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瓦屋根の棟飾り&様々な棟(米子で見つけた変な棟?) [屋根には「瓦」]

 前の記事で、妻の実家への里帰りの際に米子で見つけた妙な棟の写真を紹介しましたが、その後何故こんな施工の棟が葺かれたのか?よく考えても納得いかず、再度の紹介かたがた棟や棟飾のバリエーションを紹介させていただきます。

IMG_6720.jpg 鳩の棟飾り

IMG_7002.jpg この棟が謎の棟!? 

 前に風切り丸の紹介記事を書いた際に思いの外反応が良かったことに気をよくして、いずれ棟や軒のバリエーションを紹介した記事を書こうと準備を始めてはいましたが、まだ施工写真をそんなに集めるにはいたらず、中途半端な段階の記事ですがご容赦下さい。

瓦屋根「風切り丸の機能性」(機能美が洗練された結果としての様式美:和瓦・和型J形瓦)
http://kawaraya-taisei.blog.so-net.ne.jp/2008-01-24

高い棟には意味がある「五重の塔縮尺模型での風力実験」「袖ヶ浦-瓦風力実験」
http://kawaraya-taisei.blog.so-net.ne.jp/2008-03-27

 


 先々月、とあるお客様から「手作りでよいのでフクロウの棟飾が作れないものか?」との引き合いがありました。

 話を伺ってみると、「ふくろう」という居酒屋の新築工事の屋根で、お施主様と元請けとの話の中で「店舗なので職人の遊び心を加えて、少し変わった意匠性を工夫して欲しい」と言うことになり、内装・外装の様々な職域の職人さん達が集まって何をしようか?工夫している中で出た引き合いのようでした。

 とは言ってもどんな奇抜な意匠をしても良いわけではなく、あくまでも居酒屋という範疇で「和」の感覚を大切にした意匠が求められており、屋根も基本的には和瓦を使用し、その中でどんなことが出来るか?という事のようでした。

IMG_6717.jpg 95ffbd88.jpg 完成したフクロウの棟飾

 

 もともと和瓦にはそんな「遊び心」が生かせる世界があり、古い街並みなどを見ると屋根の上に鐘鬼様が乗っていたり、鳥やネコが乗っていたりする場面を時々見かけることがあり、ものによっては既製品でも様々な遊び心が満足できる製品があったりします。

 また、高浜市内には手作りの鬼瓦や様々な飾瓦を作る、「鬼師」と言われる職人の世界がまだ残っており、一品ものの世界もまだ十分機能しています。

 久々にそんなことを思い起こしてくれ、大変嬉しい引き合いでした。

IMG_6720.jpg IMG_6728.jpg 鳩の棟飾

 

IMG_6229.jpg IMG_6230.jpg IMG_6231.jpg IMG_6224.jpg
 「鬼みち」で見つけた高浜市内の社寺仏閣の飾瓦

瓦研究会(和瓦の振興·全陶連:全国陶器瓦工業組合連合会·ウォーキングトレイル「鬼みち」·産業観光)
http://kawaraya-taisei.blog.so-net.ne.jp/2007-10-29

 

 米子市内で見つけた鯱なども、有る意味これの一種と言うことになります。

IMG_7004.jpg IMG_6987.jpg 鳥取県-米子市 


 いつか使って貰いたいと考えている棟飾りに、こんなのもあります 。

ki_niwatori.gif ki_neko.gif 

 


 さて瓦職人の棟に関する「遊び心」は鬼の選定や飾瓦だけではなく、棟自体の施工にも現れます。

棟 紐丸.jpg 紐丸・厚のしを使った一般的な棟 

棟 紐のし.jpg 棟 松川.jpg 棟 横のし.jpg

 

 さらには、こんな凝った棟もあります。 

 

棟 ダイヤのし雨切のし.jpg 棟 京花木瓜いらか.jpg 

 

 先日とある地方都市の屋根工事店に向かう途中に、棟の中から太陽の光が漏れてきて思わず撮ったのが次の棟です。

IMG_6963.jpg 厚のしを横に使ったような棟

 この屋根の棟は、輪違いと言われる特殊なのし瓦を普通ののし瓦を縦ではなく横にしたように使い、瓦の隙間から向こう側の空が見えるように施工されています。

 最近めっきりそんな物件は減ってしまいましたが、かつての瓦職人は、お施主様や大工さんと相談しつつそんな「遊び心」を具現化する存在だったようです。

 

 上の写真で紹介した棟に使っている瓦の大半は、今も既製品で入手が可能なものばかりです。(棟飾も既製品があります)

 もしお気に召すようであれば、一度検討してみられてはいかがでしょうか?

