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地方自治体の交付する補助金について「高浜市補助金評価委員会」 [我がまち「高浜」]

 二年間の任期で高浜市の行政が主催する第三者委員会「高浜市補助金等評価委員会」に参加させていただき、日頃あまり身近に感じることのない「補助金」について、多くのことを考える機会になりました。

 一般的には自治体の補助金制度についてあまり知られていないものと思われ、一般への周知の意味と、私自身の備忘録の意味で、二年間に感じた「地方自治体の補助金」に関する私の私見(あくまでも私個人の意見で委員会としての結論は別にあります)を書かせていただきます。

 


「高浜市-補助金等評価委員会」

 任期二年という約束で高浜市への諮問を目的とした第三者委員会「高浜市補助金等評価委員会」なる委員会の委員を引き受けていましたが、先日最後の委員会があり無事任期を全うすることが出来ました。

 自治体の補助金制度には様々なものがあるとおぼろげながら感じていましたが、全ての補助金制度を包括的に見る場を与えていただき補助金行政について幾つかのことを考えました。

 纏まったメモを取っていたわけではないのでややいい加減な内容には成りますし、特定の部門や部署に対する批判はしたくはありませんので解りにくいかとは思いますが、その間感じたことの幾つかを書かせていただきます。

高浜市補助金評価制度
http://www.city.takahama.lg.jp/grpbetu/seisaku/shigoto/hojokin-hyouka/index.html

平成20年度補助金チェックシートの公表
http://www.city.takahama.lg.jp/grpbetu/seisaku/shigoto/hojokin-hyouka/H20kouhyou/H20kouhyou.html

 

 委員会は初年度行政の取りまとめ部署が作ったフォームに合わせて行政の各部局がそれぞれの補助金について「目的」「予算」「実績」「自己評価の評点」などの記入を行い、「補助金検討委員会」が評点の低いものや予算金額の大きなものに対しヒアリングを行い評価するという流れで始まりました。

 但しこの方法では高浜市の補助金制度を俯瞰的に見るには役だったものの、いざ個々の補助金の評価という具体的作業になると、自己評価による評点がヒアリングの基準になっており部署を跨って同様の補助金がある場合など、実績や評価は客観的に見ればほぼ同じであるにも係わらずある部署によって大きく自己評価が異なるなどの実態が見栄か隠れしていました。

 そこで翌年度は評点に係わらず各部署毎に一件以上の補助金をピックアップし、必ず全部署のヒアリングが可能になるような方法で評価作業を行いました。

 

 まぁ前置きはこの辺りまでとして、これまでほとんど纏まって考えたことのなかった補助金制度が私の目にはどう映ったかを書かせていただきます。

 


「2年間の補助金評価委員会で私の感じたこと」 

 2年間の委員会で補助金を見て多くのヒアリングを聞いたわけですが、以下のような感想を持ちました。

「地方自治体の補助金といえど、国の政策がらみが非常に多い」
 個々の補助金の目的と適正使用かどうかについて順に見ていったわけですが、国の政策の受け皿として自治体から供出している補助金の多さにまず最初驚きました。
 全補助金の半分以上が国の法律や政策が根拠となった自治体での支出で、自治体が選択したり独自に制定できるものではなく委員会としても評価の余地のないものでした。
 国と地方自治体との役割分担について、深く考えさせられました。

「ほぼ同一趣旨の補助金が並行して何本も走っている」
 市民から見ると同一趣旨としか思われない補助金が異なる部署でそれぞれ走っていたり、同一部署であっても若干の意味合いの違いで同じような補助金が実施されているケースが思いの外多くありました。(整理統合が必要)

「古い補助金などで実施目的がよく解らないものが幾つか存在」
 特に古い補助金などで実施開始当時の目的や要項が散逸しているものが幾つかあり、恐らく時代の変遷と共に流動的に運用され当初の意図とは違った形で運用されているように見受けられるものが何本かありました。(個々の補助金の必要性について、定期的な検討システムが必要)

「補助金支出についての評価システムがない」
 補助金は事業主体となる団体や個人に対する補助ですので、事業に関して実際の運営主体は行政当局ではありません。
 その辺りの管理の難しさもあって一旦審査が通って支出が決まった後、その補助金が行政的に期待した効果を発揮したかどうかを判断するシステムが無く各担当部署に任されている状況でした。
 良い部署であれば支出した補助金がどんな事業に使われたかをしっかり把握しているのですが、ヒアリングに対してまともに受け答え出来ていないと感じられたケースが幾つかありました。

