最後の出張&防災新安定瓦「バッチリくんPLUS」生産移管 [実録「山本大成」]
先週、恐らく最後の出張になるであろう山形県まで行ってきました。
自分自身は担当営業エリアをほとんど持たず、商品開発的なこと、マーケティング的なこと、その他雑務をやってきた中で、自分自身が直接お客様を受け持ってきたのは山形県だけで、本来は生産休止の発表後直ぐにでもお邪魔しなくてはならなかったのですが、年が明けてやっと訪問することが出来ました。
これを切っ掛けに感じたことと、もう一点は業務連絡的な記事になりますが弊社防災瓦新製品「バッチリくんPLUS」の生産移管先が決まりましたので、この件について書かせていただきます。(マーケティング的なことに触れてあります。)
山形県酒田-山居倉庫(木造瓦葺き-現役の庄内米倉庫)/防災新安定瓦「バッチリくんPLUS」
さて、山形出張についてです。
いつもの出張であれば、「今回は○○の話をしよう」「新製品の反応はどうだろうか?」「山形の市況や同業者の動きははどうなっているのだろうか?」などあれこれ考えながら向かうわけですが、今回は次なる営業展開もないわけでしかも生産休止のお詫びとしてもタイミングの遅れた訪問であり、「何を話せばよいのだろう?」「どんな顔をして対面すればよいのだろうか?」と何やら憂鬱な思いに捕らわれた車中の8時間あまりでした。
弊社の生産休止の原因としては営業不振以上に燃料費高騰による急速な資金流動性喪失のウエイトが高かったのですが(燃料費が毎月1~1.5千万円余分に掛かる状況では、年間で1億円単位のキャッシュが必要になります。)、その旨を説明させていただきただひたすら「申し訳なかった」「期待に答えられなかった」とお詫びするのみの出張と成ってしまいました。
製造業の付加価値の源泉は『ものづくり』にあり、「競争力のある品質の高い『もの』を作り出すことが出来さえすれば売上や利益はそれに付随してくる」「製造業に於ける営業は競争力を持った『もの』さえあれば、それを正しい姿でお客様に説明すること」と考えこれまで事業を行ってきました。
そうした弊社の考え方に賛同下さってこれまで取引いただいてきた方がうちのお客様だったわけですが、お客様が掛けてくださった言葉は非常に温かいものでした。
「お宅の瓦の品質は、掛け値無しに日本一だった。」
「代わりのメーカーを探そうと思って数社の製品を使ってみたが、どれも帯に短し襷に長がしで山倉に代わる製品がまだ見つからない。」
「和瓦の分野で製品開発に一番投資し結果もあげてきたという面では、他社とは全く違っていたと言うことが今回のことで初めて解った」
「品質を拠り所に、もっと強気の商売をしても良かったのでは?」
現に昨年5月決算時の販売指標は、和型陶器瓦としての三州瓦全体の組合統計で年間出荷累計が昨対-19%だったのに対して-2.4%で押さえる事ができていましたし、平均売価はむしろ引き上げに成功していました。
こだわりの工事を標榜する施工店の支持率が高く、施工単価の高い物件には弊社の瓦という位置づけも確立していたとの実感があり、昨今の建築単価二極化現象の中でハイエンド側でのシェアを高めようとの営業志向を執ることで同業者に比べ毎年+15~20%の出荷量の差という形で結果にも表れていました。
(和型陶器瓦の全国的な出荷量は毎年15~20%の減少傾向が十年来続いており、営業不振を理由とした破綻や廃業が2~3件毎年必ずありました。現在流通しているタイプのツメによって強風でも飛ばず地震にも強い「防災瓦」を三州で一番最初に作ったのは弊社で、急激な長期低落傾向の中でありながら生産が間に合わないなどという時期も4~5年前まではありました。)
(こだわり施工を標榜する施工店の仕事は決して減っていないと実感していましたし、むしろここ2~3年は他の方達に比べて施工単価の高いはずのこの方たちに仕事が集中する傾向すら感見受けられ、弊社にとっては追い風が来つつあると感じていました。)
うちでも建築業界が不況になって、様々な選択がありえました。
-
- 「製品の色種やアイテム数を減らせば単品の製造ロットが大きくなって、原価や在庫ロスの削減になる。」
- 「大手メーカー並みの品質まで下げれば、価格競争力がまだまだあるはず。」
- 「他社との分業体制を作り、自社の得意な製品のみに特化して競争力を生み出す。」
- 「安売りによって設備稼働率を上げ、資金の回転を有利にする。」
- 「大手メーカーの外注先として生き残りを探る」
- etc.
