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KJ法について「私の発想法」(考案者:川喜田二郎氏ご逝去) [マーケティング・営業戦略]

 昨夜文化人類学者で東京工業大学名誉教授「川喜田二郎」さんが亡くなったというニュースを聞き、しばし物思いにふけりました。

 川喜田二郎さんと言えば「創造的開発」に効果があるという「KJ法」の考案者で(「KJ法」の名称は川喜多二郎氏の頭文字から取ったものです)、面識があるわけではありませんが20年以上前のサラリーマン時代に「発想法」の本を読む中で「KJ法」に出会って以来この手法を多用してきた私にとって大変思い入れを感じた名前でした。

 また例えばこのBLOGの記事一つを書くことについても、自分なりに簡便にした形でのKJ法的思考法を無意識に使っている場合が多いなど、現代に於いても些かも色あせることのない発想法の一つです。
(仕事やグループワークなどで、実際に使える発想法です。自分の物に出来ると、必ず役に立つと思います。)

 

 「KJ法」を通してお世話になった日ごろを感謝するとともに、心よりご冥福をお祈りさせていただきます。


川喜田二郎 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E5%96%9C%E7%94%B0%E4%BA%8C%E9%83%8E

 

 



「KJ法について」

 「KJ法」は混沌とした情報から関連性を抽出したり、多くの断片的なデーターから新たなる着想を得たり、グループなどの意見集約頭の中の整理など創造性の必要な知的作業に適した手法で、出会って以来何度お世話になったか解りません。

 ちょうどポストイットなどの付箋紙が文房具店で普通に入手できるようになった時期でもあり、大きな紙を台紙に使ってオリジナルの「KJ法」を試し、混沌とした頭の中が作業によって紙という二次元の世界でビジュアル的に表現されどんどんすっきりしていく様子に快感を感じ、以来ホワイトボードを使った「一人KJ法」の虜になるなど、幾つかの問題解決や企画立案で実際に活用させていただきました。

 その後パソコンでマウスを使いながら画面上の「キーワード」を切り貼りする方法での応用を覚え(当時ソフトはVISIOやフリーランスを使いました)、いまだに混沌とした頭の中を纏めて整理したり企画の形で具現化する際には、無意識のうちに「KJ法」のエッセンスを取り入れた思考法を使っています。


「KJ法の実際」

 元々川喜田二郎さんは文化人類学の学者で、フィールドワークなどで収集した雑多かつ膨大な情報を如何に纏めるかと言う観点で様々な試行錯誤の結果生まれたのが「KJ法」で、具体手的な手順を私の理解している範囲で書くと以下になります。

(図があると解りやすいのですが、図を書いている間が無くこの欄下部で紹介した「KJ法」内部統制システムWebを開いていただき、そのHPのある図とこの記事を並行して読むと解りやすいと思います。また私の理解が間違っている部分があれば、遠慮無くご指摘下さい。:自分の勉強になります。)

kj_g.jpg
この図は「内部統制入門Navi」にあった図です。

 

 

①「発想の拡散」
 まず思いついたキーワード・集めてきた情報を、キーワード毎に一枚のカードにどんどん書き出す。
 テーマに関連する頭の中の全てをカードの形で抽出することが目的です(そしてそれを整理して解りやすくすることにKJ法のミソがあります)ので、重複を恐れずにとにかく気がついた言葉を出来るだけ多くのカードにします。
(様々に切り口を変えて、ありとあらゆる角度から関連する言葉を引っ張り出すのがコツ。)

②「カードのグループ編成・統合」
 似通ったカード同志や同じ種類のカードを集め幾つかの山(グループ)を作り、それぞれに表札をつけます。
 同じ事を書いているカードはこの時点で整理します。
(分類の仕方を考える時点で新たなる着想を得られる場合も多々あり、その時点で新たにカードを追加します。同じ内容のカードが複数ある場合は重要なキーワードである場合が多く、良く覚えておくこと。)

③「関連づけ・階層化」
 当然大きなグループにあるカードはグループ内でさらなる分類が可能であり、大グループ内の中グループ、さらにはその中の小グループなどに分け、それぞれ表札をつけて階層化していきます。

④「配置・関連づけ」
 グループ分けの済んだ山をそれぞれのグループの関連性を考えた上で、大きな紙の上に配置していきます。
 そしてそれぞれのグループの関連性を矢印で示したり囲ったりをして、関連性を整理します。
(当然二つの大グループを跨るような中グループ・小グループもありますので、集合の図と同じように二つのグループを跨る囲み線で囲みます。またのグループにも属さないけれど重要なキーワードなどはそのまま単独のカードのみでグループとします。)

