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「ベタ基礎」でシロアリ。改築時の処理不能なコンクリート廃材。 [屋根には「瓦」]

 このBLOGでは、あまり一般的に知られていない「瓦屋根の良さ」について、かわら屋(とは言ってもメーカです)の立場から出来るだけ多くの人に知っていただきたいとの思いで、時々記事を書いています。

   「瓦屋根は地震に弱い」は、正しくない!?(阪神大震災)
   http://blog.so-net.ne.jp/kawaraya-taisei/2007-03-13

   夏涼しく、冬温かい「瓦屋根」(屋根材による夏季・冬期の熱環境)
   http://blog.so-net.ne.jp/kawaraya-taisei/2007-06-20

   屋根材を選ぶのは、軽さではなく、30年以上家を持たせられるかどうか!!で....。
   http://blog.so-net.ne.jp/kawaraya-taisei/2007-06-18


 私と同じようにあまり知られていない専門分野だからこそ解ることを記事にされている方が時々あり、ネットを徘徊している中で興味を持てる記事ののチェックを時々しています。
 その中でここ最近、良いと言われている「ベタ基礎」「地盤改良」について非常に興味深い記事を何点か発見しましたので、紹介させていただきます。

 

  まずは、北陸でシロアリ防除をしていらっしゃるtoyo さんの記事です。

  シロアリによる虫害にあった木材

 toyoさんのBLOGでは、シロアリ防除の仕事をしていらっしゃる中でシロアリについての一般認識が低いのを何とかしようと、様々な専門分野の記事を書いていらっしゃいます。
 今回特に気になったのは、シロアリが侵入しにくいと一般に思われている「ベタ基礎」が、実はシロアリの被害の温床に成りかねないとの物で、正直言って私の認識の中には無かった事象で少し驚いたようなしだいでした。

   シロアリ屋の独り言-シロアリとベタ基礎
   http://blog.so-net.ne.jp/siroari/2007-10-09

   シロアリ屋の独り言-シロアリとベタ基礎・・・続き
   http://blog.so-net.ne.jp/siroari/2007-10-09-1

   シロアリ屋の独り言-コンクリートへの過信
   http://blog.so-net.ne.jp/siroari/2007-10-10

 ベタ基礎地震に強くシロアリなども侵入しにくい基礎だと思われていますが、toyoさんに言わせると、コンクリートのベタ基礎の下はシロアリがもっとも好む空間で、コンクリートの亀裂などから容易に侵入して来るし、コンクリート自体がシロアリにとって侵入を阻む固い壁ではなく、十分に穴を空ける力も持っていて、ベタ基礎の建物でのシロアリ被害例なども出始めているそうです。
 また、床暖房などもシロアリにとって格好の生息空間を生み出し、注意しないとシロアリ被害を呼び込むことに成りかねないとの指摘が書いてあります。
 

 私自身が幾度かの地震被災地への現地調査の際に感じたのは、地震の被災を受けやすい家は、屋根の重さよりも、築年度による建築基準法の構造強度よりも、「シロアリの被害」を受けている家や「手抜き工事」があった家だったとの感想を持っており、シロアリ対策(つまりは床下などの湿潤化対策)にはもっと気を配るべきだと考えていたこともあり、非常に興味深く感じました。

   「平成19年新潟県中越沖地震」瓦屋根に関する報告書(平成19年7月16日 新潟県中越沖地震)
   http://blog.so-net.ne.jp/kawaraya-taisei/2007-08-23

  中越沖地震での被災住宅


 ついで、山形県で設計事務所をやっていらっしゃる柿崎さんのBLOGからです。

 柿崎さんの記事で考えさせられたのは、「地盤改良」についてでした。
 セメントやコンクリート製品を使った地盤改良は、確かに効果があり有効な方法ではありますが、数十年経って将来の建て替えと言うことを考えた場合に、地中に残る大きなセメントの固まりは恐らく撤去不可能で、その際の地盤改良の方法は全く見当が付かず土地の転売などを行う際にも大きな障害と成りかねないとの指摘がしてありました。

