涼しい家と「瓦屋根」 [屋根には「瓦」]
長かった梅雨も明け、いよいよ夏本番がやってきました。
あまりの暑さに辟易とし、思わず初の業界ネタにチャレンジします。
今では夏になると、どこの家もエアコンをかけ涼を取っています。
20年ほど前、今ほどエアコンの普及していなかった頃の家は夏でもそんなに暑くなかったような記憶がありますが、皆さんはいかがでしょう?
最近まで私も、体がエアコンに慣れたために、同じ室温でも暑く感じるようになったのだと思っていました。(多少は異常気象のせいもあるのかな?という感じです)
先日、暑い日にお客様の自宅に伺い、驚きました!
外気温は35度有るにもかかわらず、エアコンも扇風機も何もないのに関わらずイメージしているよりはるかに涼しいではありませんか....。
お客様にその旨お尋ねしてみると、
「この家は、壁は土壁、屋根は土葺き、もちろん構造は木造軸組で、あえて完全在来工法にこだわって建てた」とのお返事でした。
そういえば私も10年前までに住んでいた土葺き・土壁の家は、夏の暑い日でも今より遙かに過ごしやすかったという記憶がよみがえってきました。(少なくとも、夜 扇風機の風だけで寝ることが出来ました)
今の家は、工業製品である断熱材を使い、外気温を室内に伝えないようになっているわけですが、昔の家は屋根にも壁にも呼吸する素材である「土」を使い(瓦も吸水特性を持った土の加工品です)、湿度を一定に保つのみならず(壁での保湿量が多く冬の結露の心配もあまりない)、水の蒸散熱によって室温を一定に保つという優れた構造だったのだと再認識しました。
土壁の家を創る・土壁の家に住むサイト 土壁ネット
http://www.tutikabe.net/
土壁の調湿効果と効能? 『住む』ノート
http://www.tutikabe.net/hp/sumu/no2.html
瓦の屋根の快適性/瓦を科学する(三州瓦)/瓦Web
http://www.kawara.gr.jp/31_kaiteki/kaiteki.shtml
(土葺き工法のデータは見つけられませんでしたが、屋根材による熱環境比較のデータがありました。)
私の仕事がかわら屋なので多少解説させていただくと、「土葺き工法」は瓦の下に葺き土を置き、土と瓦の接着力で瓦を保持する工法です。
最近では、阪神大震災以来の瓦屋根は重いというイメージを払拭すべく、桟木と言われる気に引っかけ、土をおかずに釘で緊結する「桟葺き工法」が主流です。
(この工法でも、瓦自体が自然素材で一定の保湿性能があるのと、瓦裏の通気層で、他の屋根材に比べ高い快適性能を発揮します。)
夏の屋根表面温度
左から和瓦・化粧スレート・平板瓦
冬の屋根表面温度
左から和瓦・化粧スレート・平板瓦
どこの家でも、四六時中エアコンを付けっぱなしにしている家はほとんど無いと思います。
断熱性能が高くエアコンの効きの良い家と、あまりエアコンをかける必用のない家、果たしてどちらがよいのだろうか?、そんなことを思いました。
PS.
昔の土葺き・土壁の家は、重くて地震に弱いと言われていますが、
業界の古老に言わせると、昔の土葺き屋根と土壁は、大地震にあったとき、家本体の構造部材や中に居る人たちを守るように自ら脱落するように作ってあるとのことです....。
(制震とも耐震とも違う考えですね....。:数十年に一度という地震の発生頻度なら、この考えも有効では....。)
日本ブロク村アクセスランキングに参加しています。
上の「一戸建住宅」バナーのクリックをお願いします。
実家にエアコンがやってきたのは、確か私が小学校高学年になってからでした。
それまではエアコンなどなくて当り前だったのに、いつのまにかエアコンなしではいられない体に・・・。
これって不自然ですよね・・・。
by nina (2006-08-08 17:54)
ninaさん、コメント&nice!ありがとうございました
私もエアコンなしでは過ごせないようになったのは「ヒートアイランド」や「地球温暖化」のせいだと思ってました。
それで、お客様の自宅にお邪魔したとき本当にビックリしました。
今は、技術力のあるはずのハウスメーカーが頑張って居るわけですが、家って本当に進歩しているのでしょうか?
by たいせい (2006-08-09 11:47)