「実質形骸化し支出実績もほとんど無いに関わらず、制度が残り予算要求のされているものが存在」

「制度が複雑で全ての補助金を包括的に理解している人が、市役所内部にも居ない」

 

 


「補助金制度に対する私の意見」

 これは私の見解なのですが、選挙という手続きを経て就任した市長が起案し議会が予算を承認するといった正規な手続きの中で実行されている補助金ですので必ず何らかの「政策意図」があり、個々の補助金について「この補助金は効果が低いので止めるべき」とか、「見直すべき」とかの議論を行う場ではないと考えていました。

 政策的な意図や見直しはあくまでも政治的な判断市長や議会が行うべきものであり、検討委員会としては「当初予定した目的に対し所定の機能を果たしているか?」「審査や支出が適正であるか?」を検討する場だという認識を持っていました。

 ところが実際に蓋を開けてみると、現実に実施されているにも係わらず「要項のない補助金」や「目的がキチンと文章になっていない補助金」「担当部署ですら上手く説明できない補助金」などが以外に多く驚いたというのが本音でした。

 要項が無く目的も定かでないとするならば、検討委員会としては個々の補助金が果たして期待した効果を上げているかどうか?判断するモノサシが無いことになります。

 従って今回の評価委員会の任期を満了するに当たって、補助金制度全般に対する意見を高浜市に対して出すという形での結末となりました。

 評価内容は現段階ではまだ公開されていませんが、私の方から以下のような意見を出させていただきました。

 

 

 


「新しい補助金は制定時点で見直し年限を明確にするべき」
 古い補助金の中で既に歴史的な意義を終たと考えられえ、実効実績もほとんど無いにもかかわらず残っているものが幾つもありました。
 時限立法法案のように制度が終わる期限か、見直しの期限を制定時にあらかじめ定めておき、定期的な見直しを自動的に行うことの出来るシステム作りが必要と感じました。

「個々の補助金について目的と期待される効果を明確にした要項を再整備、評価のモノサシを明確にする」
 現存している補助金の中には要項の残っていないものや、明確に作られていないものが多くあり、また起案部署によって要項の書き方も違うとの印象を持ちました。(中には制度創設時とは違う趣旨での運用になっているのではないか?と感じられるものも。)
 内容については基本的に毎年の予算策定時に検討されていますの無審査ではないのですが、第三者や直接その補助金に関わっていない者が、意義なり目的を直ぐに理解できるようにするためには(開かれた行政)要項の整備が必要だと感じました。
 特に今回のような第三者委員会方式で個々の補助金を見た場合に、「本来の政策意図に合致しているか?」「費用対効果はどうなのか?」といったポイントが見たいのですが、肝心の評価の基準となるモノサシがないことには評価のしようがありません。

「組織内部で通常ルーチンによる見直しが出来るようにする」
 補助金事業というのはあくまでも運営主体が別に存在し、それに対して補助を与えるという形での係わりであることもあって評価が難しいと言うことを今回改めて認識しました。
 しかし何らかの政策的意図があって税金を投入して実施する事業であることに間違いはなく、前述の2項のような「行政の見える化」「開かれた行政」への取り組みをし、市民の目で見える形でPDCAサイクル(計画・実効・評価・改善を繰り返す)に乗せることが必要であると強く感じます。
 またそれらは本来行政内部で通常ルーチンの中で処理するのが筋で、評価委員会は適切にPDCAサイクルが回っているかどうかのチェックをすると言うのが本来の形だと考えています。

PDCAサイクル - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/PDCA%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB

