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「第1回超長期住宅先導的モデル事業」評価結果が発表(200年住宅・第一回採択結果) [200年住宅]

 7月7日に独立行政法人建築研究所内に設置された「超長期住宅先導的モデル事業評価委員会」より、4月11日から5月12日まで募集が行われた「超長期住宅先導的モデル事業の提案と公募」(いわゆる200年住宅)についての結果発表がありました。

 この件については、「日本の気候風土の中で実際に200年の実績と信頼性を持つつ屋根材は、瓦しか存在していない」との確信に基づき、このBLOGでも過去に二本記事を書いています。

 今回の発表内容は、200年住宅採択の考え方や基準実際に提出・審査された提案を元に評価委員会のコメントや評価が添えられており、非常に興味深いものに感じられました。

 恐らく今後この件について種々の建築系の雑誌などで紹介されるものと思いますが、引き続き追ってみたいテーマでもあり私のBLOGでも扱わせていただきます。

200年住宅と瓦(超長期優良住宅:200年の実績のある屋根材は瓦以外存在していない)
http://kawaraya-taisei.blog.so-net.ne.jp/2008-04-09

「超長期住宅先導的モデル事業」提案募集が始まりました!(200年住宅:国土交通省・建築研究所)
http://kawaraya-taisei.blog.so-net.ne.jp/2008-04-16

 こんな200年住宅が建つようになれば...。

 このBLOGでは、一題一記事で、一つ内容は一つのの記事で完結することを旨に記事を書いています。
 従ってこの記事では多少長くなりますが、概ね私の総論」「採択された例として全建連の合いたく案件の紹介」「論評の中で私が注目したキーワード」「まとめ」の順で書きますので、興味のある部分だけでも斜め読みいただければと思います。

 


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 評価結果のオリジナルは以下のHPで、PDF版を入手できます。

(ページ数は23ページと多いですが、建築関係者であれば是非一読されることをお奨めします。)

超長期住宅先導的モデル事業-独立行政法人建築研究所
http://www.kenken.go.jp/chouki/index.html
(Q&A集が非常に興味深いです)

「総評と採択されたプロジェクトの一覧および概評」(PDF版)
http://www.kenken.go.jp/chouki/pdf/1st-kekka.pdf

報道発表資料:平成20年度(第1回)超長期住宅先導的モデル事業の採択事業の決定について - 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000008.html


 今回採択されたのは応募総数603件に対し6.6%の40件で、出せば比較的容易に通るものではなく申請内容に対して私が当初予測していた以上に真剣な検討が行われたのを感じました。
(予算消化のための審査ではないことがハッキリして、安堵しました。)

 採択された内容としては部門別に、新築住宅:29件(うち共同住宅:5件)、既存住宅の改修:4件、維持管理流通システム:5件、技術の検証・情報提供2件と言う内容で、意見としても申し添えられていますが新築住宅の比率が高くなっています。

 要項の発表から受付締切までの期間が短かったこともあり、私個人としては情報的に先行していた大手プレハブメーカーやハウスメーカーが独占してしまうのではないかとの懸念を持っていましたが、採択された案件を見ると予想以上に地域に根ざした工務店や全建連(社団法人全国中小建築工事業団体連合会)などの案件も採択されており、ホット胸をなで下ろしました。

 ただし必ずしも1件=1棟ではなく、プレハブメーカーなどの案件は一案件で数百棟と思われるものもあり、実際に建つ家の棟数ではどんな比率になるかよく解りません。(その意味で全建連の取り組みに注目しています。)

 

採択された「全建連地域木造優良(ちきゆう)住宅先導システム国産材モデル提案」

業界ニュース「全建連、申請1千戸、地域ごとに割り当て」
http://www.stagevision.jp/hinews/article/industry/20080528/3341/