 柿崎さんの場合は、切り土と盛り土が混ざる土地や傾斜地の土地や極端に軟弱地盤など、明らかに地盤改良が必要なところ以外、基礎の形状や砕石の締め固めなどを工夫して対処するよう心がけていらっしゃるとのことです。
 また、杭が必要な場合にはお施主様の理解をいただいて、錆びて最終的には土と同化する(引き抜きも可能)鉄鋼杭松杭による地盤改良を進めていらっしゃるようです。

   地盤改良は地盤改悪だ-家づくりのヒント
   http://iehint.blog.drecom.jp/archive/45

   私が考える地盤改良1-家づくりのヒント
   http://iehint.blog.drecom.jp/archive/46

   私が考える地盤改良2-家づくりのヒント
   http://iehint.blog.drecom.jp/archive/47

(ちなみにこの記事の中にも、不同沈下が起こりやすいのは重量の大きい「ベタ基礎」だからだとの指摘もあります。)


 この件に関連して、sei-kita さんのBLOGで地中に残る布基礎コンクリート残骸のために杭が打てなかった事例が紹介されている記事がありました。(後半です)

   建築構造設計-くい芯ずれ
   http://blog.so-net.ne.jp/kentikukouzou/2007-10-12

 

 いずれも、実務に携わっている方でなければ書けない記事で、瓦という一建材メーカであるに過ぎない私に、大きな視点を与え下さいました。
 この場を借りて御礼申し上げます。

 「ありがとうございました!」

 

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(参考)
「ベタ基礎と布基礎の違いを教えてください」  施工 - 日経住宅サーチ
http://sumai.nikkei.co.jp/house/qahouse/seko20021101a2000a5.html

ベタ基礎と布基礎どちらがいいのか?
http://www33.ocn.ne.jp/~dr_jun_house/kiso.htm

布基礎、ベタ基礎
http://www.h5.dion.ne.jp/~tensoiti/sub331.htm

基礎工事の基礎知識~布基礎、ベタ基礎、杭基礎
 
http://www.fudous.com/house2.htm


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家を作るにあたり、色々なメーカーの説明を受けましたが
やはりどの工法でも”弱点”というものがあるのですね。
人間と虫のいたちごっこ・・・自然には勝てませんね。
あっ!悲観的になっているわけではないですよ~
by (2007-10-14 01:10) 

ベタ基礎とシロアリ、その関連性を誤った認識をしていました。これは勉強になりますね。
by (2007-10-14 21:04) 

nina

シロアリはまだしも地盤改良とか考えたことがありませんでした。
確かに地盤がしっかりしてないと、建築後何十年も経ってきたら家が傾いてきたりするかもしれませんもんね。
法隆寺など、築後数百年といったような建物の地盤ってどのようにしたんでしょうね?
今でも健在ですよね。
by nina (2007-10-15 01:28) 

たいせい

 ぺんたごんさん、新しい工法や建材が、たいした実証試験を経ずに安易に使われていることの問題を感じることが結構あります。
 住宅は建てられると、その後数十年は保たなくてはならないわけですが、実際には新しい工法や建材を使ったの建物が建ったとしても、せいぜい数年の経年変化を見るのみで市場に投入されてしまいます。
 実際には、昔と違い冷暖房効率が求められるようになったり、建物への要求性能も変わってきているので、昔の工法が全て良かったというわけにも行きませんが、経済効率優先でろくな試験もしないで「安い建材」や「安い工法」が、安易に使われすぎていると感じることがあります。

 恐らくシロアリによる虫害や構造材の腐朽などは、対症療法的に様々な対処法が今後考えられていき、被害の発生しにくい方法が考えられていくのではないかと思いますが、それまでは「その道のプロ」の声をよく聞いておくしかないように思います。
 ハウスメーカーなどは、メンテナンスと営業部門が組織的に遠い場合がままあり(営業は素人相手だと、なまじ説得力のありそうな口調で対して根拠のないことを併記でのたまわる事例などもあるようです)、私個人としては近隣でしっかり地盤を持ち、古くから仕事をしていらっしゃる方が一番安心できるような気がしています。
 また、「その道のプロ」、舐めるべからず!ですね。

 nice! &コメント」、ありがとうございました!
by たいせい (2007-10-15 09:11) 