「種類の整理統合・制度の単純化」「部局を跨る補助金制度の創設」
 行政内部でも補助金の全体像について包括的に理解していらっしゃる方が、ほとんどいらっしゃいませんでした。
 この要因は二つあり、一つは「個々の補助金のわかりにくさで担当部局以外が理解しにくい」点と、もう一点は「複雑すぎる補助金制度」だと感じました。
(政策目的別に補助金を含む様々な手法を用いて効率の良い行政を進めるという考え方が基本ですので、手法毎に輪切りにした包括的な評価ということの必要性事態が認識としてなかったのかもしれません。)
 現に、良く聞かないと差の解らないよく似た補助金が複数走っていたり、部局を跨ってよく似た補助金が存在しているケースなどもあり(創設の背景や、部門毎での予算要求時の事務的な問題等もあったようです)、結果として非常に解りにくい(評価しにくい)補助金制度に成ってしまっているようです。
 可能な限り整理統合し、場合によっては部門を跨る補助金制度も認めることで(主管部署と副主幹部署に分けることで可能になるのでは?)、極力単純化し解りやすい(説明・評価の容易な)補助金制度とすることが、開かれた行政に繋がるものと考えます。

 

 


「補助金制度についての雑感」

 今回の「補助金評価委員会」は、行政の内幕を多少なりとも知ることが出来て、私にとって本当に貴重な体験でした。

 恐らく国などの様々な施策も、これをもっと大規模にした形で様々な矛盾をはらみながら推進されているものと想像しています。

 また地方自治を考える上で、国が実際にどんな手法で地方自治体をがんじがらめにしているかについても、多少ではありますが実態を少し垣間見ることが出来たようにも思います。

(玉虫色に決着したいわゆる「三位一体の改革」が、その後進捗を見せていないのが残念です。)

 こんな小うるさいことを言う私に対しこんな機会を与えてくださり2年間にも亘り面倒を見てくださった、「高浜市-地域政策グループ」の関係者と委員長をはじめとする他の委員会メンバーに対しこの場を借りて御礼申し上げます。

 「ありがとうございました!」

 

 また私自身は、厳しい経済状況の中で昨年秋以降は会社の整理という状況になってしまっていましたが、何とか任期を勤め上げることが出来ホッとしております。

 


PS.
 なお今回の「補助金評価制度」及び「補助金評価委員会の発足」は、市民からの圧力や要求によって立ち上がったものではなく、あくまでも高浜市当局が自らの判断を持って創設したシステムです。

 臭いものには蓋をするのではなく、市民の目に見える場所に行政を持っていき率直な評価を得ようとする高浜市の姿勢は大変素晴らしいと感じています。

(そうでなければ私のような煩い人間を評価委員会にしようなどとは、発想しないはずです。)

 だからこそあえてBLOGと言うある意味公共の場で率直な意見の発信をしようという気にもなったわけで、我が高浜市を一市民として誇らしく思っています

 

 

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「お詫び」

 先日新型インフルエンザがらみで一本記事を書かせていただきましたが、妙な噂話が蔓延し消費者の過激な反応を誘う懸念があるとの指摘により、削除させていただいたことを報告させていただきます。

 指摘を聞けばもっともな話で自分自身の配慮不足を反省し、nice! &コメントを下さった多くの方に、この場を借りてお詫び申し上げます。

 いずれ世情が落ち着いた段階で加筆・修正の上再度公開させていただこうと思っており、その際にコメントへの返事もさせていただくつもりで居ますので、なにとぞご容赦下さい。

 

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スミッチ

行政の業務の評価の仕方が問われてきている感じがしますよね。評価をどこにおくかによって仕事の仕方も変わるのでは、これからは、今各部門と連携してスリム化をはかるなどより積極的な姿勢が問われてくるのではないでしょうかね。
国と地方の関係はいまいろいろと議論になってますね。国によっかかって行けばいいという姿勢が問題だったりすることもあるのでしょう、地方で進めていくにもいろいろ問題があり試行錯誤がつづくような気がしますよね。
市民に開かれた行政はこれから重要なんでしょうね。時によっては形だけ市民が参加した、と内容は行政の思うとおりの内容にしてしまうケースもあるようですが(専門知識のない市民が行政に意見するのは難しいですよね。また会議の主要メンバーをどするかってこともありますしね)
by スミッチ (2009-05-23 09:27) 

とりのさとZ

 昨日の段階でも、こちらの町のホームセンター、ドラッグストアでは、マスクは売り切れです。

 インフルは、関西から関東へ飛び火のようです。こんな名古屋とばしなら、いいですよね。滋賀県まで来たので、時間の問題ですか。

 感染潜伏罹患者がマスクをして、咳やくしゃみをとばさないというのであれば、マスクは有効なんですが。

by とりのさとZ (2009-05-23 12:50) 

nina

伊丹市でも訳の分からない補助金が出ていて、それをゼロベースで見直すような案が出ていたと思いますが、その後どうなったのか・・・
色々と利害が絡んでそうで厄介ですよね。
by nina (2009-05-24 02:15) 