2008 年 5 月 28 日 全建連、申請1千戸、地域ごとに割り当て
 
(社)全国中小建築工事業団体連合会(全建連)が、国土交通省の超長期住宅先導的モデル事業の第1回目の公募に提案した「ちきゆう住宅国産材モデル」は、申請戸数を全1千戸とした。今年度内の着工を条件とし、竣工期限は今年度600戸、2009年度400戸としている。全建連では、工務店による同モデル提案の利用を先着順に受け付ける

 

●超長期住宅モデル/地域工務店型システムを提案/消費者には組織的信頼を確実に/全建連-日建新聞WEB
https://www.ksknet.co.jp/paper/scon0806.html#news01

超長期住宅モデル/地域工務店型システムを提案/消費者には組織的信頼を確実に/全建連
 全国中小建築工事業団体連合会(全建連、青木宏之会長)は5月20日、地域の工務店による超長期優良住宅システムを発表した。具体的には、国土交通省の「超長期住宅先導的モデル事業」の要件を反映させたもので、生産方式や維持管理方式の仕組みを対象とした新築住宅のシステム提案として国交省に申請した。6月からは工務店を対象に説明会を開催し、同システムへのエントリー登録を開始する予定だ。青木会長は「これから5年かけて地域工務店のつくる日本の家を完成させる」と述べ、次世代の工務店による家づくりであることも強調した。
全建連のシステム提案による住宅は、国交省のモデル事業で必要とされた基本性能にプラスして、国産材の利用促進と、地域工務店ならではの「効果的で地道」な耐久性、維持保全対策を盛り込んだ。
 国産材は、日本木材青壮年団体連合会(江守淳一会長)と協力し、柱、梁などの構造材と、根太、垂木、間柱、筋交などの羽柄材のすべてに使用する。
基礎は地盤保証を受けることや、基礎コンクリート強度の現場抜取強度試験を第三者機関により実施。外壁については、厚さ18ミリ以上の通気層を設けるか、軒の出90センチ以上の真壁造りとし、明確な数値を示した。構造金物は、原則Zマーク表示金物を使う。
また、1階の床下には人が入れるようにするため点検口などを設ける。超長期優良住宅として将来的に必要となる点検修理、交換のスペースとして、根太や大引と床下コンクリートの間を35センチ以上確保することとした。

サポートセンターが住宅履歴書を保管
 システム提案のソフト面では、全建連の工務店サポートセンターが中心となり支援を行う。
 CADによる建築確認や住宅性能表示関係の図書の作成支援と、これに契約関係図書や工事記録書、維持保全計画書などを加えた「住宅履歴書」については、同センターが第三者として継続的に保管する。仮に、工務店などが廃業した場合でも、改修などに役立てられる仕組みを構築した。これにより、「全国の工務店が消費者に対して、組織的な信頼を確実なものにしていく」(全建連)ことが目的だ。
 また、今回の提案は、全建連が住宅保証機構の特定団体として取り組んでいる保証住宅「地域木造優良住宅(ちきゆう住宅)」の上位モデルとして位置づけ、ちきゆう住宅検査員による計4回の現場自主検査を実施する。
 7月に採択提案を決定する国交省のモデル事業は、新築住宅について1戸当たり200万円を上限に補助金を交付する。全建連は08年度、全国で1000戸を国交省に申請しており、地域別に配分し、7月中旬から戸別の交付申請の受付を開始する予定。全建連のシステム提案を利用するには、工務店サポートセンターが組織する「JBN」への会員登録と、住宅保証機構の住宅建設業者登録が必要となる。

 

全建連、「国産材100%」を超長期住宅のモデルに採用申請-日経住宅サーチ
http://sumai.nikkei.co.jp/news/house/index.cfm?i=2008052009096n2

大和にある青木工務店社長の日記  超長期住宅先導的モデル事業
http://teak.exblog.jp/8570407/

工務店的な日々 超長期住宅
http://kazumoto.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_2b4d.html


 こんな200年住宅はいかがでしょう?