マサヨシHP-棟飾リシリーズ
http://www.masayoshi.co.jp/oni_16.html 

 


 さてそれでは、米子で見かけた妙な棟なのですが、いったいこれは何のために施工された棟なのでしょうか?

IMG_7002.jpg 米子で見つけた妙な棟

 のし瓦が余ったという理由ならば(それにしてもおかしい)他の3段の部分を申し越し高く積めばいいわけだし、第一鬼は通常のもので鬼の上側をモルタルで埋めて納める施工が美しいとは私には思えません。(鬼の上が寂しいと思い、鯱の変わりに乗せたのかな?)

 ただ、こだわりの職人でないとこんな手間の掛かる施工はしないはずなので、何か理由があるとは思いますし、お施主様が納得の上の施工であることは間違い有りません。

 これも、瓦職人とお施主様の「遊び心」の結実した結果なのでしょうか...。


 屋根も良く見ると、面白い施工が思いのほか多くあります。

 

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STEALTH

棟飾りってのはいいものですね。なんだか付けてみたくなってきますよ。
ふくろうのやつ、最高じゃないでですか!
by STEALTH (2008-05-14 18:56) 

スミッチ

今度「鬼の道」に行ったら上を注意してみます。フクロウいいですね。最近は手作りの瓦もなかなか厳しいようですね。
by スミッチ (2008-05-14 19:25) 

こう

是非、このような屋根の家に住みたいです。
by こう (2008-05-14 21:39) 

kappa

屋根って良く見ると色々な飾りが施してあるのですね。
これから街の風景を見る目が変わってきそうです。
フクロウの棟飾、良い感じですね。
by kappa (2008-05-14 23:06) 

夢空

いろいろあるのですね。これからは、瓦も気をつけて見ようと思いました(^^)v
by 夢空 (2008-05-15 08:13) 

とりのさとZ

日本の建築には、その瓦装飾だけでなくて、他にも美的なあつらえがありますね。たとえば「欄間」の木彫りもそうです。床の間の柱とか。

by とりのさとZ (2008-05-15 12:35) 

たいせい

 STEALTHさん、高浜市内の旧市街地などに行き良く気をつけてみていると様々な棟飾りが乗っていて嬉しくなることが時々あります。
 今回作ってもらったフクロウの棟飾りは、釉薬が藁の特長を生かして、屋根本体で葺かれている色とは違う黒色で体を塗り、目を入れたもので、釉薬瓦の棟飾りの可能性の広さと面白さを、改めて認識しました。
(棟飾りを使う物件は、本いぶしでそれも昔ながらの形のものを使う場合が多く、本当に面白い例だと思いました。)
 あえて価格は書きませんが、想像しているよりもかなり安価な値段で、こんな「遊び心」を建物の上で実現することが出来ます。
 私の家の屋根でも、改めて何かやってみたくなりました!

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-05-15 15:36) 

たいせい

 スミッチさん、高浜市内は社寺仏閣のみ成らず一般住宅でもこんな飾瓦が使われている場合がありますので、いらっしゃった際には上の方を見上げてくだされば、変わった発見があるかもしれません。
(おに道の場合は、瓦美術館などに「おに道マップ」がおいてありますので、一度入手されると良いかもしれません。)
 フクロウは、私もけっこう良いなぁーと思いました。

 nice! &コメント、ありがとうございます!
by たいせい (2008-05-15 15:47) 

たいせい

 こうさん、最近私の地元では瓦を使ったガーデニングや、鬼瓦を玄関先にモニュメントとして設置するような例が増え始めています。
(屋根からおろした古い鬼瓦なども、庭のオブジェクトとしてよく使われています。室内のオブジェクトにも成るかも?)
 写真を集めていずれこれらも記事を書きたいとは思っていますが、何となく「和」の息吹に常時触れられるような気がしますので、その節には是非「遊び心」で検討下さればと思います。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-05-15 15:54) 