他にも幾つかの方法論がありましたし、こうした方策を採ることによって業績を好転させた同業者も存在していましたが、弊社の場合は「大手メーカーと同じ土俵に乗らざるを得なくなる方法は愚策」「むしろ大手メーカーの逆を行って弊社の特徴を作り出す」と言う考え方で、「付加価値の源泉である『ものづくり』に経営資産を投入する」との方向性を目指してきました。
(もちろん最重要テーマに何を選択するか?という話で、「原価削減」や様々な施策は継続的に行っていました。)
会社内でも様々な意見がありましたし、その都度の選択に今とは違うチョイスをしていれば或いは別の道が開けていた可能性はありますが、大きな選択としては間違ってはいなかったと未だ思っていますし、現にこの考え方で売上的には一定の結果も残してきたつもりです。
こんな考え方で製品の製造販売を行ってきましたので、必然的に工事店との関係も同業者に比べて深いものになります。
「この瓦を使った責任施工をします。」との施工店のセールストークが成立しうる製品を作ることを個々の製品開発の着眼点としてやってきた以上、弊社がものづくりを止めたら工事店にとって痛手です。
その辺りが解っているだけに、お客様たちの「代わるメーカーがない」との一言が深く胸に突き刺さりました。
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「バッチリくんPLUS」生産移管
生産休止以来、「弊社の主力製品や新製品を引き継いで生産したい」「ブランド名を引き継ぎたい」との申し入れが、数社よりありました。
整理している会社の製品にこのような評価をいただけることは瓦業界ではこれまでほとんど希で、弊社の製品群や考え方が同業者や市場にある程度認められていたことの表れでもあり大変嬉しいことでした。
以下の生産引き継ぎが決まりましたので、この場を借りて周知させていただきます。
防災新安定瓦「バッチリくんPLUS」
製造 桟瓦-エビス瓦工業(株) 役瓦(小幅桟・雪止瓦・etc.)-神兼瓦工業(株)
販売 神兼瓦工業(株)・エビス瓦工業(株)・(株)三州石川※ 本いぶし瓦は、これまでの従来型「バッチリくん」に代えて(株)篠田屋が「バッチリくんPLUS-本いぶし瓦」の製造を行うことも決まっています。
防災袖瓦「紐袖瓦PLUS」
(勘合構造により従来3点必要であった堅結を2点で防災性能を発揮。ビスや銅線等が表面から見えず施工後の美観に優れる瓦。また耐火性能確保の必要性から袖瓦の垂れ面を破風板から離した施工が必要な地域でも所定の防災性能を確保。)
引き受け手がほぼ確定しつつあります。確定しだい改めて発表します。防災紐袖瓦「バッチリくん紐袖」の防災構造
以下、瓦業界の専門的な言葉も多く解りにくいと思いますが、「バッチリくんPLUS」のマーケティングに関するメモを載せさせていただきます。
(弊社の考え方に触れられるとは思いますが、興味のない方は読み飛ばしてください。:なお具体的なデーターや差し障りのあると感じられる部分については割愛したり伏せ字にしてあります。)
防災新安定瓦「バッチリくんPLUS」
防災新安定瓦「バッチリくんPLUS」についてのメモ平成 21 年 1 月 19 日
山倉瓦工業株式会社 山本大成バッチリくんPLUS、製品の開発コンセプト
- 従来型防災瓦「バッチリくん」の次期商品として弊社製品ラインナップの中で「High-Low MIX」のHigh側を担っていく狙いで開発した瓦であり、和瓦の中で価格的にも性能的にも最高のハイエンド製品としての位置づけを期待。
- あくまでもあらゆる環境の変化から家本体を守る「最高の防災瓦」という狙いであり、緩勾配専用の瓦ではなく「最高の汎用品」(緩勾配用の瓦以上に緩勾配性能が高い「高性能和瓦」)として発売し、従来型防災瓦「バッチリくん」の後継主力製品として育成する。
- 葺き上がり時の外観的には「バッチリくんⅡ」の失敗を教訓に防災機能は全て表面から隠し、それでいて最高の防災性能を維持することを主眼に置く。(外観に変化を加えた和瓦の市場規模は意外に小さく、一時のブームはあれど長続きしないとの判断。外観の変化を許容するお客様は、いずれ和型の必要性を感じなくなるお客様と判断。)
- 瓦単体の形状としては、一枚の瓦を従来の瓦と並べて置いた場合に一目で優れた瓦だとの印象が与えられる形状とする。(「この瓦を使って責任施工します」との屋根工事店のセールストークが生きる形状)
- 最近新製品のカタログがA4 2ページのリーフレット形式が主流だが、製品の信頼性を演出する観点からA4 6ページ(観音開き)の機能説明主体の信頼性を演出したカタログを販促ツールとして用意。
- ネーミングについては市場認知度の高い「バッチリくん」のネームバリューを生かした上で高性能な印象を与えられるものとして「バッチリくんPLUS」とする。(後継商品としての印象を与える狙いもある。)
バッチリくんPLUSの特徴
- 葺き上がりの外観は従来の和瓦そのままで、高い防水性を発揮。(保守的な方にも受け入れられる形状)
