが?
憲法9条どおりに無抵抗でいれば、反日思想の外国人は、日本人をナイフで刺すことも絶対にしないし、銃で撃ってくることもないし、日本の街々に照準を定めている核ミサイルのボタンを押すことなんて、この先の世界情勢がどう変わろうとも、絶対にありませんと、本当に信じて言っているのだろうか。
それにしては、こんな深刻な議題なのに、この人たちはヘラヘラ、ニヤニヤしながら話していて気持ち悪過ぎなのだが。
この動画、よく削除されるそうなので、出来ましたらお早めにご覧下さい。
by 名無し (2008-04-21 01:53)
私はこの件に関しては、↑nina さんのコメントに賛同です。
裁判官にも色んな人が居て色んな判決をしますが、問題はそれを「どう、報道するか?」ではないでしょうか?
私の親戚に、大新聞のA新聞に勤めている人が居ます。
彼は正面切って私にこう嘯いたことがあります。
「新聞は、国民を左に左に誘導する義務がある」
このような姿勢と観点から報道していることを忘れてはいけません。
報道はまともに受け取ると、大変な事になります。
by アキラ (2008-04-21 10:55)
この裁判官の傍論とやら、主文とねじれているなんぞ、まさに暴論。だったら主文で違憲と言えば良いだけなのに、それを言えない臆病者。大学の教授になるらしいけど、どんな顔してこの判決を取り上げるのですかね。
PS.すいません、のんべぶろぐはどうもトラバの調子がよくないかなあ…
by 練馬のんべ (2008-04-21 20:34)
みみちゃんさん、記事中でも紹介させていただいた各新聞社のこの件の取り扱いを非常に興味深く感じました。
新聞社によって認識が変わる判決文なんて、どう考えても変ですね。
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-04-22 14:28)
STEALTH さん、我が地元の中日新聞もおかしな記事を紙面に載せる新聞社の一つだったですね。
そうした新聞社は常に同じ基準で記事を書いてくれればまだ良いのですが、同じところに日本が行くと侵略で、中国だったら進出のダブルスタンダードだったりします。
nice! &コメント、ありがとうございます!
by たいせい (2008-04-22 14:32)
まーきんさん、この手の市民グループによる代表訴訟は、好きな判決を書いてくれそうな裁判官のいる裁判所で訴訟を起こして、その裁判官に当たるまでなんだかんだと理由を付けて何度も出し直しをすると聞いています。
「それを当たり前と感じる市民グループ」
「その通りの判決を書く裁判官」
「知っていながら、意図的に紹介する報道機関」
悲しくなると言うよりも、唖然としてしまいます...。
nice! &コメント、ありがとうございます!
by たいせい (2008-04-22 14:38)
とおりすがりさん、賠償金云々よりもこの判決が欲しくて起こした訴訟だと感じています。
コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-04-22 14:41)
ninaさん、定年が決まった裁判官の置きみやげの判決で、実際に判決文を読んだのは別の方が代理でだったっようです。
知れば知るほど悲しくなります。
nice! &コメント、ありがとうございます!
by たいせい (2008-04-22 14:45)
名無しさん、様々な意見が言えるところが日本の良いところではあるのですが、WGIPの残滓がまだまだ残っており左巻きの報道しかなかなか聞こえてきませんね。
コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-04-22 14:49)
アキラさん、報道機関の変更にも辟易としていますが、今回は公の機関である裁判所での出来事で違和感を持ちました。
私の住む愛知は、中国が好きで左巻きの中日新聞(東京新聞と同じ紙面)のシェアが高いところで新聞に関してはほとんど選択の余地が無く、ネットのおかげで新聞は地域面とTV欄しか見なくなりました。
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-04-22 14:54)
練馬のんべさん、私自身の時間の制約で最近この手の記事をなかなか書けなくなりましたが、時々思いだしたように書いてはいます。
(業界内などで腹の立つことが多く、そちらにパワーを使っていました)
この記事を読みながら、この判決であまりのおかしさに腹が立って気分が悪くなったと代表訴訟を起こしたら、違憲判断を書いてくれそうな裁判官もいるのではないか?などと想像を巡らせました。
コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-04-22 14:59)
今回の違憲判決を評価しますって言ったらお前は左か?と袋叩きに合いそうな気もしますが。
わかりにくさからいったら今までの平和生存権やら自衛隊違憲に関する最高裁判例の方がよっぽど笑えますって。今回のやりかたがいい悪いは当然議論すべきこととは思いますが、名古屋高裁の裁判官はおかしいという言い方は違うと思う。
あともっとシンプルな話をしたいのですが、そもそも今戦争状態にあるとしかいえないイラクに自衛隊を派遣していること自体がみなさんのコメント見てると揃って合憲だーと言っているように見えます。これ本当に多数派意見?なんか流されてませんか?