たいせい

 kappaさん、「風切り丸」もそうなのですが、もともと家にはその仕事に関わった大工さんや職人さんの、「思い」や「こだわり」「遊び心」が凝縮したものでもあると感じています。
 屋根の場合は外装材ですので、それらを外からたやすく見ることが出来る存在で、よく見ると様々な違いが垣間見られます。
 毎回出張の度に感じるのはその地域地域の意匠の違いで、普通の何と言うこともない民家でもよく見ると、屋根の納まりや意匠はそれぞれ独特な表情を持っていると感心することもしばしばあります。
 この機会に屋根を見上げてくだされば、記事を書いた私としても大変嬉しいです。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-05-15 16:03) 

たいせい

 夢空さん、古い建物で今も残っているものなどは、当時の職人の「遊び心」が許された世界が随分あるようで、見ていて思わず楽しくなるような屋根に時々出会えたるすることがあります。
 また、普通の民家でも土地が違えば(違う職人のテリトリーにはいるだけでも)、センスや仕事のこだわりに違いがあり、別の地域に入ったと解るような屋根もあります。
 見過ごされがちな屋根ですが、視線を上にあげて見ていただけると本当に嬉しく思います。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-05-15 16:20) 

たいせい

 とりのさとZさん、私の場合はたまたま瓦業界にいますので屋根の話を取りあげることにはなっていますが、社寺仏閣や古民家などを見ると各職の職人さんの「こだわり」や「遊び心」「施工に対する考え方」などが垣間見られ、同時にそれを楽しんでいらしたであろう当時のお施主様の顔が見える場合が良くあります。
 最近、建築業界も世知辛く、施工単価ばかりが物を言うケースばかりが増えて、職人さんの腕が見せられる現場自体が激減してしまっています。
 何とも言えない寂しさを感じてしまう昨今です。
(お金をかけずともやれる「遊び心」は今でもあるのですけど...。)

 nice! &コメント、ありがとうございます!
by たいせい (2008-05-15 16:48) 

アキラ

これから気を付けてみたいと思いますが、流石は瓦の町ですね。
厚のしを横に使った棟などは、風を受けて棟が飛びそうですが、そうでもないのでしょうね。
以前付き合っていた瓦屋は、干支の瓦を毎年正月に持ってきていましたよ。
by アキラ (2008-05-15 19:25) 

mike

私が以前、配送センターから保育所へのリノベーションを設計しましたが、テラス屋根に、フクロウのモニュメントを設置しました。それはFRPに着色したものでしたが、今回のような、“瓦”とは凄い!そして楽しい!
瓦屋根って、性能は当然の事ながら、ホントに面白い建材ですね。
by mike (2008-05-15 20:49) 

toyo

面白い!です。
勝手な想像ですが、家内安全とか魔よけを口実にしていても、実は昔の人も「遊び心」で造ったんじゃあないでしょうか?それなら、全く新しいデザインの棟飾りだって「伝統」に沿ったものですよね。
伝統って保守だけじゃなく革新ってことでもあると思いますから。
by toyo (2008-05-15 22:21) 

こう

大きな鬼瓦?をオブジェにしているのをお寺で見かけました。
記事にありますので、時間のあるときにご覧ください。
http://koucyan.blog.so-net.ne.jp/2008-05-16
by こう (2008-05-17 13:40) 

たいせい

 アキラさん、私の勉強不足でこれ専用の「輪違いのし」と言う瓦があってそれを使った施工だと言うことが解り記事の方を多少修正し致しました。(全くお恥ずかしい...。)
 仰るように基本的に留め付けは行われず、せいぜい変成シリコン系の接着剤で部分的に留める程度のようなのですが(虫害場合はクワイ仕方がいらっしゃいましたらお教え下さい)、昔の何の留め付けも行われない施工でも意外なほど風や地震にも強く、周りの通常の棟に被害が沢山発生するような災害でも、ほとんどの場合無傷で残っていると、有る職人さんからはうかがっています。
 一つには空隙が多く棟が軽いことと、風を通すことで風の力を受け流す(空力的な効果も発揮しているかも0?)ことによると思いますが、やはり昔の職人さん達の経験による施工のような気がします。

 naice! &コメント、ありがとうございました!