たいせい

 スミッチさん、私の備忘録のようなこんなコメントしづらい記事にコメント下さり、本当にありがとうございます。
 今回の評価委員会では、これだけあからさまに補助金の実態を私も含む評価委員会のメンバーに見せてくれたのですから、高浜市もたいしたものだと感じています。
 行政の仕事で良く思うのが、「目的と効果の整合性がない」場合が多いと言うことなのですが、その意味で今回はPDCAサイクルを回し通常業務の中で改善されていくシステムが必要ではないか?との趣旨での意見となりました。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-05-25 00:26) 

たいせい

 とりのさとZさん、まだ一部コンビニには置いてあるようですね。(現物を見ました。)

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-05-25 00:27) 

たいせい

 ninaさん、個々の補助金の内容や異議については政治や行政に属するもので今回の委員会ではその点の評価は行わず、「当初の目的に比べどの程度の効果が上がっているのか?」「もっと効率的な方法がないのか?」と言う観点で私個人としては参加させていただきました。
 そして思ったのがこの記事のような内容で、システム的に改善の余地があると感じました。
 そしてこれはそのまま、該当部署が外に対して説明するためにもあった方が良い資料で、本来は市議会などが予算審議の際に、行政当局に対して要求しなくてはならない資料のはずです。
 ninaさんのところでも、支援していらっしゃる市議経由ででもこの種の提案をされると面白いのではないかと思います。

 nice! &コメント、ありがとうございます!
by たいせい (2009-05-25 00:35) 

タッチ

補助金を昨年までもらっていたNPOの理事です。
今年からは行政からの業務委託で利益を上げ、NPOを運営しています。

すべての補助金が不要ではありませんが、整理は必要ですね。
団体がもらう場合は内容にもよりますが、もらわなくてもできる体勢ができれるように努力することは必要ですね。
by タッチ (2009-05-25 21:40) 

たいせい

 タッチさん、前にNPOの草分けグラウンドワーク三島の渡辺事務局長の話を聞いて印象的だったのが、「行政は金を出すと口出しをしてきて現場を混乱させる」「そして行政からのお金は麻薬で、一旦貰うと身も心も支配されてしまう場合が往々にしてある」との趣旨の話の後で、「いざというとき行政からの金が無くとも成り立つ仕組みを作ることが出来るかどうかが、そのNPOが独立性を保てるかどうかのポイントだ」と仰っていました。

 今回の補助金についての意見は、あくまでも普通にPDCAサイクルを機能させられる行政システムを作るべきだと言うだけのことで、私としてはあまり整理統合の話には踏み込みませんでした。(他の委員でこれについて発言された方はいらっしゃいますが。)
 PDCAサイクルが普通に機能するようになれば、自然に整理統合へと向かうものだと考えています。

 コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-05-25 22:45) 

kappa

補助金の整理合理化、難しい問題ですね。
国や県の制度に乗っている場合、市単独では無理でしょうし、実効性のない補助金を廃止すると、市への交付金総額が減ってしまうと言うジレンマもありそうです。
かと言って市単独の補助金制度に充てる財源は殆どまいでしょうし・・・
一挙に変革するのは難しいので、少しずつでしょうか。
この様な委員会を立ち上げた市側の姿勢は、評価できると思います。2年間、お疲れ様でした。
by kappa (2009-05-28 02:02) 

たいせい

 kappaさん、補助金の一覧表を見せられ委員会に参加させていただいた当初は、雲を掴むような話でどこにポイントがあるかすらよく解りませんでしたが、自分なりに補助金の実態について考えることが出来本当によい委員会だったと思っています。
 市の側からすると当然改革しなければならないという意識があって、現実の改革の一環としての評価委員会だったようで、少しずつですが私の参加していた2年間でも実際に改革は進めていらっしゃるようでした。
 ただ油断成らないのは人事異動で、定期の人事異動の中で担当者が部局長が変わりいつのまにか立ち消えになると言うケースも幾つか経験しており、その点の監視が必要だと感じています。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2009-05-28 10:00) 

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