 


 

 今回の評価・採択のコメントを読んで私が気になったキーワードとしては、以下があげられます。


先導的なモデル事業・普及啓発
 今回の採択理由の中に「先導的なモデル事業として評価した」「普及啓発のために」との文字を、多く眼にしました。
 ただ、今年度三回予定されている先導的モデル事業のうちの第三回目(平成21年1月募集予定)は来年度予算の範疇になることが既に決まっており(評価委員会HP-Q&A集)、今回と次回8月に予定されている第2回めの募集で今年度予算で計上されている130億円の行方が決まることが確定していますので、次回以降予算消化の観点での評価と成らないことを祈っています。

既存の技術を組み合わせて
 「先導性に於いて新しい技術の導入だけではなく、在来の技術ではあるがその適用方法、その組み合わせやシステムぬ革新性があるものも含まれる」とのコメントがあり、同時にそんな申請案件が少なかったと触れられています。
 200年住宅は決して新技術開発力のある大手住宅メーカーだけの独断場ではなく、取り組み方によっては地域に根ざした工務店・ビルダーでも応募し得るものだとの感想を持ちました。

地産地消・○○県産材・地域材
 木材の「地産地消」「県産材」「地域材」とのキーワードを非常に多く多く眼にしましたし、実際地場のビルダーの案件で採択されたものの多くにこの言葉が触れられていました。
 評価委員会としては大手の担っている工業化住宅に比重を置いているのではなく、地域ビルダーによるこだわり住宅への志向性が垣間見られるように思いました。
(ただ、一定の水準を満たしていた案件は大手プレハブメーカーやハウスメーカーに多かったのか、そちらの採択数が多いのも事実です。)
 ただ、単に地域材を使うと言うことだけではなく、供給の仕掛けなどについての提案が含まれていると先導的モデル事業として採択されやすいようです。

長持ちさせるに値する住宅
 この言葉を何カ所かで発見して、嬉しくなりました。
 当初メンテナンスの仕掛けさえあれば、いい加減な建材を使っても採択されかねない雰囲気を感じていましたが(10年に一度の塗り替え30年に一度の葺き直しを前提にした新生屋根材の使用など)、確かな材料を使った確かな家というのが大前提であるとの確認が出来たように思います。
 「日本の気候風土に於いて百年レベルでの使用実績と信頼性がある屋根材は、瓦しか存在していない!」との言葉に、力が入ります!
 
壁体内の結露・通気に関する提案
 木材の耐久性を確保するためにやはり通気による結露対策が不可欠だとの認識で、かなりの提案案件の中でこの言葉に触れられたものが多かったようです。

軒や庇などによる日射の遮断
 省エネルギー対策のコメントの中で、あえて書かれた屋根に関わるこの文言を発見しました。
 長い軒や庇による室内空間への太陽光の遮断は、夏と冬とでは太陽の高さが変わる自然現象を利用した、温度調整の素晴らしい仕組みだと思います。
 あえてこれに触れられたコメントを見て、大変喜ばしく感じました。

地域に応じた街並み・多世代でどうやって受け継ぐか
 この項目については説明不要だと思います。
 特に「多世代で共有し引き継げる外観」と言うことになると、流行に左右されないスタンダードな粘土瓦(特に和瓦)の独断場です。
 現代のライフスタイルにマッチした新しい和瓦の使い方を模索していきたいと思います。

申請案件の部門による偏り
 申請案件に部門別の偏りが随分あり、「既存住宅の改修部門」「維持管理、流通等のシステム整備部門」での提案案件が少なく、今後多くの提案が望まれる旨のコメントがありました。
 現在住宅産業に於いてはリフォーム(建物の改修)市場が大きくなっており、この分野で何らかの有効な提案が出来れば、競争相手も少ないこともあり大きな事業展開が考えられるように思うのですが...。
 「減築」なんてどうなのでしょうか?