@さー来るかな罵声の嵐が...
by K.Kashiwara (2008-07-03 01:48)
K.Kashiwaraさん、本文備考でも書いていますようにこの記事はイラクへの自衛隊派遣の是非を問題点として書いた記事ではなく、憲法における司法判断のあり方について疑問を感じたことによって書いた記事です。
そしてこれは司法の問題点についてのみ述べたわけではなく、違憲判決が出た場合の立法府の対応についてもかねておかしいと感じていた点もあり、それについても触れているつもりです。
憲法について私が思うのは、このBLOGの幾つかの記事でも書いていますが「憲法を守るために国民と政府が存在しているの」ではなく、主権在民の国民国家に於いては「国民の生命と財産を守るために政府が存在しており、その運営ルールを定めたに過ぎないのが憲法」だと言う一事に尽き、国民のコンセンサスが有ればいつでも変えられるものだと言うことです。
そして改正について記述されている96条の条項から、硬性憲法とまではいかないものの比較的改正が容易でない構造を持っていることから、ある程度立法府や行政府の判断で解釈についての裁量権が認められていると言うのが、最高裁レベルでの司法府の判断でもあろうと思います。
今回の判決は内容の是非について上級裁での内容の検討が実質的に閉ざされた判決であり、ともすれば司法権を代表するわけではない一高裁の判決が、国民による選挙という洗礼を受けた立法の最高機関である国会や行政権をも縛ることに成りかねず、やはりおかしな判決だと考えています。
コメントありがとうございました!
PS.
この記事の意図とは外れますが、行政における裁量権の幅についての定義をどこかでする必要があると思っています。
それを確定するためにも、名古屋高裁として意見と本当に考えるならばキチンと違憲判決を出して最高裁レベルでの判断が出来る道を開いておくべきだったと思っています。
by たいせい (2008-07-04 09:03)
とても示唆に富んだコメントをいただき、考えるよいきっかけになります。ありがとうございます。
行政における裁量権の幅の定義の件ですが(統治行為論かな?いずれにしても)賛成です。今回のケースでは司法としても一定の判断ができる分野だったと思います。であれば違憲判決出すなら出して上級裁判所で次の議論を促す方がフェアな気がしてきました。
うーんそうするとキチンと違憲判決を出して最高裁レベルでの判断が出来る道を開いておくべきというたいせいさんのご意見はまさしくそうですね。。
参りました。m(--)m
さらなる議論と判例が出されたあともう一度考えてみたいと思います。
またよろしくお願いします。
by K.Kashiwara (2008-07-05 00:06)
K.Kashiwaraさん、この裁判に限らずなのですが、手続き論の是非に目をつむり様々な立場の方々が判決を自分の良いように解釈・利用していると感じてこの記事自体は書きました。
憲法に関して議論すること自体がタブー視されていた時代が長く続きましたが、本来はこうした手続き論がもっと活発に行われるようになって、「こうした場合は改正をする」「こうした場合は改正しない」と言うことを、国民的なコンセンサスにする必要があるように思っています。
残念ながら日本に於いてはそこまで来ていないと感じていますが、少しずつですが前に進んでいるとは感じられるようになってきました。
(憲法9条の解釈の仕方によるグレーゾーンを無くすために、自衛隊をも持てない旨を憲法で明記するという改正論議だって、本来はあってしかるべきだと思います。:私は反対ですが...。)
再度のコメント、本当にありがとうございました!
by たいせい (2008-07-05 09:08)
高裁で違憲判決が出るのはおかしいとおっしゃる諸兄、何か勘違いされてはいませんか?
地裁から最高裁に至るまで、全ての裁判所は違憲審査が出来るんですよ。最高裁判決が最終決定になるというだけのこと。
また最高裁は「統治行為論」などなどで逃げてはならず、明確な判断を示さなければならないのです、それが判例となるのですから。
by AS (2008-10-27 13:33)
ASさん、本文でも書いていますように高裁で憲法判断をすることに何の異議もありません。
ただ今回のように主文と傍論のいわゆるねじれ判決により、上級審での判断を閉ざしてしまう判決を出した事による問題点を書いたつもりです。
現にいまだに、傍論の部分を取りあげて違憲判断として世間に流布する方達やそれを取りあげるマスコミが存在しており、このような曖昧かつねじれた判決の存在自体が問題で、高裁であろうとASさんの仰るように司法は明確な判断を出さねばならなかったと感じ、この記事を書いた次第です。
コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-10-30 10:54)