- 緩勾配専用の瓦ではないにもかかわらず、緩勾配専用の瓦よりも高い防水性能・緩勾配性能を実現。(表面形状を変えたタイプの瓦は、桟山の左側の雨水が防水構造の中に取り込まれてしまうが、PLUSの場合は通常の表面排水の範疇で水を谷側に排出させる構造。)
- 市場調査の結果、緩勾配用の瓦を使う場合も役瓦は従来の瓦を使う場合が多い事が判明。役瓦は従来のものを共通使用できる形状。(下に建物のない袖や軒先については元々下に建物本体がない部位でもあり専用の役瓦は必要ないとの判断。お客や自社での従来品とPLUS対応品の二重在庫の必要性を軽減。)
- 葺き替えでの使用の場合野地の大きさがあらかじめ決まっており、瓦を葺く際に効き巾を調整して葺くわけだが、市場に流通している緩勾配瓦の場合差し込み部表面の突起と3側の重なりの隙間が変化するなど所定性能を発揮する為の機能上や外観上調整幅が狭いが、PLUSの場合あらかじめインターロック構造部の位置及び寸法の検討をすることで屋根工事時の調整寸法をあらかじめ配慮してあり、葺き替えへの適応性が高い。
当社でやってきたバッチリくんPLUSのマーケティング
- あくまでも、従来型防災瓦とPLUSの二本の製品系列による「High-Low MIX」と言うのが基本。価格対応は従来型の防災瓦で行い、PLUSは高付加価値製品として価格を維持することにより会社としての平均販売価格を守り、値上げの際の機軸製品として役立てる。
- 「この瓦を使った責任施工をします」とのトークが工事店のお施主様に対する営業で有効である旨お客様に説明すると、屋根工事店の共感を得られる場合が多くあります。
- PLUSどうしの不毛な競争を極力回避するために商流の交通整理を常に行い、価格や競争力を維持する。
- 大手問屋などメーカー間での熾烈な競争に直面している販売先については、葺き姿の変わらない緩勾配対応瓦というPLUSにしかない特徴を生かし、その問屋が販路を広げるためのツールとして説明。(価格競争になったら大手メーカーに勝ち目はなく、違う競争軸を構築。実際に大手メーカーが寡占している問屋に対して非常に相性の良い瓦でした。)
- 大手工事店は施工単価の様々な現場があるが安い現場も手を抜くわけにはいかず、価格差を説明するためにはどの現場も同じ瓦を使うわけにはいかないとのジレンマを抱えています。施工単価の高い現場に適した高性能な瓦としての売り込みが非常に効果的。(一度使っていただくと最終的にはPLUSの採用比率が上がってきます。)
- 二社購買で和瓦を物件や客先により数社から買っている問屋・工事店については、二系統の製品を持つことで一社でこれを独占することが出来る。
- 価格優先で和瓦のメーカーを選択する客先は、経験上いずれ安い平板瓦の使用へと移行していきますのであえて積極的な売り込みは行わない。高付加価値で品質の良いPLUSのイメージを定着することで確かな工事を標榜する工事店の比率が高まり、客層の転換へとつながる。
- PLUSに興味を示さない従来顧客には必要以上に薦めることはせず(無理に薦めることは値下げに繋がります)、新規優良顧客の獲得を軸にした営業展開を図る。
競合製品とバッチリくんPLUSの関係
A社-製品a
- 本格的な緩勾配への対応という意味では、PLUSとこの瓦が性能的には双璧だと認識しています。当社の場合はバッチリくんⅡの失敗もありあえて表面形状を変えない方向にこだわって製品開発を進めましたが、表面形状を変えたタイプではいまだこの瓦が最高峰だと感じています。PLUSを選ぶか?この瓦を選ぶか?は顧客の嗜好であり、競争は不毛な場合が多いです。(表面形状を変えた和瓦のマーケットは当時で月間10万枚、一時のブームはあったものの最終的には20~30万枚程度の市場規模で、そこに何社もひしめき合っていると認識。:この製品カテゴリーはいずれ近いうちに過当競争となる。)
- 性能的には窯業試験場の圧力箱漏水試験での結果など、PLUSはこの瓦を凌駕する結果を明確に示しており、決して負けるものではありません。公的な試験成績書を示すことで顧客の納得が得られます。
- このタイプの表面形状を変えた緩勾配瓦の欠陥でもあるのですが、桟山左側に落ちた雨水は差し込み部に回る水を防ぐ突起の内側に取り込まれる構造になっており、防水性に於いてはPLUSの方が優位にあるとの説明が可能。
- さらには葺き替えに使用した場合に、野地の大きさにより葺き寸法を調整しなくてはならない局面が多々あるわけで、この瓦の場合伸ばし目に葺いて隙間が開いた場合に防水性が低下するとの欠点があります。ある程度の葺き巾にはじめから対応しているPLUSとの説明が有効。
- この瓦の場合、表面形状の異なる桟瓦に対応すべく袖瓦・軒瓦に特化した役瓦がはじめから用意されています。(実際には顧客での在庫負担の問題などで、桟瓦以外は従来品を使う工事店の比率が高いことは市場調査で判明。) 袖部・軒部の対応役瓦についての指摘があった場合には、元々緩勾配対応で試験し想定している性能は伊勢湾台風クラスの100年に一度の暴風雨であり、その際も建物本体を守る部分は全て対応できるように考えてあるとの説明が必要な場合がある。