PS.
 1月に友人の結婚sに記の記事を書いたのですが、実はその友人は国内最大の(といってもしれていますが)干支瓦メーカーの社長です。
 入籍は昨年中に済ませていたのですが、干支瓦の出荷の忙しい秋から年末にかけてはとても式は挙げられず、結果年が明けて1月の挙式になったと聞きました。
 なお昔は、その屋根屋さんのように干支瓦を大工さんに贈られる屋根工事店が多かったのですが、最近は減ってしまい出荷量は随分落ち込んでしまっていると嘆いていました...。
by たいせい (2008-05-17 15:23) 

たいせい

 mikeさん、おそらくFRPの特注よりも安い価格でこの棟飾りはつけることが出来ると思います。
 産地としての三州には、まだまだ手作りの世界もちゃんと機能しており、無カニながらの施工ではなく現代的な感覚やセンスでこんな職人さんたちを使っていただければ、まだまだ瓦の世界も道が開けていくのではないかと考えています。
 前に屋根の上に棟飾りで竜宮城を表現し倒れらが高浜市内にあるのを紹介した記憶がありますが、一つのテーマに沿った棟飾りを複数使って演出することなども可能です。
 機会がありましたら、こんな瓦の使い方もあると覚えておいていただければ、鬼師の方達も喜ぶと思います。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-05-17 15:33) 

たいせい

 toyoさん、仰るようにこれらは、お施主様と大工さんそして屋根職人・瓦職人の方たちの「遊び心」が元で出来たような気がします。
 こんな物件を発見すると、関わった関係者やお施主様が新築当時どんな顔でこれらを眺められたが物件の後ろから見えてくるような気がして、本当に嬉しくなります。
 最近はどこの屋根工事店で話を伺っても施工価格の話ばかりで、「こんな物件があるのだけれど、何か面白い演出法はないか?」と言った種類の話がほとんど無くなり、寂しい限りです。
 今回の「フクロウの棟飾り」ような物件が、どんどん出てくれるようになると嬉しいのですが...。

 nice! &コメント、ありがとうございます!
by たいせい (2008-05-17 15:40) 

たいせい

 こうさん、高浜市内の鬼師のところに行くと作り直しの見本として送られてきた古い鬼瓦が、倉庫に山になっているところがあるようです。
 またこうさんの記事にあるように、屋根からおろした古い鬼瓦を庭にオブジェクトとしておいたり、新しい鬼瓦を玄関先にオブジェクトとして設置したり、RC造の厳寒地核の壁に埋め込んだりするような使い方をしているところもあります。
 写真を集めて、そんな例も紹介していきたいと思いました。

 再度のコメントありがとうございます!
by たいせい (2008-05-17 15:52) 

reiko

山本大成さん、今晩は。

このような由来のある屋根瓦を拝見させて頂くと、
古来~日本家屋にあった風情が醸し出されてくるようで、
いいものですね。

因みに、瓦というと、安田瓦しか知りませんでしたから、
色々~勉強させて頂きました。

(追記)
昨日、旅行先で、携帯から~山本大成さんのブログを拝見させて頂いた時に、<読んでいるBLOG>に私のブログ?が載っていたようだったので、

私も、ブログに載せて頂きました。
宜しいですか?
ご了解を受けない前に・・・。
もしご迷惑だったら~仰ってください。(ペコリ)



by reiko (2008-05-19 00:24) 

たいせい

 reikoさん、安田瓦というと新潟の方だったのですね。
(安田にはお客様があり、年に一二度お邪魔しています。)
 安田瓦というと独特の色合いで、新潟市内の旧新潟税関などの保存されている建物にも使ってある印象があり、とても良い風合いだと感じています。
 もっとも安田瓦を含む日本中の和瓦は、江戸時代に入ってからとある職人さんが考案された形状が全国的に普及したと言われており、また棟の形状や使用する瓦の種類なども、地域地域の気候風土に合わせてはいますがほぼ同一形状のものが使われており、共通の文化的な風土の元にあるように思います。
(業界の中にいると、地域地域の施工や瓦の違いを見つけるのが楽しいです。)
 建物というとキッチンやお風呂などの設備機器に関心の中心が向かい、外装もせいぜい壁までで屋根をご覧になる機会は少ないかと思いますが、是非瓦屋根にも関心を持ってくださると嬉しく思います。

 コメント、ありがとうございました!

