長期優良住宅(200年住宅)本法国会成立&第2回超長期住宅先導的モデル事業-結果発表 [200年住宅]
「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(いわゆる200年住宅に関する本法)が、2月26日の国会提出以来随分時間が掛かりましたが11月25日に参議院を通過し、ようやく成立しました。
この法律は本来、今年度実施されている「超長期住宅先導的モデル事業」の進行と同期してもう少し早い時期での成立が見込まれており、この二つが「いわゆる200年住宅」普及の両輪となるはずでしたが、本法のみが国会のネジレ現象の中で遅れていた訳ですが、曲がりなりにも当初予定された形がこれで整うこととなり、来年度以降建築業界が大きく変わる切っ掛けとなるのではないかと考えています。
(認定基準等近々でのパブリックコメントを経て、施行は来春の見込み。)
また、11月19日に「第二回超長期住宅先導的モデル事業公募」の評価結果の発表もありました。
今回、この二点を中心に書かせていただきます。
こんな200年住宅が建つようにしたい
まず前提条件として、今年行われている一連の「長期優良住宅」(いわゆる200年住宅)について私の見解です。
国は戦後一貫して「国民全世帯に持ち家を!」との旗印の下、住宅の工業化・低価格化という考え方で、住宅政策を推し進めてきました。
その過程で、日本の気候風土の中で建築実績が全くなく耐久性の実証がされていない構法や工法の建物が、安くできるという理由でもてはやされたり、政策の波に乗ったプレハブ住宅メーカーの寡占化などが進行し今に至っています。
今回の「長期優良住宅」というのは、国が戦後初めて「耐久性」や「信頼性」「メンテナンス性」を大きなキーワードとして政策に盛り込んだ、大いなる政策転換に成る可能性を秘めていると感じています。(つまり今回の政策が上手くいかなければ、また「安かろう悪かろう」の住宅業界に逆戻りの可能性があります。)
(地震の際の倒壊家屋の多くは、構造的な問題と言うよりもシロアリや腐朽による構造材の劣化が原因と思われるモノが非常に多いです。特に高断熱が言われるようになってから、多くの建物で結露が引き金となりこれらが進行しています。これも耐久性という観点での検討が成されていなかったのが原因と考えています。)
ここ暫く相次いでいた建築に関わる様々な法制度の変更で多くの建築関係者は多大なる影響を受け、国のネコの目政策に辟易としていらっしゃるのが現状だとは思いますが、「長期優良住宅」については取り組んだことが今後の仕事にもつながり住宅業界全体の質の向上につながる可能性があるとの認識の上で情報収集や実際の仕事上への取り組みに繋げていっていただきたいと思います。
「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」について
このBLOGではこれまで踏み込んだ記事としては「超長期住宅先導的モデル事業」を中心に書いてきました。
先導的モデル事業の場合あくまでも「先導的なモデル」としての募集であり、予算や棟数の制限により長期優良住宅としての条件をクリアしていたとしても必ず補助金が下りるという保証が無く、また明確な認定要件が定められていたわけではありません。(概ね○○の水準以上という感じで、曖昧さがありました)
今回の法律との一番の違いはその辺りにあり、一定の条件がクリアできれば普通に長期優良住宅として認定され棟数の制限もなく長期優良住宅の優遇措置の恩恵を受けられる状況が出来上がったと言うことになります。
「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が成立いたしました。-住団連HP
http://www.judanren.or.jp/200/longhouse_law.html長期優良住宅の普及の促進に関する法律-住団連HP(PDF版)
http://www.judanren.or.jp/200/pdf/longhouse_law.pdf
現在確定している優遇措置としては、建物を長期優良住宅にするための建築費の上乗せ分のいくらかを国が負担するという考え方で、登記に関わる登録免許税の減免ですが、20~30年経った後でも残存価値が評価できる建物と言うことになりますので転売時の高評価や、金融機関など残存価値を見込んだローン商品の開発等も予測され、お施主様にとって選択肢の大きな一つとして検討できる状況が生まれる見込みです。
少なくとも先導的モデル事業の認定を取ったハウスメーカー(以後HMろ書きます)は、来春以降標準的な商品ラインナップの中に「長期優良住宅」あるいは「200年住宅」をキャッチコピーに使った商品が大きな比重を占めるように成るであろうし、それらのHMが積極的な営業展開をすることにより一般のお施主様の意識もそちらに向かう可能性が高いと考えています。
現に先導的モデル事業に採択になったビルダーや工務店がオープンハウスを行うと、この不況の中これまで以上のお客様が集まり大盛況となる旨の話も耳にしており、特に「こだわり住宅」を考えていらっしゃるお施主様は確実に関心を示していらっしゃるようです。
200年住宅の集客力-三澤BLOGより(リンクが上手く貼れません)
200年住宅が話題です。
今、建設業界は不況で、いろいろなイベントをやってもお客様が来ない、オープンハウスにもお客様が来ない、ローコスト住宅、フランチャイズも一巡して、お客様が集まらなくなっています。その中で、HABITA200年住宅は話題になり、集客に成功しています。