- なお価格比較をされた場合には、この瓦の場合は通常より高く設定した対応役瓦の存在を考慮に入れておく必要があります。桟瓦は安くとも役瓦を含めた屋根全体の瓦代を比較した場合には、決して安くないのがこの瓦です。
B社-製品b
- 表側の表面形状はPLUSそっくりに作られた瓦で、当社が生産休止を発表した後当社の顧客でも一時随分使われたようですが、さほどの脅威と考える必要はないと感じています。現実に当社製造休止前にこの瓦が出荷されていた客先は当社がPLUSを出荷していた顧客の周辺の競合先に限られていますし(当社の顧客との競争上、周辺の屋根工事店が採用したもよう)、元当社の顧客の話ではPLUSの偽物という認識です。
- PLUSの最大の特徴である桟山裏側の雨水を防ぐ突起が無い以上(雨水に対するインターロック構造)、前記A社の製品aと戦える瓦との認識はどのお客様も持っておらず、「所詮偽物ですね」「類似品が出回るくらいPLUSが本物と同業者も認めています」と笑い飛ばせば事が足ります。
- 「PLUSであればA社の製品aと横綱相撲が取れますが、この製品で戦えますか?」とのセールストークが非常に有効でした。
C社-製品c
- 葺き足や葺き巾の調整がある程度出来る瓦で、雨水に対する性能などの「お施主様に向けた性能」よりも「屋根工事業者の施工性」を重視した瓦。
- 和瓦の将来を真剣に考えていこうとの視点を持った工事店(PLUSの相性によい工事店)においては、今後PLUSと比較検討対象となる瓦だと感じています。
- 防水性能などのお施主様サイドから見た性能については明らかにPLUSが優位に立ち、「施工性vs性能」というのがこの瓦との競合の場合の対立軸となる。
- ただ生産量がそんなにあるメーカーではなく、今後この会社と提携を決めた各社が製品の共通化を進た製品が大量に市場に出回るまではさほどの脅威ではないと思います。
- なおPLUSの次なる進化の方向としては、「葺き足の調整可能な瓦」と言う方向性も頭においた検討を進めていました。
和瓦の今後、瓦製造の今後の方向性についての私見
かつて防災瓦を九州から東に拡販していった際に、「このツメがあるか無いかで耐風性能が全く変わります」「この瓦を使った責任施工を屋根工事店としての貴社の拡販に繋げていってください」とのセールしトークが非常に有効で、全国への防災瓦の普及と共に和瓦の市場低迷の中でも「山倉だけはフル操業してもいつも在庫がない」という状況を経験することが出来ました。
ただし現在の市況はPLUS単体での市場獲得が出来る状況ではなく、少なくとも数年経って製品が陳腐化すればおそらくPLUS単体では他社に比べいく分競争力がある程度で、とてもではないが市況に影響されない販売価格や販売数量には到達できないと考えていました。
そう言った前提条件の中で進むべき方向として、「防災袖」や「防災のし」などの役瓦を使った「PLUS工法」の確立によって複数の製品群でかつての「防災瓦」以上の競争力を獲得し、同時にシステム商品としての顔を持たせることで他社の追随を防ごうとの方向性を描き、着実に手を打ってきました。
結果的に生産休止せざるを得ないことにはなってしまいましたが、そうした考え方で製品展開をしていった結果営業基盤だけは比較的盤石で、先期組合統計では年間-18.5%の和型陶器瓦出荷量という大幅縮小局面の市場環境の中、当社の出荷は昨対-2.4%、従来瓦も含む平均販売価格もプラスで推移させるという結果を得ることが出来ていました。(過当競争に対応した価格対応は従来瓦でやっており、ハイエンドのPLUSの市場浸透とのバランスで最終的に平均販売価格を引き上げました。)
敗軍の将が兵を語るという実にみっともない自体に立ち至ってはおりますが、上記の結果は「製造業というのはモノを作り出すことに付加価値の源泉があり、もの作り以外に苦況を抜け出す術がない」との観点でここ数年来試行錯誤てきた結果でもあると感じています。
昨今、中堅メーカーが大手メーカーと同一の志向性で単純な製品群の統合による生産性の向上や、選別基準を引き下げることにより価格競争力を生み出す方向にシフトしているのを感じていますが、恐らくその方向性には活路はなく、大手メーカーに呉して自らの競争力を高めるどころか、相手の「都合の良い土俵」の上に乗ってしまうことであろうと感じています。
やはり製造業は、都合の良い製品を選べば済む問屋でもブローカーでも商社でもないわけであり、自らの付加価値の源泉でもある「もの作り」に活路を見出す以外に生き続ける方策はないと信じています。
瓦以外の製造業では大きいことが企業の競争力を表す基準ではなく、むしろ「小さいこと」「こだわりを持っていること」が競争力を生み出し、優良企業となっている会社は枚挙のいとまがありません。
むしろほとんどのメーカーがそう言った方向性で進んではいない瓦業界であるからこそ、こうした方針で生きていくことが出来る隙間も多く存在しているはずであり、すなわち中堅メーカーの進んでいくべき道でもあるのではないでしょうか?