PS.
 「読んでいるブログ」は、RSSを登録した気になるブログが表示されており、記事が更新されると更新日時順に上位に来るようになっています。
 reikoさんのブログは、どこかで見つけて登録したもので(お恥ずかしい話どこで密桁は良く覚えていません)、気になる記事があったのでコメントをつけさせていただいた次第です。

 最近、「子育てネタ」「瓦業界ネタ」に記事が少し偏り気味で恐縮なのですが、今後ともよろしくお願いいたします!
by たいせい (2008-05-19 15:57) 

わかって建築家

いつもコメント有難うございます。

今回の屋根ネタ非常に面白いですね。

そもそもこのような遊び心のある屋根をやっている国は日本しかないでしょう。中国も中東もこんなことはしていないでしょう。
日本とは世界で一番 屋根の進んだ国だったのではないでしょうか。
by わかって建築家 (2008-05-20 09:51) 

たいせい

 わかって建築家さん、こういう事を普通に出来るのが瓦屋根の良さだと感じているのですが、施工価格先行になりがちな住宅業界でこの種の物件は目に見えて減っています。
 他の屋根材や平板瓦などは、標準的な道具ものしか持っていないわけですが、和瓦の場合先人から積み重ねられた伝統の中で今風に言えばモジュール化が進みお施主様と建築家・屋根屋との打ち合わせの中で、ここ仁尾紹介したような棟の装いや、軒・袖のバリエーション、鬼瓦やここで紹介したような棟飾りが選択できる環境がまだまだ残っています。
 入母屋屋根で象徴されるような昔風の装いは、多くのお施主様にとって受け入れられないものになっているやもしれませんが、現代的な感覚やセンスを持った建築家がこれを料理すれば、かつてとは違った和瓦の装いが可能なのではないかと考えています。
 これからも、私が入手できる限りのバリエーションを紹介していきたいと思いますので、もし琴線に触れるものが有れば是非使ってみていただけると嬉しく思います。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-05-20 12:44) 

nina

鬼瓦くらいなら見た事がありますが、この写真にあるようなものは見た事がないです。
瓦で色んな事ができるんですね〜。
実物を見てみたいですね。
by nina (2008-05-22 23:09) 

たいせい

 ninaさん、関西圏は瓦を大切にする文化がそれなりに根付いていますので、よく見ると職人やお施主の「遊び心」んみよる様々な意匠がまだまだ残っていると思います。
 この記事で紹介したのは「和」の雰囲気が漂うものしか有りませんが、実際には洋風屋根の演出の仕方にもこの手の「遊び心」が随所に見られる場合もあり、ninaさんのあたりではひょっとするとそちらの方の面白い屋根なんかが結構あるかもしれません。
 屋根も目利き出来るようになると、結構面白い世界です。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-05-23 14:53) 

hoihoihoi

これぞ、日本職人の究極、なんでもない遊び心ですね。イギリスでは古い家が残り、古いほど高価となります。屋根は古いものはスレートが多いですね。薄い石ですが、同じものが対馬の伝統的な倉庫といったところに使われていました。写真を見ただけですので、不明確ですが。スコットランドは窓を造っても意味がないので、馬鹿でかい石を積んで耐風と、寒気避けにしているようです。
 見つけられた???物件はラジエターのようにも見えます。エアコンの室外機の一部か?などと想像力が膨らみます。ちなみに、猫などは、陶器として釜で焼くのでしょうか。全く不思議な世界です。
by hoihoihoi (2008-07-03 22:47) 

