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議会の自殺(高浜市議会定数削減運動のその後):追記有り [公開討論会]

 昨年の11月に行った高浜市議会の議員定数削減の署名運動について、一昨日・昨日と臨時市議会が開催され、昨日(1/17)請求代表者の意見陳述&討論&採決があり一応の決着を見ることが出来ましたので、このBLOGでも書いておきます。

高浜市 議員定数削減の署名運動!
http://blog.so-net.ne.jp/kawaraya-taisei/2006-11-13

 まず昨年の署名結果についてですが、
最終的に高浜市選挙管理委員会の厳正なチェックの末、全有権者数31,500人の20.7%にもあたる法定数の約10倍(直接請求の要件)の6,525名もの署名が有効と認められ、
昨日の議会でも50席の傍聴席に収まりきらない80名もの傍聴者(高浜市議会始まって以来の傍聴者数だそうです)が見守り、運動の高まりと、市民の関心の深さを目の当たりにすることが出来ました。

 しかし、採決の結果は昨年の9月議会と同様、賛成8名、反対9名での否決が確定いたしました。


 今回、議会を傍聴した私の印象は、
率直なところ「議会の自殺」としか思うことが出来ませんでした。

 昨年9月議会で反対派が言った「回答数5,000人以上。回答率50%以上」のアンケートや署名がなければ信頼できる市民の声とは言えない!との基準を反対派は自ら示していたのに対し、
それを超える署名を集めたにも関わらず否決したと言うことは、良く議員先生の言う「市民の声を尊重する」と言う言葉が、「建前だけの大義名分に過ぎない」ものだと言うことを、露呈したことになります。

 全有権者の20%以上の今回の署名者は、それだけの署名が集まったのにも関わらずそれを無視する市議会という物に、言いしれぬ無力感を感じることになるでしょう。

 私は、議会自身がそうした状況を作り出すのは、市民から選ばれ、代表して議会に臨んでいるはずの市会議員諸氏の自己否定(自殺)としか考えられませんでした。


 反対の議員の意見は、「6,525名の市民有志からの署名は、市民の真の意見ではない」との穿った見方からのものがほとんどで、反対議員は「○○さんに頼まれたから断り切れず署名した。」などの反対意見を縷々と述べられていましたが、
実際に署名に望んだ私の実感としてはそんな事例はほとんど無く、むしろ、説明すると自ら進んで署名簿に記名押印いただけた方達が如何に多かったかを実感として感じており、非常な違和感を感じました。

(もし本当にそう思っているのならば、今回署名簿をチェックした高浜市選挙管理委員会に異議申し立てをして、署名の詳細チェックに入ってもらい、無作為に抽出した署名者に直接聞き取り調査でもさせるなどの確認をさせれば良いではないでしょうか?:それもしないで、議会という公共の場で、それも採決の直前の討論で署名簿を疑うなどと言うのは、話にも何もなりません!)


 そもそも、人間関係を軸にした「どぶ板選挙」で当選した議員がそれを言うのは、自分を選んだ有権者を疑い、自らの議員の資格自体を否定しているのだというのが解らないのでしょうか?


 なにやら、高浜市議会の現状に暗澹たる思いを持ち、心の底からがっかりした一日でした。


本日(1/18)付けの中日新聞西三河版の記事になっています。netの新聞記事検索で今日の新聞がUPされしだい、記事を追記で貼り付けるつもりで居ますので、気になる方は明日以降ご覧ください。
(「市民の削減要求無視!」と言う見出しの記事です)

 

(1/20追記:載新聞記事)
 『市民の削減要望 無視』 高浜市議定数改正案を否決 請求者ら運動続行
2007.01.18 朝刊 18頁 中日新聞 西三河版 (全532字) 
 【愛知県】高浜市議会の臨時会で議員定数を一八から一六に削減する条例の一部改正案が否決されたことを受け、直接請求した市民グループは十七日、同市役所で会見を開き「法定の十倍を超えた市民の声は議会に届かなかった」と無念さを語り、今後も定数削減を呼び掛ける運動を続けていく方針を明らかにした。

 議員定数の削減案に対しては、昨年の九月定例会と同様に、市政クラブと政風会の二会派計八人が賛成、新政クラブ、共産、公明の三会派の計九人が反対に回った。

 九月定例会で反対派が「信頼できるデータは回答者五千人以上、回収率50%」と一つの判断基準を示したことに触れ、グループ代表の木村雄次さん(65)は「直接請求の有効署名は六千五百二十五人分で回収率も高い。この数を無視することは、議会の『市民の声を尊重する』という言葉が大義名分でしかなかったことになる」と語った。

 この日の臨時会の討論で、反対派が「署名は『義理で書いた』『職場で求められ、断れなかった』と話す人もおり、署名の取り方に問題がある」と述べたことについて、メンバーの一人、市観光協会会長神谷環光さん(41)は不快感を強調。「自ら署名してくれる人も大勢いた。証明のない伝聞話を引用し、論点をすり替えられた」と反論した。(坂口千夏)