Yahoo!辞書 - 減築
http://dic.yahoo.co.jp/newword?category=&pagenum=1&ref=1&index=2006000417

『減築』は、いいことずくめ:たたかう★アキラ
http://go-go-akira.blog.so-net.ne.jp/2007-07-17

 


  現代的なセンスの建築家ならこんな提案も出来るのでは?

 以上、今週発表になった「第1回超長期住宅先導的モデル事業」評価結果についての私の感想を取り急ぎ纏めました。

 私の目で見る限り、地元密着型の工務店戸建て住宅を扱っていらっしゃる設計事務所でも、手が届く可能性が十分にあるのではないかと感じました。

 前の記事でも書きましたが、この制度は今年度のみの単発事業ではなく同規模の予算が今後5年間にわたり計上されることが決まっており、建築業界全般に非常に大きなインパクトを与える国の事業です。

 つまり、一棟当たりの補助金200万円×5,000棟×5年間で、人口10万人の市町村であれば25棟もの200年住宅が実際に建てられる計算になります。

 少しでも早い段階で施工事例を持つことにより、地場の工務店が今後生きていくための方策と出来る可能性も十分にあります。

 そんなにハードルの高い物ではなく自社のみでの申請が難しいのであれば、全建連提出で採択された「全建連地域木造優良(ちきゆう)住宅先導システム国産材モデル提案」に乗っかる形での取り組みも可能だと思います。(この記事の中で紹介した案件です。)

 せっかく国土交通省がこれまでの「国民皆持ち家を目指した低価格路線」から「信頼性を中心に置いたこだわり住宅」へと梶を切りつつ有るわけで、一人でも多くのこだわり建築を標榜する建築家が「200年住宅」に取り組み、経営の安定へと結びつけていただきたいと考えています。

 

 


PS.
 私自身は粘土瓦製造という一建材メーカーに属しており、住宅全般に対する知見は必ずしも深いものではありません。

 私の認識が間違っている点、事実誤認をしている点などありましたら、遠慮無くご指摘下さい。
 また、ご意見ご感想など有りましたら、お気軽にコメントいただけると嬉しく存じます。

 

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コメント 20

こう

実際に200年以上経っている住宅はどのへんが、優れているのか興味がわきました。
by こう (2008-07-10 20:26) 

スミッチ

長期間使える屋根材はやはり瓦ですね。
by スミッチ (2008-07-10 22:30) 

mike

既存の技術を組み合わせ、壁体内の結露・通気、軒や庇などによる日射の遮断、地産地消…

昔の家づくりには、当たり前にされていたことなんですよね。
学術的な知識というよりも、受け継がれてきた経験からの教えというところでしょうか。

自戒もこめて、経済優先で失われつつあるものを見つめなおさなければなりませんね。
by mike (2008-07-11 10:09) 

たいせい

 こうさん、今の建築関係の法体系では、地震や台風・積雪などの災害に耐え実際に200年持っている建物を建てることが出来ないという、実に妙なことになっています。
 反面、今建てられている家の多くがプレハブメーカーやハウスメーカーや、それを模倣したビルダーのもので、建材一つ取っても20年以上の実績の無いものを多用しています。
(樹脂製品の多くは経年変化で明らかに脆くなります。コンパネや集成材の接着剤など本当に大丈夫なのでしょうか?)
 古民家や社寺仏閣などをたまに訪れると、暗澹たる思いがします。

 ライフスタイルは確かに変わっていますので、昔のままの建物がよいとは思いませんが、もう少し違う建て方があるのにと思うことが多々あります。
 そう言う意味で、今後200年住宅も「こだわりの家を標榜する地域の工務店」の取り組みを期待しています。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-07-11 10:10) 