たいせい

 hoihoihoiさん、米子で見つけた不思議な棟は瓦とモルタルで出来ていますので他の機能性は考えづらく、その後何人かの屋根職人にも聞いたのですが職人の遊び心による意匠性だったようです。
 思うに十数年前までは、こうした職人の遊び心を良く理解してくださるお施主様がいて、職人も基本的には技術者ですから新しいことをやってみたくて様々な意匠があったように思います。
 ただ、今はそんな現場が少なく、施工短歌と工期のみが声高に言われるようになってしまい一抹の寂しさを感じています。
 地方に出張して、その地域地域での独特の屋根の意匠(納め方)の違いが楽しみだったのですが、今では新築の意では日本中どこに行ってもほとんど同じ意匠になってしまいました。
 職人の技が伝統文化として保護されるのが最近の流れなのですが、それだけで食べていけるような仕事の数がないと、若い職人が腕を磨く機会が無くなり、職人の技は途絶えてしまいそうです。

 重ねてのコメント、本当にありがとうございました!

PS.
 フクロウやネコの棟飾りですが、地元に鬼師とか鬼板師とか呼ばれる専門の鬼瓦職人がいて、通常の鬼瓦と同じように粘土を材料に手作りで作ります。
 色が必要な場合は釉薬を塗って焼くわけですが、通常の瓦と同じ焼き方です。
 もし興味がありましたら、愛知にいらっしゃる際にでも鬼師の世界もご案内しましょうか?

PS2.
 欧州では、スイスとイタリアの国境付近の、天然スレートの産出する地域で石づくりの屋根を沢山見たことがあります。
 最近洋風の屋根というと、新生屋根材メーカーの陰謀でフラットなモノだとのイメージが横行していますが、欧州も大半の地域では和瓦と同じ山と谷のある瓦なのですけど....。
by たいせい (2008-07-04 09:47) 

jyugemu

はじめまして。
 大昔古代の瓦に興味を持って以来、旅行に行く旅に屋根を見上げるようになりました。地方によって色々な瓦の葺き方や、飾り瓦を見るのが好きです。
 今後も寄せていただきます。よろしくお願い申し上げます。
by jyugemu (2009-01-06 19:00) 

たいせい

 jyugemuさん、始めまして。
 私は三州の地で瓦製造業の家に生を受け、身の回りに瓦がいつもある中で育ったこともあり、建物を見るとまず最初に目が向くところは「屋根」という、世間一般からするとやや異端児に育ってしまいました。
 そんな中で地方に出張をして屋根を見ていると、昔の屋根は当時の職人やお施主様の心意気で施工されたのだと思われるものが時々あり目を見張ってしまいます。
 社寺仏閣の瓦にも面白いものが沢山ありますが、私が興味を持っているのは民家の屋根で、その点では伊勢の古い街中の屋根なども結構面白いものが沢山ありますね。

 実は現在瓦製造の会社の整理中で、なかなか新しい写真や施工物件などを見ることが出来ず瓦関係の記事も滞りがちなのですが、「瓦に対する情熱」は些かも冷めておらず、今後も記事を書き続けていきたいと思っています。
 今後とも宜しくお願いいたします。
 たくさんのnice! &コメント、ありがとうございました!

PS.
 私の住む愛知県高浜市は三州瓦の故郷で、今でも「鬼師」と呼ばれる鬼瓦職人が沢山居ます。
 高浜市内の飾瓦に特徴のある建物をつないだ「鬼みち」と言われるウォーキングトレイルが整備されており、飾瓦や鬼瓦に関心があるのならば一見の価値があると思います。(屋根に関心がない人にとっては、古ぼけたお寺があるだけで何のおもしろみもない道ですが...。)
 屋根の上の飾瓦で極楽(竜宮城)を表現した蓮乗院や、氏神様には陶器製の狛犬や大だぬき、巨大観音像などもあり、もし興味がありましたら一度足を運んでみてください。
 連絡下されば私がご案内することも出来るやもしれません。

鬼みちものがたり
http://onimichi.fc2web.com/michi/index.html

鬼みち案内人の会
http://onimichi.fc2web.com/top.html


by たいせい (2009-01-07 10:48) 

jyugemu

ご訪問、コメント、ご返事有り難うございました。
高浜市の「かわら美術館」には、数回お邪魔したことがありますよ。

by jyugemu (2009-01-07 19:44) 

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