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屋根材を選ぶのは、軽さではなく、30年以上家を持たせられるかどうか!!で....。 [屋根には「瓦」]

 最近TVのCMで、「屋根を選ぶことは、命を守ることです!」といったコメントが流れています。

 また、地震の度に「瓦屋根」が建物被害の一番の原因であるかのようなコメントが、ニュースを見る度伝えられます。(少なくとも映像的には、意図的に御瓦屋根の倒壊住宅を写しているように思われてなりません)

 

 地震による古い建物の倒壊は瓦屋根の責任ではなく、耐震に関する要求仕様の古い建築基準法の昭和56年以前に建てられたものが倒壊していて、その頃の建物のほとんどは木造軸組+瓦屋根の在来工法によって建てられていたと言うことに過ぎない旨の記事を、前に書かせていただきました。

(現在の建築基準法で建てられている家では、耐震性能は全く問題が無く、瓦葺きにすることによる構造部分を含むのコストへの影響も、実はそれほど大きくありません。:10年くらいで塗り替えなどのメンテナンスがフリーな瓦の方がむしろ安くなります。)

 

 阪神大震災 壊れた高速道路脇の無事な瓦屋根

blog山本大成 「かわら屋の雑記帳」「瓦屋根は地震に弱い」は、正しくない!?
http://blog.so-net.ne.jp/kawaraya-taisei/2007-03-13
(鈑金や石綿スレート葺きの倒壊家屋や、震源地付近で有るにもかかわらず無事な瓦葺き建物も写真で何点か紹介してあります)

 

 
阪神大震災 壊れた軽い屋根材の家

 

 屋根材を選ぶと言うことに「耐震性能」ばかりが注目を集めていますが、鈑金やスレートのような薄型のいわゆる「軽い屋根材」には、あまり知られてはいませんが「家を守る」という意味で大きな欠陥を持っています。

 

 住宅については様々な見方や評価方法があろうかと思いますが、住宅の三大要素を一言で書くと

「安定した建築物を建てるための前提条件である『基礎』『地盤』」
「地震や強風等の外力に耐え得る『構造』」
「四季の環境変化から家本体を守る『屋根』『外装』」

の三点に集約されると言うことに、誰も異論はないと思います。

 

 つまりは屋根に対する要求仕様のナンバーワンは、「気候の変動から家を守る」ということであり、この性能が確保されていない屋根材では、いくら軽くとも「屋根材としての適応性」がないことになります。

  スレートを剥がすと長年の結露で野地板やルーフィングも腐ってヨレヨレ

 

 次回次々回の記事の2回で、屋根材に求められる最大の要求性能である「建物外の環境変化から家を守る」と言う部分を平成8年度と9年度に福岡大学須貝研究室で行われた実験を元に検証し、屋根材の種類と建物内の「温度」「湿度」の関係についての実験結果を紹介させていただきます。

(この実験は、平成8年度と平成9年度に福岡大学 須貝研究室で行われたもので、初年度は「屋根材仕様の違いによる冬期書きの熱環境の比較(夏涼しく冬温かい屋根材は何か?)」、2年目は同じ試験体を使い「屋根材による野地板の湿気環境を明らかにしよう」と言うものでした。)

 三つの試験体

  サーモグラフで見た熱画像

 

 何とか今週中に、
「過ごしやすい家の屋根材とは?(屋根材による夏季の熱環境)」
「軽い屋根材は家を守らない!?(屋根材による野地板の結露)」

 の、2記事をUPしようと思いますのでよろしくお願いいたします。

 

(阪神大震災の写真については、日本屋根経済新聞社刊「阪神淡路大震災の記録」から使わせていただいております)

 

PS.
 当初は「軽い屋根材は家を守らない」という一本の記事のつもりでしたが、長くなりそうなのと、論点を整理した方がよいとの考えで、勿体ぶったUPになってしまいました。
(前振りだけで十分長くなってしまいましたので....。)

 来週は、能登への震災地視察がありますので、なんとか今週中にはまとめたいと思っています。


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アキラ

トタンの瓦棒葺きやカラーベスト又はトタン葺きの上に被せたセキスイ・カワラUの家も、見事に倒壊しています。
大地震で家が倒壊するか否かは、屋根材のセイではないことを常々言ってきました。
その証拠がこの記事の中にありますね。
次の記事に期待します。
by アキラ (2007-06-19 10:18) 