たいせい

 スミッチさん、当初大手プレハブメーカーやハウスメーカーが支配力を持つ住団連の「200年住宅って?」という小冊子の中の屋根に関する項目で、「10年に一度の塗り替え」「30年に一度の葺き増し(屋根材の上にもう一層屋根材を施工することだと思います)」との記述を見つけて、暗澹たる思いでいました。
 ただ今回の評価委員会のコメントを見ると、記事中で紹介したように「長持ちさせるに値する住宅」との方向性が明確に示されており、メンテナンスによって長期の使用に耐えることもさることながら、それ以上に「200年住宅に恥じぬ耐久性」という点が重要だと言うことが解り、ホット胸をなで下ろしました。

 「100年単位で実績のある屋根材は、粘土瓦しか存在していない!」
 この言葉に力が入ります。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-07-11 10:20) 

たいせい

 mikeさん、発表された評価委員会の報告を読むと、必ずしも開発力のある大手住宅メーカーに偏ったものではなく、街場のこだわり建築の担い手へのエールが含まれているように感じました。
 いまのところ、まだそんな方達の応募案件はそんなに採択されては居ないようですが、今回の評価報告を読むとどんな建物が求められているかが解りますので、地域を拠点にしたそんな方達や設計事務所の方達の応募が増えると素晴らしいと思います。
 適当な物件が有ればと言うことになるかもしれませんが、mikeさんもいかがですか?
(その場合は是非、屋根には三州瓦を...。)

 nice! &コメント、ありがとうございます!
by たいせい (2008-07-11 10:32) 

STEALTH

最近娘の付き合いで楽器のことを学んでいます。中には200年前のものとかでまだ使えるもの、貴重なものが沢山ある世界です。
住宅も建材もそんな時代がくるのかも知れませんね。
by STEALTH (2008-07-11 20:07) 

yanasan

〝温故知新〟で取り組んで欲しいと思いますね。

by yanasan (2008-07-11 20:38) 

たいせい

 STALTHさん、建物についてはそんな状況はほど遠いと感じています。
 現実に200年保っている建物は、法規制で今は建てることが出来ない世の中ですので、例え200年後に残っているものがあったとしても、数多ある現在の工法の中で偶々残っただけの結果論に過ぎないように感じます。
 勿論その中で今考えられるもっとも可能性の高い物を、普及させるように願うわけですが...。

 nice! &コメント、ありがとうございます。
by たいせい (2008-07-12 12:19) 

たいせい

 yanasanさん、温故知新となってくれればよいのですが、いまだプレハブメーカー・ハウスメーカが主導権を握った、「なんちゃって200年住宅」が氾濫するのではないかとの危惧も捨てられずにいます。
 今回の教科コメントなどを読むと、必ずしもその方向に持っていこうとはしていないのはうかがい知れるのですが、それなりの申請案件が提出されてこなければ審査することも出来ず、街場の「こだわり建築の担い手」の応募を期待しているところです。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-07-12 12:44) 

kappa

200年住宅。これを建てようとするお施主さんって、逆に200年前に建てられた家に住んでもいいと思うのでしょうか。
人が住まない建築物ならともかく、20年もすると設備や間取り・断熱性が陳腐化して、本体はまだまだ使えるのに建て替えられている現状を見ると、間取りの変更、設備機器の交換、断熱性向上など、改修が安価にできる、新たな工夫なが欲しいところです。外壁や屋根のメンテナンスに足場が不要な構造とかも良いですね。
でも住宅が全て200年住宅になってしまったら、新築の需要って非常に少なくなってしまうかも知れません。
by kappa (2008-07-12 13:19) 

たいせい

 kappaさん、一応これに関しては200年住宅という通称は使っているものの実際に200年保つ家という意味ではなく、現在の家と比べた場合に明らかに耐久性があり「30年経った後でも残存価値の残る家」というのが、国土交通省の基本的な考え方です。
 本文中に紹介した前の記事(200年住宅と瓦)を読んでいただくと内容についても触れていますが、間取りの変更、設備機器の交換、断熱性向上、骨組み(スケルトン)と設備機器(インフィル)に分けたメンテ計画、メンテナンス履歴の保存などが、基本的な要件として定義されており、その辺りの取り組みの先進性が今回のモデル事業の採択要件になっているようです。