以上
マーケティングに関する関連記事
経営戦略のはやり・すたり(景気の悪いときにこそ信長型経営では?)
http://kawaraya-taisei.blog.so-net.ne.jp/2008-07-25
No.1のモノ(店)しか売れない!?(マーケティングの考え方)
http://kawaraya-taisei.blog.so-net.ne.jp/2008-07-04
山倉瓦工業株式会社生産休止と、その後の製品供給について
http://kawaraya-taisei.blog.so-net.ne.jp/2008-09-04
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異業種では、何人も知人と経営の話をしたりしていますし、また助言もしたりしていて、どうしてこういう案を採用できないのか(この経営者はアホではないのか、と言うわけにもいかず・・・)などと感じることも時にあります。
(小さな会社の役員並みの経験があります)
たいせいさんのように具体的に経過をご説明いただくと、それだけでも経営の参考になります。業種が違うから、どころでなくて、どの業種にも通じる手法・発想法がそこにあるんですね。
いずれ、私の(農業分野ですが)経営理論をお話できる機会があるかもしれません。一般的には斜陽産業である農業ですが、私、元気です(笑)。
by とりのさとZ (2009-01-26 18:19)
お施主さんの中には大手ハウスメーカーと比較して使う材料,仕様が違っていると不安になる人もいますからね。
by yanasan (2009-01-26 23:30)
家を建てているとき、瓦の質について考えたことはありませんでした。
もっと情報が提供されるべきだと思いますが、H.M.は価格の安い品を使っているので、そういう議論はしたくないのかも知れませんね。
by kappa (2009-01-26 23:43)
とりのさとZさん、どんな大企業であれ実際の商売というのはマクロな経営判断で動いているのではなく、ミクロの局地戦主体の個々の現場レベルで動くわけで、その意味で微細なニュアンスを伝えようとすると具体的な事例に踏み込まざるを得ず、読みにくい記事になってしまい恐縮です。
(ミクロの局地戦を総体で判断するのに必要なのが「大局観」や「経営感覚」だと認識しています。)
実際にはこの記事に書いた事を実施するに当たって、予測出荷額の読みや、中間マージンを含む販売価格の設定、主戦場の設定(お施主or元請けor屋根工事店or問屋・顧客規模や業態・地域毎の特性・etc.)、販売方法のマニュアル化、経費対効果の予測、生産効率の読み、リスクマネジメントなども付随しており、実際の成功確率は3割当たれば超優良企業との感覚でマーケティングを組み立てていました。
また常に実感していたのが、これほど考えを巡らした上で行う新製品の市場投入以上に難しいのは「従来製品の廃止統合」で、これが上手くいかない限り新製品という製品アイテムの増加が個々の製品の生産ロット縮小による生産性の低下や、在庫リスクの巨大化、販売戦略の複雑化を招き、何のための新製品か解らなくなる場合も多く見受けられます。
(この見極めが出来ず、経営を圧迫する企業は大企業も含め意外と多いです。)
いずれ機会を見て、それらの方面にも触れていきたいと思っています。
nice! &コメント、ありがとうございました!
PS.
私自身多くの経営者の話をうかがう際に、「自分とは意見が違う」「何故この方策をとれないのだろうか?」などと思うことがありありますが、多くの場合それを阻む要件も同時に存在しており、「理由があってそれが出来なかったのだ」と後になって解ることもしばしばあります。
(うちで言うと「経費負担の大きく採算性の悪い少量生産品目の整理」と言うのは様々な方から言われてきたことですが、何故かはその都度説明してきませんでしたがその道を選択しない理由はちゃんとありました。きっと「アホな経営者」と思われていたことでしょう。)
少なくともほとんどの場合、現在実際に機能している会社であるのであれば、「アホな経営者」では既に経営が破綻しており存在し得ないわけで、何かその案を採用できない要因があるのがほとんどで経営の選択の問題だと思います。
(話には上がってこない財務面や人的な問題がネックの場合なども、多々ありあります。)
by たいせい (2009-01-27 09:37)
yanasanさん、うちの製品の場合は大手ハウスメーカーの屋根に乗せられる場合はほとんど皆無で、どちらかというと信頼される地域の大工や工務店・ビルダーに選択される瓦という狙いでこれまでやってきました。
大手ハウスメーカーが採用する部材は必ずしも良いものではなく、むしろお得感のあるもの、見てくれの良いもの、原価率が抑えられるものとの印象が私にはあるのですが、この感覚をお施主様に伝えるというのが今後の課題だったのでしょうね...。
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-01-27 09:45)
kappaさん、うちの製品の場合メーカーから見て中間に介在する会社が多く商流が長くなりがちな「新築」よりも、屋根工事店が直接お施主様に話が出来る場合の多い「葺き替え」での選択率が高いと言う特徴を持っていました。
新築での採用率を高めるべく様々な方策自体は執ってきましたが、全国でのマーケットシェア1%強のうちの会社では(それでも国内の年度瓦の家の80軒に一軒はうちの瓦でした)なかなかお施主様まで届く情報発信は難しく非常に大きな課題でした。
このBLOGでの瓦関連の記事もその現況を何とかしたいとの思いもあって書き始めたのですが、もっと大きな枠組みで屋根材に関心を持っていただくことからやらなければ、確かな製品がどんどん消えてしまうとの危惧を持っています。
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-01-27 09:56)
最後の出張?ご苦労様でした。
生き残りをかけて、大きな葛藤があったことは、想像に難くありません。
正に断腸の思い、心残りの決断だったでしょう!
今日の記事は、大変失礼ながら私の会社にとっても非常に参考となる記事でした。
何よりもこだわりの工事を標榜する施工店だものですから・・・
たいせいさんの記事を肝に銘じて今後も仕事を続けようと思っています。
by アキラ (2009-01-27 12:01)
ユーザー側に寄った考え方は、会社の規模が大きくなると薄れてくるのでしょうか?