瓦の良さは本当はもっと見直されないといけないですね。
屋根には色々な役割があることがわかりました。
by (2007-06-19 15:23) 

たいせい

 アキラさん、前に書いた記事の焼き直しのような”振り”で恐縮です。
 改めて一度問題提起をして、屋根材と小屋裏の温度環境について書かないと、「野地板の結露の話」までたどり着けないと思い、あえて記事を分けました。
 一番書きたいのは、前にアキラさんからもリクエストのあった「軽い屋根材は家を守らない!」です。
 どの程度説得力のある記事になるか?は不安なのですが、実験データーなどを中心に書き進めようと思っています。

 nice! &コメント、ありがとうございました。
by たいせい (2007-06-19 15:36) 

たいせい

 plusgateさん、nice! ありがとうございました。

 瓦業界(それも施工をしないメーカー)の知りうる範囲で書いていますので、間違った点なども多々あろうと思いますので、その節には遠慮無くご教授下さい。
(特にこれから書く温度環境の問題は、実際には断熱をどこでどうやるかという施工の問題が密接に絡む訳ですが、その点の知識がほとんど無く、自分自身勉強してゆきたい部分でもありますので....。)

 また、「瓦のここが知りたい」など、何かありましたらお気軽にコメント下さい。
by たいせい (2007-06-19 15:42) 

たいせい

 STEALTHさん、「屋根を選ぶことは、命を守ることです!」等というファインスチール工業組合(屋根用鈑金)のCMが、瓦業界では大ブーイングでした。
 微力ながら、私なりに論陣を張ってみようなどとの大それた思いで、調子に乗って記事を書いています。
 一般の御施主様に、瓦の良さをもっと知っていただきたいです。
by たいせい (2007-06-19 15:47) 

まさ

阪神大震災の後、これだけの家が倒壊した犯人捜しのように、屋根瓦が重くて家が倒壊したように解説することが多々ありました。
私はそれを見てそんなはずは無いだろうと思ったものです。

これだけ地震の多い日本で、本当に危険なら屋根瓦など使われるはずがありません。
阪神大震災で倒壊した建物は何も屋根瓦の建物だけでなく、マンションや公共の建物なども倒壊している物がかなりありました。
逆に倒壊しなかった屋根瓦の家もかなりありました。
この事からしても屋根瓦だけが原因と言うのはおかしすぎると思えたのです。
日本家屋が屋根瓦なのは、長年の自然環境の経験から日本の風土に合った建物として屋根瓦になったのだと思っています。
鯉のぼりが泳ぐのにも一番似合っていますし。
by まさ (2007-06-20 18:29) 

被災者のくりです。こんばんは。
瓦の屋根のおうちが多く崩壊した・・・と思っていました。
淡路を訪れると、瓦の仕事をしているところが、以前より減っていました。
それを悲しく思った私です。
by (2007-06-20 23:19) 

たいせい

 まささん、阪神大震災での報道を切っ掛けにして、和瓦の需要は現在では1/3ほどに激変し、我が社も青息吐息です。
 仲間の中には、廃業や倒産の憂き目を見た方達も多く居て、壊滅的な打撃を受けました。
 私のマスコミ不信の要因は実はそのあたりにもあり、マスコミも政治家の責任と自覚を言うのであれば、自分自身の持っている力と責任を自覚して欲しいものだと思われて仕方ありません。

 古いものはどんなもので有れ無価値で、新しいものが全て正しいものでるかの認識が蔓延しており、瓦業界のみならず古いものは全て滅びつつあるように感じます。

 和瓦の価値が再認識されることを信じています....。

 コメントありがとうございました!
by たいせい (2007-06-21 08:59) 

たいせい

 くりさん、震災の際には大変なご苦労をされていらっしゃったのではないかと拝察いたします。
 以来、淡路も含めて(淡路も私の居る三州、石州と並んで瓦の三大産地の一つです)、和瓦業界に壊滅的な打撃となり、以来の長期低落傾向で不況業種からの脱却が出来ていません。
 淡路にも仲間が何人かいますが、やはりしんどい様子です。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2007-06-21 09:20) 

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