 私個人としては、「国民皆に持ち家を」とのスローガンの元で推し進められてきた国の「低価格・工業化住宅路線」が、大きく梶を切って「質への転換」を進め始めたとの理解をしており、事業の進捗状況に大きな期待を持って見舞っている次第です。
 少なくとも新築時のコストだけではなく、信頼性やランニングコストなども、新築時のモノサシの中に加わる事を期待しています。

 確かに将来、新築棟数は更に少なくなるやもしれませんが、住宅の進歩の方向としてはよい方向で、建材や構法も確かなものが使われやすくなり、粘土瓦も見直される機会になると良いのですが...。

 nice! &コメント、ありがとうございます!
by たいせい (2008-07-12 13:53) 

toyo

私は建築家ではありませんが、シロアリ防除を通して間接的に建築と関わっていますのでこういう記事はとても参考になります。
なんか今のところ出足?はいいみたいなので今後の動向が気になります。
これからも参考にさせていただきます。長文で大変でしょうが期待しています。
by toyo (2008-07-12 14:00) 

たいせい

 toyoさん、私も粘土瓦製造業という立場で建築業界を隅の方から見ていて、こだわり建築の担い手の方々に少しでもエールを送りたいと、この一連の記事を書いているような気がします。

 ちっぽけな会社ではありますが、三州瓦という粘土瓦の主流派の組織に属していることで、偶々中央に近い場所で早い段秋で情報が入手できる場合があり、この記事もそんな切っ掛けより書いています。
 自社のお客様には、他の方達よりも少なくとも情報面では優位に立っていていただきたいとの思いも有り、情報収集にはそれなりに力を入れており、お客様への報告文書も今用意中で、この記事はその下書きのようなものです。
(「建築業界を動かしている200年住宅の最初の情報は、自分からだった」と、お客様が元請けに胸を張っていただける状況を作りたいです。)

 この機会に、こだわりの職人やこだわりの建築家が、安定して仕事が出来る状況を作っていただけると、本当に嬉しいのですが。

 nice! &コメント、ありがとうございます!

PS.
 まだ今週初めの発表であり、ネット上でも関連情報がそれほど出回っていないようですが、私の個人的な見解が他の方達と一致するかどうか?楽しみにしています。
by たいせい (2008-07-12 15:47) 

nina

>長い軒や庇による室内空間への太陽光の遮断は、夏と冬とでは太陽の高さ
>が変わる自然現象を利用した、温度調整の素晴らしい仕組みだと思います。

なるほどなるほど。
雨よけくらいにしか思ってませんでしたが、こんな効果があったんですね。
古くからの形って色々と意味があるんですね〜。
by nina (2008-07-14 00:26) 

たいせい

 ninaさん、朝鮮半島や大陸と比べて日本の屋根は軒が深く、外観上の相違点になっているようです。
 日本の場合は台風などの強風を友納板雨が多いことに夜影響と聞いていますが、恐らく日本の気候風土の中で、様々な指呼錯誤を経て土地の条件に有った形状へと最適化が進んで今の意匠があるように思います。
 ninaさんのやっていらっしゃる印刷物のレイアウトやデザインなどもそうなのだと思いますが、沢山の人の手を経て切磋琢磨が進んでくるとセオリーが出来て、洗練されてくるように思います。
 上でそんなコメントもつけていただいていますが、本来新しいことをする場合は「温故知新」というのが原則なのでしょうね。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-07-14 07:15) 

アキラ

集成材・ベニヤ板・殆どの断熱材・高気密・低い基礎・カラーベストの屋根・殆どない庇・サイディング・・・どれ一つとっても200年にはほど遠い。
と思いますよ。

by アキラ (2008-07-14 11:03) 