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定数2削減案を高浜市議会否決
2007.01.18 朝刊 20頁 中日新聞 県内版 (全331字) 
 【愛知県】高浜市議会は十七日、臨時会を再開し、市民グループの直接請求を受けて森貞述市長が提案した議員定数を一八から一六に減らす議員定数条例の一部改正案を賛成少数で否決した。任期満了(四月二十九日)による次期市議選の定数は現行の一八となる。

 採決は議長を除く議員十七人で行われ、改正案に賛成したのは八人だった。賛成派は「行政に改革を求める立場として議会も自律すべきだ」「住民の直接請求は重い」などと主張。これに対して反対派は「これ以上の削減は住民の声が届かなくなる」などと反論した。

 直接請求した市民グループの代表、会社役員木村雄次さん(65)は「議論は一度改正案を否決した(昨年)九月定例会と同じで、直接請求の署名を考慮してもらえなかった。本当にむなしい」と話した。


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asahi.com:定数削減案 再び否決 高浜市議会 - マイタウン愛知
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000000701180001

朝日新聞 2007年01月18日
「 定数削減案 再び否決 高浜市議会」

 ●住民直接請求 1票差

 高浜市議会の臨時会が17日開かれ、住民の直接請求を受け市長提案された議員定数を18から16に削減する条例改正案を採決した。各会派の意見は変わらず、昨年の9月議会と同数の8対9の賛成少数で否決された。

 臨時会では、請求人の住民代表が「主役の市民の声を尊重する議会であってほしい」と述べた。討論に移り、共産党会派が「議員をこれ以上減らせば、住民の声を代弁したり、行政を監視したりする役割を果たせなくなる」と反対。公明党会派も「市民の声は多様。これ以上減らせば反映できない」と反対した。

 これに対し9月議会で削減を議員提案した最大会派の市政クラブは「市民の声を行政に届けられるかどうかは、議員の努力の問題で、大事なのは議員の質」と反論した。

 採決後、住民らは「短期間に集まった大勢の住民の声を受け止めてもらえず、今はむなしいだけ」と話した。市政クラブの議員らは「住民運動が議員を変えるきっかけになると考え、署名運動も支援した。直接請求に表された住民の声を受け止めたと思えず、情けない」と話した。

 一方、保守系少数会派で削減に反対した新政クラブの議員(59)は「3回続いた定数削減で、議会の機能が低下したと思う。意見の多様性も落ちている」などと述べ、議員活動に必要な政務調査費が年間で18万円しか支給されていない現状などにも疑問を投げかけた。

 定数をめぐっては、9月議会で同様の削減案が議員提案され8対9で否決。「わずか1票差の賛否が拮抗(きっ・こう)する状況では市民の声が重要な意味を持つ」として、住民が今回の直接請求に踏み切り、有権者数の5分の1にあたる6525人の署名が集まった。(中沢一議)


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アキラ

現在は「小さな自治体」を目指している自治体が多く、各市で議員定数削減が行われています。
私が住むZ市では、市議会議員たちから定数削減の動きがあって、数年前に2名の削減が実現しました。
まだ多いそうで、更に削減されるかも知れません。
世の中がそのような動きの中にあって、市民が署名活動の末に提案された結果が否決とは・・・・
残念ですが、ねばり強い活動を祈ります。
by アキラ (2007-01-18 18:27) 

政治家=既得権益をまさに実証したような事例ですね。

署名を収集された皆様にはまずもってお疲れ様ですとお伝え下さい。
自分のクビを自分で斬る。
自らの立場と仕事を今一度世の中に問うて見る。
その勇気と気概のないものが、人や集団や企業や政治や教育の場に沢山のさばっていることがこの国一番の問題だと思います。

そして・・・そんなことが解らない人、問題意識のない人ほど政治家や公務員や教師になりたがるし、なってしまう。
これを変えるのが真の構造改革だと思います。
by (2007-01-19 21:34) 

かない

理屈じゃないんだよね。最近の世の中は、特に。戦前のような、権力が一部に集中する仕組みに変えられているような気がします。道州制、タウンミーティング、そのほか、モロモロ。実は、“構造改革”と騒ぎだしたころから、大衆とか庶民が消えちゃったんだよ。よく分析してみて下さい。
by かない (2007-01-19 23:44) 