ものづくりと会社経営は相反するものみたいですね。
by こう (2009-01-27 12:26)
お疲れ様でした。でも、折角のご縁、暖かい言葉を糧に良好な関係を細々と繋いでいくことを祈念します。
商品の切れ目が縁の切れ目ではものづくりは余りにも悲しすぎると思いますから。
ご健闘を祈ります。
by STEALTH (2009-01-27 12:33)
売れる物=ほんとにいい物!
だったらいいのですが、世の中そうでもなかったり。
読んでるブログの仲間に入れていただき光栄です。
by iruma_w (2009-01-27 15:13)
アキラさん、私の場合は製造業としての「ものづくり」でしたが、自らの付加価値の源泉を今一度見直すということは、施工業であれば「自らの技能」店舗であれば「品揃え」「立地」「サービス」などどんな業種であれ通用するものだと考えています。(経験の深いアキラさんに対しては釈迦に説法ですが)
ただ大きな地殻変動が起きるときには、その原理原則のみでは如何ともしがたい事態が起こり得るものだと言うことを、実感を持って感じさせていただいているここ数ヶ月間でもあります。
結局はバランスの面で上手くいかなかった部分がやはり存在しており、それが現在の状況に繋がっているわけで、「結果責任」を重く受け止めなければならない経営サイドとしては、何の言い訳にもなっていないと自覚しています。
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-01-27 15:32)
こうさん、勿論「ものづくりにこだわる=エンドユーザーの為になる製品作り」というのが前提条件で、うちも含め多くの「ものづくり」重視の会社は言葉にする必要がないほど当たり前にそうした考えが貫かれているはずです。
より良い製品をより安い価格で供給することに製造業の醍醐味があり、多くの会社はその範疇でしのぎを削っています。
むしろ私の感覚としては、「顧客(ユーザー)志向」「顧客満足度(CS)の向上」など、当たり前なことだというのに係わらずことさらにユーザー側に立っていることを表明する会社の方に胡散臭さを感じたりする場合が多いです。
「ものづくり」と「会社経営」が相反するものだとすると、一番の問題点はは「ものづくり」の方向性が間違っているか、「良いモノが売れない」ことにあります。
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-01-27 15:49)
STEALTHさん、お客様との良好な関係はほとんどの顧客で続いており、生産休止を我が事のように泣いて悲しんでくださる方すらありました。
ただ生産を止めた立場で人間関係を商売を含めて繋いでいくことは、人情にすがりお客様に無用の負担を強いることにも成りかねず、私としては潔しとはしておりません。
今回のお客様の言葉そのものが、「ものづくり」に拘ったものへのはなむけだと感じています。
nice! &コメント、ありがとうございます!
by たいせい (2009-01-27 15:58)
iruma_wさん、「売れる物=ほんとにいい物」ではないことは、様々な顧客での局地戦を通して身にしみて感じてきたところでもあります。
これは一建材である瓦のみ成らず建築全般や他の製品についても言えることで、お施主様レベルでの目利き力が極端に落ちてしまっているのが原因だと思われて仕方ありません。
たたそうぼやいても埒のあく話ではなく様々な情報発信に努めてきましたが、残念ながら力が及びませんでした。
「ものづくり」の世界は、どうなってしまうのでしょうね?
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-01-27 16:07)
全体を通して、同じ考えです。
たいせいさんのところは、外的要因の変化が大き過ぎたのだと
分析しています。
> 「製造業というのはモノを作り出すことに付加価値の源泉があり、
> もの作り以外に苦況を抜け出す術がない」
これは特に激しく同意致します!
僕自身、まず顧客価値を最大にすることを考えますから。
メーカーにあっては、モノそのものですよ。
飲食店にあっては、衛生面は当然として、味でしょう。
ひなたカフェではさらに健康と雰囲気、マンサービスを大事にしています。
建築設計サービスについても、ターゲットを絞った上で同じだと。
それをわかってくれる、お客様やパートナーが僕に声を掛けてくれるのだと
信じています。
by 浜松自宅カフェ (2009-01-27 21:31)
ご苦労様でした
大手メーカーと違う競争軸を構築する。大手と同じことをやっていてもしょうがないですよね。こだわりを持った商品を作ることが重要ですよね
施工する側も責任をもって仕事できる製品を使いたいですよね
by スミッチ (2009-01-27 23:31)
浜松自宅カフェさん、製造業の辛さは生産調整が原価の増大に繋がるという固定費比率の多さと(すなわち市況が悪化しようとも設備稼働率を高めなくてはならない)、巨額な設備投資の必要からの銀行借り入れに痛めつけられて現在の状況に至ってしまいました。