たいせい

 アキラさん、本文中にも多少触れましたが、今回「改修部門」の申請が無く今後に期待する旨の検討委員会からのコメントがありました。
 「減築」というのは、かなり筋がよい取り組みのような気がしますが、具体的な物件が有れば一度チャレンジしてみる価値があるように思いますが、いかがでしょうか?(具体的な案件が無くとも申請は可能なようです。)

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-07-14 11:25) 

tsk

もし、200年前の家に住むことができるのであれば、住んでみたいtskです。
家を建ててから、古い家を見るたびによくできているなぁと気になるようになりました。

伝統的な工法のよいところは十分に残して、悪いところもはっきりとさせ、それを改善していくことは進化という意味で必要です。
そうやって日本の住宅も進化してきたのではないでしょうか?
けして古ければよいのではないです。

施主側からすれば、一番響く、コスト高も気になることです。最終的には普及するかはこれにかかっています。長期的に見ればコストが安くなるって言うのだけでは厳しいのではないかと思います。
安全や文化もタダではないこともわかります。

超長期に使える部材が、本当に環境にやさしいかも疑問です。

ちょっと、脱線気味な話ですが
環境にお金を払うというのは全世界でありますから日本でもそうなるでしょう。
CO2排出量が従来の何%減という表現が本当にいいかはわかりませんが、世界指標である限りいたし方ありません。これらもうまくやらないと日本は取り残されます。

値段が30%減の瓦より
製造工程でのCO2排出量が30%減の瓦
が売れる時代がきています。

ただ、消費者もこれにだまされないようにしないといけません、上記の表現は絶対値表現でないので他のものと比べられません。
by tsk (2008-07-19 02:27) 

たいせい

 tskさん、今回の超長期優良得住宅(200年住宅)は一言で言うと、「全世帯に持ち家を」の掛け声の元で国が戦後長く続けていた「品質よりも低価格路線」によるプレハブメーカーの育成政策が大きく転換点に来て、「品質・耐久性」の方向に大きく舵を切り始めた証であって欲しいと考えています。
 勿論どのような家を建てるかに選択肢は常にお施主側にあり、流入人口の多い都市部は相変わらず土地建物込みでの持ち家探しが主体となり金銭的な負担の限度により低価格路線のローコスト住宅の比率はますます増えると思いますが、それ以外の地域に於いてもともすると工業化住宅が席巻している状況が、「品質・耐久性」というどちらかというとこれまで余り表面に現れていなかったモノサシが多少なりとも注目を集め、「安いモノには訳があり、高い物にはそれだけの理由がある」との当たり前の常識が通用する業界になっていけば素晴らしいと思っています。
 少なくとも、建物のグレードと言うことにたいして一部の方達にしか余り顧みてこられなかった本来住宅として考慮しなくてはならないはずの幾つかの点が、顧みられる切っ掛けになり得ると楽しみにしています。

 環境問題に関しては、実際に様々なことを自分なりに調べていると今着目されているものには多くのウソがあると感じています。
 例えば太陽光発電についても、太陽光発電自体の環境負荷は少ないものの、太陽電池の生産に必要なCO2の量は半端ではなく実はそんなに環境に優しいものではないようですし、その手の様々なギミックの上に乗って現在の環境ブームが出来上がっているのを感じています。
 本来的にはスクラップビルド式の産業構造を変えて、一旦作ったものを長く使い続けるための仕組みを模索するというのが様々なウソの入り込まない、一人一人が監視・実行できる環境対策なのではないかと個人的には考えていますが、この観点で取り組んだ様々なものが事業ベースではほとんど成り立っていないという事実に暗澹たる気持ちになることが多々あります。
 その意味でも今回の「超長期優良住宅(200年住宅)」のその後の進捗に期待しています。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-07-21 09:07) 

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