たいせい

 アキラさん、高浜市でも過去に数度(2度だったと思います)議会定数削減が実施されてきてはいます。
 私は削減可能だし、削減した方がよいと思い署名をしたわけですが、最適な議員定数は18であるとの議論も当然あり得る。
正直言って今回の議会では、もし否決の場合この点についてもっとしっかりした議論を「市民の目の届くところ」でやっていただきたいとの思いで傍聴しました。
 しかし、県内の各市議会の定数比較や、同規模の自治体との比較に多少触れられた程度で、多いに不満の残る議論でした。
(個人的には議会定数は人口比よりも面積比で考えるべきだと思っており、その意味で面積の小さい高浜市の場合もっと根本的に削減しても問題ないとの考えを持っています)
 また、「市民の意見がくみ上げられなくなる」との意見も出ましたが、そんな物は建前論でもっと定数が多かった頃から、市民の意見のくみ上げ等の実際の動きを目にしたことはほとんど無く、私には建前としてしか聞くことが出来ませんでした。
(市民の意見の吸い上げに、行政当局のパブリックコメントなどが積極的に始まっている昨今、昔よりも明らかに少なくなっても良いとの考えも持っています)

 本庁に残念なのは、議員が市民の代表だと言うことを忘れ、自己保身に走ってしまったこと....。

 我が高浜市の議会にはもう少し期待していたのですが....。

 nice!&コメントありがとうございました!
by たいせい (2007-01-20 13:01) 

たいせい

STEALTHさん、nice!&コメントありがとうございます。
 既得権益にしがみつく「政治屋(決して政治家とは認めたくありません)」は、退路が無く”詰み”になっているのを自ら知り、あげくの果てに自らの保身のため代表民主制というルールを否定し、将棋盤をひっくり返す暴挙に出たと思われて成りません。
 裁決後まだ日数は立っていませんが、業界や某団体の新年祝賀会でお会いしたときの話では、自らの愚挙を暴挙と認識しておらず、挙げ句の果てに「自分ではない○○議員の意見に従っただけでよく解らない」などの馬鹿な話を、臆面もなく語ります。

 嗚呼、嘆き悲しや!!

PS.
 ご存じのK先輩は、自らの当落に不安要素が大きくなるのを顧みず、削減賛成で体を張って頑張っていました。
by たいせい (2007-01-20 13:14) 

たいせい

かないさん、コメントありがとうございました。

 私は、かないさんとは考えが違います。
 現状の枠組みを破り、前に進まねば成らず、その為に一極集中させるべきものと、各ブランチに分散させるべき物とがあます。
 各ブランチに分散させた物の一つとしては、いわゆる「三位一体の改革」等があげられて、今までの地方自治体では中央官庁の出先基幹的な裁量幅しか与えられていなかったのが、地方自治体独自の行政が可能になってきました(まだまだ、始まったばかりで不満誰気ですがとりあえず始動しました)。
 だからこそ、独自行政を掲げたマニフェストが首長選では掲げられるようになったわけですし、実行も伴うようになりました。
(早稲田大学の北川研究室のHPなどに詳しく書かれているのではないかと思います:ただし、本題から外れますので、この点について余り議論をするつもりはありません)
 「良く分析してみてください!」

 そして今回の件については、正に「理屈じゃない!」と言うことを反対派の議員に目の当たりにすべく、「市民の声」を「自分たちが汗を流して集めた署名簿」という形で、反対派議員の目の当たりにさせたわけです。
 ここで書いているのは、民主主義のルールに基づいた署名を、いわば自分の保身によりねじ曲げて解釈したことが、どれだけ市民と議会の遊離につながるか?(それこそ「議会の自殺!」)と言う点について書いたつもりで居ます。


PS.
 「評論家は誰にでもなれる。」
 「小さな事でも自分に出来ることを自分でやる!」
 と言うのが、私のスタンスのつもりです。
by たいせい (2007-01-20 15:10) 

たいせい

ヒゲボーズさん、nice!ありがとうございました。
また宜しかったら、お気軽にご意見等くださればと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
by たいせい (2007-01-20 15:11) 

nina

定数を削減すればそれだけ当選も難しくなりますもんね。
保身に走りたくなる気持ちも分からないではないですが、そんな事では改革なんて夢のまた夢ですよね。
選挙で選ばれた議員さんには侍である事を期待したいのですが、それは難しそうですね・・・。
by nina (2007-01-23 01:27) 

たいせい

 ninaさん、この件について私の怒りは、
定数削減が出来なかったことではなく、反対派議員の「筋道の立った意見」が聞きたかったと言うことにつきます。

 市民の署名を元にした議員定数削減議案に対し、定数削減の必要がないというのであれば、反対議員は署名した6525名の市民に対し、納得できるだけの論拠を示さなければ成りません。
(署名は万人が納得する内容だったら集められますので、署名をを集めた側が必ずしも正しいとは限らず、現有定数が適正もしくは、もっと多くなければならない可能性だってありますから:もっとも全有権者の20%超という数は、それなりの正当性があると思っていますが....。)

 それを、筋道立てた理由での論戦では勝ち目がないと見たのか?、市民の声(署名簿)を疑うという、いわば代表民主制のルールを無視し、市民が本来期待した「適正な議員定数とは?」から目を背けて、論陣を張った反対派の先生方に言いしれぬ怒りを持ちました。

 やはり「議会の自殺!」としか言うことが出来ません。

nice!&コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2007-01-23 09:12) 

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