(高い原材料費でも作り続けねば成りません。銀行借入を起こした当初は当然資金繰りがつく見込みで起こしていますが、10年単位の環境変化は確かに大きかったです。)
ただ全ての同業者が廃業せざるを得ないのならば別ですが(上場会社も含めて赤字で苦境に陥っているのは確かですが)、現実営業を続けている会社がある以上外的な環境のせいにすることは出来ず、経営陣の一人として結果責任を負うべきものと考えています。
昨年の建築基準法改正を切っ掛けとした官製不況や、燃料費をはじめとする原価の高騰、金融機関の貸し渋り傾向の始まるのがもう数年遅ければ全く違う絵が描けていたはずだとの思いはありますが(今の路線で競争力がついていたはず)、これらは全て「もし」「たら」の世界であり死んだ子の年を数えるのに等しく、思っても詮無いことだと思っています。
ただ基本的な考え方についてはさほど間違っていたとは思えず、この記事を書いた次第です。
「顧客価値」というのは、ものづくりに関わってきた者として大変難しい課題ですね。
伝わらない「顧客価値」であるのなら、原価の増大を招きむしろ会社経営にとっての重荷になる場合すらあり、かといって「こだわりのものづくり」を進める以上捨て去るこも出来ませんし、捨てたくもありませんでした。
「顧客にとっての価値観」=「プロとしての価値観」とするためにあるのがマーケティングであり販売戦略であるわけなのですが、一定の効果は上げたと自負はしているものの市場環境を突き抜けるところまでは至りませんでした。
ただ年商10億円程度のうちの会社でもブランド力や全国的な直販体制を持ち、この種のマーケティングをオールジャパンのマーケットで仕掛けられるのが瓦業界であり、私にとっては大変面白い仕事でした。
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-01-28 11:56)
瓦は、伝統を重んじているだけではなく、ますます進化しているんですね。
何いおいても薄利多売が横行して久しいですが、いよいよ膿を出し切らねばならないですね。(遅いかも知れませんが)
ものづくりに、まやかしやごまかしは出来ないですね。
たいせいさんの姿勢は、じっくりですが効能が顕在化してくると思います。
by mike (2009-01-28 12:02)
スミッチさん、自社がマーケットの中で存在を許されている理由は何であるかを突き詰めて考え続けた結果このような結論に立ち至り、更に特徴を磨がき生き残ろうとの立脚点で様々な施策を講じてきたと言うのが正直なところです。
規模の土俵ではどうやっても勝ち目がないのが明白であり、だとすれば自らの部のある土俵を新たに作り上げようとの考えを持っていました。
生産ロットが小さいと言うことは、新規製品の投入を容易に出来ると言うことでもありますし、物量を求めなければならない理由も大手メーカーほどはなくマーケットを「面」として捉えて全ての顧客に選択していただける製品を作る必要はなく、マーケットを「点の集合体」として捉え一部のニーズに答える「ものづくり」こそが自社の生きていく道だと考え施策を打っていきました。
そんな考え方に賛同いただけた顧客が随分あったのですが、最終的にはこんな状況に立ち至りました。
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-01-28 12:10)
メンテナンスの面でも、商品が無くなってしまう事は心苦しいと思います。
引き継ぎ先が決まってよかったですね。
by こう (2009-01-28 12:50)
mikeさん、ここ一年くらい感じてきたのが景気が悪くとも施工単価の高いはずである「こだわりの屋根工事店」の仕事が切れず、施工単価の安い屋根工事店はます貸す価格が下がって仕事も薄くなっていると言うことでした。(地区に1~2件くらいずつ、そんな方達が現れています。)
屋根工事店の場合新築時に元請けとなるケースはあり得ませんので、これは施工単価の高い安いにかかわらず信頼のおける工事店を元請けが選択する事例が広がりつつあるという事であり、もう一つ言えばお施主がそんな元請けを選択するケースが増えつつあるという現象だと感じていました。
まだまだ建築の大半はハウスメーカーや安売り型の建売メーカーに席巻されているのが実態ですが、いずれこの傾向は無視できない程度には広がるように思います。(明確な二極化現象)
縮小均衡に向かう市場環境の中で安売りは、今後も限界を超えて進行するのでしょうけれど、「ものづくり」にこだわりを持った作り手の地平は、今後広がっていくと考えています。
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-01-28 12:53)
こうさん、メンテナンスの面も然る事ながら、うちの顧客は「この瓦を使った責任施工をします!」と弊社製品を前面に出した営業展開をしていらっしゃる方が多く、「生産休止=営業戦略の再構築」が必要になる場合が多々あり、その面でお客様に対する責任を感じていました。
これでそうした顧客への責任を何とか果たすことができる状況となったわけで、これまで支持し応援してくださったお客様への責任が果たせると安堵しています。
再度のコメント、ありがとうございました!
PS.