⑤「図解化・文書化」
 配置・関連づけが終わった時点が、そのテーマに関する頭の中をビジュアル的に整理した物である意味完成品なのですが、より単純に整理したり他人に説明をするためには寄り解りやすく「図解化・文書化」する必要があります。
 前の作業で出来た大きな作業シートのエッセンスを極力壊さないように纏めることによって、さらに頭の中がクリアになります。

KJ法 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/KJ%E6%B3%95

[KJ法] 内部統制システム開設Web
http://www.internalcontrol-navi.com/improve/flow/kj.html


 

 上記のような手順が基本なのですが、私の場合これをベースにして他の発想法と組み合わせたり、紙に寄らずパソコンなどを使って「KJ法」を私流にアレンジした方法を現在では多用しています。 

 

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経営戦略のはやり・すたり(景気の悪いときにこそ信長型経営では?) [マーケティング・営業戦略]

 かねてから雑誌などの記事を追っている限り、経営戦略にも流行(はやり)・廃り(すたり)があると感じていました。

 それも本質を外した流行で、その手の記事を発見すると少し歴史を知っているだけの私ですらそのおかしさに気付くもので、雑誌を売って売上に結びつける仕事は大変だと思っていました。

 

nobunaga.jpg 信長型経営とは、超リアリストによる堅実経営では? 

 わかりやすい例を上げると織田信長や徳川家康などで、織田信長というと積極経営の代名詞。 徳川家康というと守りの経営の代名詞のように使われています。

 一見これ自体はおかしくないような雰囲気をですが、私が変だと感じるのは景気の良いときに織田信長景気の悪いときには徳川家康に注目が集まりビジネス係の雑誌などによく取りあげられる現象で、なんだか違和感を覚えます。

 織田信長は、周囲の状況が非常に悪いときに経営資産の一点集中を行って突破したことに真骨頂があり(桶狭間の戦い・長篠の戦いなど)、一旦成長期にはいると驚くべき堅実な領国経営によって着実に勢力を伸ばした武将で、負けそうな戦いはどんな手を使っても極力回避してきた超リアリストだったと認識しています。

(安定勢力になってからは常に戦場には相手の倍以上の兵力の集中を行いましたし、リスクの高い武田信玄や上杉謙信との戦いを時には屈辱に喘ぎながらも回避し続けてきました。)

 

 つまりは織田信長に学ぶべき時は景気の悪いときであり、景気の良いときに積極経営などと言うのはその時の雰囲気に乗るだけで誰にでも出来ることでしかなく、景気の悪いときにこそ「我慢」「経営資産の一点集中による突破」という、織田信長の本質が生かされるべき時節であるはずです。

 

ieyasu.jpg 家康は結構勝負師!? 

 また徳川家康は守りの経営と思われがちですが、状況の良いときにも調子に乗らず守りの経営を続けたことに真骨頂があり、いざという時には乾坤一擲の大勝負(小牧長久手の戦い・関ヶ原の戦いなど)を仕掛けた武将との印象があります。

(若い頃には、武田信玄に立ち向かった三方原の戦いなどの無茶もやっています。そもそも織田信長と結びついて織徳同盟などに乗り出すところなど、どう考えても先物買いで、リアリストという面では織田信長に遙かに劣ります。)

 何よりも思うのは「景気が良くても悪くとも信長は信長」「家康は家康」であり、むしろ景気が悪いときにこそ信長の真骨頂が発揮され、景気の良いときにこそ家康形堅実経営が生きてくるように思います。

 

 一時欧米型の経営がブームで、会社全体を数字で見られる経営者がもてはやされてきましたが、それが結果として現場力の低下(ここで言う現場力は製造・開発・営業・サービスなどあらゆる現場の力です)という現象を巻き起こし、現在では再び日本型の経営が注目を集めるようになってきました。

 その時点で自らの付加価値の源泉を今一度単純化して考え直し、自らの特徴を更に磨くことで対応すべきだったにも係わらず、あえてそこから目を反らし目先の収益(単年度決算)を追うことで捨て去ってしまったものを再び獲得するというのは、並大抵のことではありません。

(当然競争相手の中には、頑なに従来の経営手法を続けて生き残ってきた会社もあり、そのレベルに5年や10年掛けても追いつけないかもしれません。)

 これというのも、その時々のブームに乗ってしまったために起こっていることだと思われて仕方ありません。

 

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No.1のモノ(店)しか売れない!?(マーケティングの考え方) [マーケティング・営業戦略]