たいせい

 STEALTH さん、私も間違った認識を持っていました。
 BLOGをはじめて、建築業界の様々な「プロ」の情報を目にする機会が出来、瓦という一建材のメーカに過ぎぬ私が、屋根のみ成らず建築全般にまで視点を広げるよう契機になりました。
 BLOGに感謝です。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2007-10-15 09:16) 

たいせい

 nina さん、私見ですが様々な地震被災地の現地調査に行ってここの所思っているのが、建物本体の構造強度以上に地盤や手抜き工事の方が大きな問題ではないかと感じています。
 地盤が安定していれば、古い建物でもそんなに被災建物は多くありませんが、地盤の不安定な地区では全戸被害などと言う事例を幾つも見ました。
 社寺仏閣の古い物は、元々地盤のしっかりしているところに建てられており、更に地盤をしっかり踏み固めた上に礎石(?)を設置して、その上に柱を乗せた構造で、地震で地面が揺れたら石の上から柱がずれることはあるけれども建物本体には大きなゆれが伝わず、ずれたら後に修理で元の場所に戻すことが出来ると聞いた記憶があります。
(また、同じ木造でも伝統工法は、筋交いを使わず材と継ぎ手で構成される柔構造で、地震にも強いと聞いたように思います)
 「地震でもびくともしない家」「地震の被害は受けるけれども、修理が可能な家」、どちらがよいのか?考えることがあります。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2007-10-15 09:28) 

アキラ

約1mもの深さに及ぶ地盤改良がなされていたことを知らされず、新築工事を開始。しかし、杭が打てず、大変に苦労したことを思い出しました。
私が思いますに、床暖房だから白蟻を呼び込むのではなく、高気密高断熱で外断熱を施工したお宅は白蟻に注意が必要だと感じています。
実際にリフォームなどで開けてみた感想です。
by アキラ (2007-10-15 14:38) 

たいせい

 アキラさん、地震被災地の現地調査から地盤に興味を持つようになり、意識して関連のBLOG等を読んでいて、本当に勉強になりました。
 床暖房も断熱など新しいことに取り組む場合、目的としていた機能だけではなく、建物という数十年の耐久性が必要な物に採用する場合、様々な配慮が必要だと知りましたし、地盤改良や基礎の残滓など全く眼中にありませんでした。
 様々な職域毎の専門分野が多岐にわたる建築の世界は、毎日が勉強ですね...。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2007-10-15 16:29) 

無党派A

山本大成さん、いつも貴重なコメントやアドバイスを頂きまして有り難うございます。
山本さんのご意見は大変に参考になります。
私の意見は、戦争中は軍の指導や締めつけで、一見、皆同じ価値観を持たされた。
戦後占領軍が入って、戦前派、戦中派の人達は、大まかに言って3種の価値観を持つようになった。
1.日本古来の価値観の良い部分も全て捨てて、米国の言うことをそのまま呑みこんだ人。
その極端なのが、権利は主張するが義務、責任を感じない人。
2.米国の価値観を全て否定し、日本古来の価値観の良いことも悪いことも全て護る人。
3.日本古来の価値観の良い所と、米国の価値観の良い所を自分のものにしようとする人。
私の考えでは3.の人が大部分、1.は少数、2.は稀と思います。
今後ともなお一層のご助言とサポートをお願い致します。
by 無党派A (2007-10-15 22:31) 

bajane1515

伝統構法の場合は基礎が石端建てなので、白蟻がいらっしゃってもすぐに発見できますし、万が一食べられても「根継」ができます。
地震にも竹籠のようにしなって、柔らかく強いです。
by bajane1515 (2007-10-15 22:34) 

たいせい

 無党派Aさん、実は私が戦前派には実は二種類あるのではないか?と考えるようになったのは、20代の頃情熱を燃やした山登りを通してでした。
 日本の岩壁登攀の歴史は、主に戦前・戦中派の人たちによって作られて来たのですが、それぞれ思春期を迎えた時期が「戦時体制以前」「戦時体制-戦中」「戦後」で大きく異なります。