実は当初自社ブランド製品のOEM供給により、販売部門の生き残りを模索していた時期がありました。
とある事情で潰れてしまいましたが(潰された?)、この辺りの経緯についてはいずれ記事にしていこうと思っています。
by たいせい (2009-01-28 13:08)
正直言って、どんなコメントにしようかと模索しましたが、既にみなさんのコメントで出尽くしている感がありましたので・・・困った。
残念としかいいようがないです。
たいせい様の姿勢には感動しました。
外的な環境変化・・これに尽きるように思いました。
by toyo (2009-01-28 14:12)
先日、シナトラのライブの際にお会いした時にお話されていたことでもありますけど瓦に限らず、「良いものが広まる」訳ではないところが、何とも歯がゆいですね。
ただ、たいせいさんの会社の生み出していた瓦は、単なる工業製品ではなく日本の建築文化の美点を受け継ぐものであると私は思います。
いつの日かその価値が理解され、“日本人なら瓦屋根”がスタンダードになる時が来ることを、信じております。
※どうも流感にやられたようです。こんな時間に自宅からコメントさせていただきました。。。
by まーきん。 (2009-01-28 16:01)
ここまでお客さんの信頼を得ていながら続けられないというのは残念ですね。
印刷業界もそうですが、どんどん「品質が多少悪くても安いもの」の方へいっているようです。
作り手からすると悲しいですね。
by nina (2009-01-28 21:42)
どのようなご挨拶差し上げていいのか分かりません。
今の世の中何か変です。
新しいものが どんどん出てきて、それはそれで いいのですが、古いものが消される そんな風潮は許されません。
瓦は 日本の風土 気候にあったものです。土壁でもそうです。お米もそうです。 日本は どうなるんでしょうか
たいせいさん ガンバレ
by sachi (2009-01-29 01:47)
toyoさん、「こんなに頑張ったのに周りの環境の性で続けられなかった!」というような言い訳めいた記事になってしまうのが嫌で、記事本体は気をつけながら書いたつもりでいたのですが、コメント欄の方は改めて読み返すと怨念めいた書き方になってしまい面目ありません。
ただやはり従業員の雇用や信用下さっていた取引先やお客様、これらを守ることが出来なかったというのは結果責任を負うべきものとして失格で、同情の余地はないと考えています。
どんな汚い手を使おうとも普段遊んでいようとも従業員や周りの方達を守れるのが「良い経営者」で、守れないのが悪い経営者です。
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-01-29 09:38)
まーきんさん、瓦業界も様々なセグメントごとに棲み分けがされており、当社の場合は一般住宅用和瓦というカテゴリーに属していることもあって、正直言って「伝統文化」という観点はほとんど持っていませんでした。
(エンドユーザーの志向がそちらには必ずしも向かっていないと感じていましたので)
ただ様々な性能試験や災害現場の視察、実際の現場での耐久性などを目の当たりにすることで、歴史の風雪を越えて生まれてきた和瓦の形状には日本の気候風土に適した多くの叡智が盛り込まれており性能も非常に高く、最も優れた屋根材だとの自信を持ち、この良さを何とかしてエンドユーザーに伝えたいとの意識は常に持っていました。
和瓦という製品カテゴリーは新生屋根材や平板瓦の普及によって十年単位での市場縮小に見舞われており、出荷量は10年前に比べて半分以下、メーカー数も1/3にまで減ってしまっているという向かい風の中、自社だけは違う土俵を作って突き抜けられると考えたこと自体に問題があったのかもしれません。
(超優良企業は不況業種の中から生まれると考えており、可能性はあったはずだと今でも思っています。:流通不況の中で生まれたコンビニや、独自技術で収益を上げる町工場などの例は幾つもあります。)
結局、逆風の中で今まで続けられる程度の業界内では通用する能力はあったが、全産業を含めたオールジャパンで通用するだけの能力と運はなかったと言うことなのでしょう。
ただ、これでしょぼくれているわけではありません。
他の方達にはあまり出来ない経験をさせていただいているわけで、より経験値を積みパワーアップした自分としてこの数ヶ月をムダにはしないつもりでいます。
nice! &コメント、ありがとうございました!
PS.
昨年から千葉辺りではインフルエンザがかなり流行しているようですね。
今年は特に気候変動が激しいように思います。
くれぐれもご安静に...。
(DVDはなかなかコピーしている間が無くなかなか送れずにおり申し訳ありません。)
by たいせい (2009-01-29 10:05)
ninaさん、作り手側が考える「良いもの」というのが、必ずしもユーザー側から見た「良いもの」ではないところが、今の状況を招いているように思います。
解決策としてはユーザー側から見た「良いもの」に作り手側が合わせるか、ユーザー側の意識を作り手側の「良いもの」に近づけるような活動をするかの二つしか無く、当社の場合は後者を選択していきました。
(中堅企業の生きる道は最終的にはそちらにしかないと考えたことと、作り手側の自己満足が要因です。)
今のような大きな地殻変動が起こっているときと言うのは、作り手側も従来と同じやり方では世の中の流れに巻き込まれるだけで何かの手を打っていく必要があるのだと思いますが、どの業界も試行錯誤で苦しんでいますね。
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-01-29 10:16)
sachiさん、ややドライな感想になってしまいますが、歴史上もこのような地殻変動は何度もありその都度新しいものが生まれ競争の結果残ってきたのが伝統や様式であり、人々の郷愁によって残されてきたわけではないと考えています。
現に今残っているものは明治大正を越え戦中戦後の動乱期を経て一時の浮沈はあったにせよ伝わっているものであり、良いものは必ず残っていくと思っています。(全く同じ形では無いやもしれませんが。)
人というものは意識するせぬかは別として現在の環境に縛られるものであり、既に生産を休止して半年近くとなりますが今も作り続けていらっしゃる方達と話すと、今の自分とは既に感覚や考え方がが違ってしまっていることに気がつきます。
恐らく今後この差が更に大きくなり、今までとは違う視点で瓦業界や和瓦を見ることが出来る可能性があるのではないか?というのが、今の自分の楽しみともなっています。
まだまだファイトは失っていませんので、ご安心下さい!
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-01-29 10:37)