 ものが売れる仕掛けを考える際に、「何故このモノが売れているのだろうか?」「何故この店が流行っているのだろうか?」「何故この会社には仕事が集まるのだろうか?」など考えを巡らせて、あれこれと試行錯誤します。

 自分自身がそうしたことを模索する際、「ナンバーワンのモノしか、お客様に選択されない」と言うことをベースに製品展開や売り方を考えていますが、よく考えればこの考え方は私のやっている製造業のみならず一般の商店や請負仕事などについても同様に適応でき、自分の頭の中を整理する意味で一度記事として残しておきます。

 また今後このシリーズで、今回の記事を念頭に置いたマーケティングや営業展開など、自社での成功例や失敗例を書いていきたいと思っています。

(当然書けない内容も多々ありますので、どんなシリーズになっていくか?自分でもよく解りません。)

商圏の拡大.png

 

 


 

 自分自身が買い物に出かけてどんな物を買うかと考えると、概ね次のようなモノを無意識のうちに選択して買っているはずです。

  1. 一番、価格の安いモノ
  2. 一番、優れているモノ
  3. 一番、使いやすいモノ
  4. 一番、丈夫なモノ
  5. 一番、デザインが洗練されているモノ
  6. 一番、なじみのあるメーカーのモノ

 商品購入の場合には「どの店で買うか」が大きなウエイトを占めている場合も多々あり、店の選択も考え合わせると以下のような要素も加わります。

  1. 一番、品揃えがしっかりしている店
  2. 一番、店員(営業)の愛想の良い店
  3. 一番、アフターサービスの行き届いた店
  4. 一番、企画力がある店
  5. 一番、雰囲気の良い店
  6. 一番、近い店
  7. 一番、駐車場の広く車が駐めやすい店
  8. 一番、社長に人柄がよい店
  9. 一番、店員(営業)の愛想の良い店

 

 実際にはこれらの要素が入り交じっており、「○○○円の予算範囲で一番優れたモノ」とか「一番好きなブランドの中で予算に合うモノ」「自宅から車で□□分以内で一番安い店」とか、「△△を扱っている店の中で店員の人柄が一番良い店」など複合した条件の中でナンバーワンの選択をしているケースが大半でしょう。

 しかし一つだけ言えるのは、「△△の機能を持った2番目に安いモノ」「☆☆☆円の予算範囲で2番目に安いモノ」「車で□□分以内で2番目に安い店を選択して買い物をすることは絶対にないはずです。


 私たちメーカーは新製品を出したり新しい営業展開を図る場合、「どれだけ多くのお客様にとってのナンバーワンを獲得できるか?」を常に頭の中に置いて、ビジネスとして成立するかどうかの検討を進めます。

 つまり自らの商圏なり客層の中で、「新しい製品や売り方でどれだけのナンバーワンが獲得でき、それが売上や利益にどの程度貢献できるか?」「新規顧客やマーケット獲得が可能かどうか?」を算出して、「初期投資のペイが可能かどうか?」「リスクはどの程度のものか?」を見積もった末に、実際にビジネスとして始めるかどうかを決断することになります。

(実際には様々な複合要素が絡み合い、既存顧客の売上を伸ばすために高付加価値製品を打ち出したり、競合他社から顧客を守るための価格政策、新規顧客獲得のための営業展開などそれぞれの局面で複雑な要素群を整理し、その時必要な施策を打ち出すことには成りますが、基本は「お客様にとってのナンバーワンを如何に獲得し維持するのか」の一語に尽き、その為の様々な施策を考えています。)

 


 

 一般の商店経営の場合はどうでしょうか?

 最近の商店の売上低迷の要因としては、「近隣にコンビニエンスショップやショッピングモールが出来て、お客がそちらに流れるようになった」などがあげられるかと思います。

  コンビニエンスショップの場合は、「一番近いからと言う理由で選択いただいていたお客様が更に近い店が出来ることでそちらに流れた」訳ですし、ショッピングモールの場合は品揃えに於いて近隣で一番でなくなった」と言うことなのかもしれません。

 少なくとも、これまでその店が一番という理由で選択していただいていたお客様のうちのいくらかが、新しい店の存在で2番目になったことによって売上が低迷したと言うことだろうと思います。

(それでも来店くださるお客様にとっては、相変わらずナンバーワンの店のままだと思われていることを忘れてはなりません。)

 かつて大規模店舗の出現で倒産や廃業を余儀なくされた中小小売店は、このパターンに嵌り不毛な価格競争やサービス合戦に巻き込まれてしまったように思います。

 

 ではその場合の対策としては、どんな方法をどんな考え方で採るべきなのでしょうか?

 

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