 「戦時体制以前」の方達は、主に旧制高校を経て大学山岳部を活動の基盤としていて、自由闊達な雰囲気があり独自の美学で飾られていた印象が強くあります。
 「戦時体制-戦中派」の方達は、戦後生きる目的を失い生き残った自分に呵責を感じつつ、危険と隣り合わせの岩壁に向った印象です。
 「戦後派」の方は、混乱の中の実生活を離れて自分が生きてゆく目的を求めて、バリエーションルートを切り開いていった様に思います。

 以上は、私の全く個人的な印象なのですが、その後自分なりに様々な近現代史についての本を読んでいて、著者が思春期を迎えた年代によって戦争や戦時体験についてのスタンスが全く違うことに気がつきました。
 それが、戦前の人たちには「大正デモクラシー戦時体制以前」と「戦時体制-戦中派」とでは全く違う時代認識を持っていらっしゃるのではないかという点でした。
(この記事とは全く違う話題でもありますので、近日中に別記事を書こうと思います)

 無党派AさんのBLOGを余談で汚してしまって恐縮だとは思ったのですが、そんなことをかねがね感じていたこともありコメントさせていただいた次第でした。

 コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2007-10-16 15:44) 

たいせい

 bajane1515 さん、先日NHKのニュースで能登半島地震の古い被災建物で、柱をずれた礎石(?)の上に戻し、構造材のゆがみを直して、壁・屋根の施行をし直す修理のニュースを目にしました。(伝統工法-石端建て・柔構造だと思います)
 こういうニュースを見ると、筋交いなどによる耐力壁で壊れにくい家と、柔構造で被害は多少受けるけれども修理の可能な家と、どちらがよいのか考える事があります。
 屋根についても、今は台風などの強風でも地震による大きな揺れでも脱落しない施工が標準的になりましたが、昔ながらの地震で揺れたら葺き土と一緒に瓦を落下させて建物本体を守る土葺き工法も、台風などがあまり来ない地域だったら十分有効なように思います。(土葺き工法の方が夏涼しく過ごしやすいです)
 伝統工法の、真の意味と価値を今一度研究して見直す時期に来ているように思っています。

 コメント、ありがとうございました!
 これからもよろしくお願いいたします。
by たいせい (2007-10-16 15:55) 

plusgate

いつも勉強させて頂いてます。
なるほどと思う部分が確かにありますね。
地盤改良については、確かに解体時のことも考えなくてはなりませんね。
反省しきりです。
by plusgate (2007-10-24 14:46) 

たいせい

 plusgateさん、この記事は私も本当に勉強になりました。
 まだまだ紹介したい記事は幾つかあるのですが、自分の時間が取れずなかなか思うに任せません。
 せめて、瓦や屋根関係の事は記事にしてゆきたいと思ってはいますが....。

 nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2007-10-24 16:40) 

浜松自宅カフェ

地盤改良のこと、新しい気付きをいただきました。
実は僕もセメント混合による地盤改良には、引っ掛かるものがありました。
六価クロム汚染もありますが、地下水が通る地中にセメントを投げ入れ
攪拌することに。
だから、鋼管杭と言うのはナルホド!です。
by 浜松自宅カフェ (2007-10-30 00:14) 

たいせい

 浜松自宅カフェさん、私もここで紹介させていただいた記事は本当に勉強になりました。
 建築に関わる各職域の方達が日常考えていらっしゃる問題点などに触れられ、BLOGを通して本当に自分の視点を広げていただいています。
 nice! &コメント、ありがとうございました。
 今後ともよろしくお願いたします!
by たいせい (2007-10-30 10:24) 

キクイムシ

シロアリによる虫害にあった木材
の画像ですが、これは
キクイムシによる被害ですね
by キクイムシ (2011-07-05 01:43) 

たいせい

 キクイムシさん、気がついていらっしゃると思いますが私にはシロアリとキクイムシのハミアトの区別が付いていません。
 ただ地震後の被災建物をよく見るとこのような様子が見られることは思いの外多く、この分野の専門科の方によく調べていただきたいと感じています。

 ご指摘ありがとうございました。
by たいせい (2011-07-18 22:33) 

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