8月、石川県のHABITA北国さんでは、モデル住宅オープンの広告で合計約1,500件のお問い合わせがありました。9月、千葉県のさんぶの杜で開催した「200年住宅」発表会には、1,214名のお客様をはじめ、合計1411名の方々が来場されました。11月、埼玉県のHABITAダイケイホームさんのモデル住宅発表会見学会では5日間で62組141名の来客がありました。11月、東京都のHABITA高政工務店さんでは、チラシ3,000枚で、30組の来客がありました。200年住宅には集客力があります。
MISAWA international|三澤ブログ(三澤千代治氏のBLOG)
http://www.m-int.jp/misawa_blog/
後段の「先導的モデル事業」で触れますが、「いわゆる200年住宅」はHM等の事業規模の大きな企業でしか取り組むことの出来ない仕事ではなく、規模の大小にかかわらず「こだわり住宅の担い手」がこれまでお施主様に必ずしも上手く伝えることの出来なかった「耐久性」や「信頼性」の部分にスポットが当てられる国の「大いなる政策転換」です。
(国の政策自体が、「国民全世帯に持ち家を持たせるためなら、安かろう悪かろうでも構わない」から、「耐久性」「信頼性」「メンテナンス性」などの建物が本来持っていて当然の性能を重視する方向に明らかに変わりつつあります。)
検討機関の様々な文献を読み解いていくと、「無垢の木材」「地産地消」「長持ちさせるに値する住宅」「既存の技術を組み合わせて」等の言葉が踊っています。
実はこの土俵は、原価率を引き渡し価格の40%前後で押さえなければ販売管理費や宣伝広告費の捻出が出来ないHMにとって決して有利な土俵ではありません。
むしろ規模の大小を問わず材の価格に大きな格差のない世界での商売となり、販売管理費が少なくて済む地域ビルダーや中小工務店に有利な土俵とすら言うことが出来ます。
(「先導的モデル事業」に於いては、この手のこだわり工務店の申請が以外に多く採択されています。)
最低限「性能表示住宅」の申請が出来る仕掛け作りは必要ですが、設計事務所とタイアップしたり、前回「全建連」が申請し採択となった「全建連地域木造優良(ちきゆう)住宅先導システム国産材モデル提案」、今回「木住協」申請の採択案件「木住協 ながい木のモデル 地震に強い設(しつらい)の家」の枠組みを生かした取り組みも、思いの外低いハードルで参加することが可能です。
今春の施工を目指し近々に国土交通省から様々な諸規則が発表となり、パブリックコメントなどの形で情報開示されていくことに成ります。
HMの一極集中が進みつつある昨今、こだわり工務店や地域ビルダーが今後生き残っていく道しるべとなる可能性が十分にあります。
来年はこれを軸に建築業界は大きく変わる可能性が極めて高いと言うことを認識した上で、建築関係者の方は積極的に取り組んでいただきたいと思います!
(百年単位での使用実績のある屋根材は、粘土瓦しか存在していません。その事もお忘れ無きよう...。)
「第二回超長期住宅先導的モデル事業公募」
今回の応募は325件で内48件(14.8%)が採択となり、前回の応募総数603件中採択数40件(6.6%)に比べ申請件数が約半分になったにもかかわらず採択数が増えていますが、これは前回の採択結果の発表を見て申請内容がより具体的になったことと、前回未採択となった案件の再検討・再提出などで通りやすい案件が多かったことによるものではないかと思います。
採択された案件としては、「住宅の新築部門」29件、「既存住宅の改修部門」7件、「維持管理流通システムの整備部門」8件、「技術の検証部門」2件、「情報提供及び普及」2件と、第一回と同じく「住宅の新築部門」に偏った採択となっていますが、これは申請自体が同様の傾向に偏っていたためのようです。
(「既存住宅の改修部門」「維持管理流通システムの整備部門」の申請がもっと欲しい旨のコメントが、報告書には付いています。)
「第2回超長期住宅先導的モデル事業公募 総評と採択されたプロジェクトの一覧および概評」(PDF版)
http://www.kenken.go.jp/chouki/pdf/2st-kekka.pdf「第1回超長期住宅先導的モデル事業公募 総評と採択されたプロジェクトの一覧および概評」(PDF版)
http://www.kenken.go.jp/chouki/pdf/1st-kekka.pdf超長期住宅先導的モデル事業-独立行政法人建築研究所(Q&A集が非常に興味深いです)
http://www.kenken.go.jp/chouki/index.html
報告書を読んで私が第一に感じた点は、名の知れた大手プレハブメーカーやハウスメーカーの案件以上によく名を知らない工務店と思われる申請者の案件の採択比率が目立った高かったことです。
主要なHMで取り組みをしているところは前回と今回で概ね採択になっていると思いますが、それ以外のこの手の事への取り組みが遅れがちな「地域ビルダー」や「こだわり建築を標榜する工務店」が積極的に取り組んでいらっしゃる様を肌身で感じました。
(単独の事業規模では対処できないという判断なのか?、補間関係にある数社による共同提案の案件も今回目立ちました。)
また第1回目の採択結果についての記事で、全国の中小工務店の団体である社団法人全国中小建築工事業団体連合会(全建連)の「全建連地域木造優良(ちきゆう)住宅先導システム国産材モデル提案」を地場の大工さんや工務店が比較的容易に取り組める例として紹介しましたが、今回も社団法人日本木造住宅産業協会(木住協)の「木住協 ながい木のモデル 地震に強い設(しつらい)の家」が採択されており、中小工務店の選択肢がまた一つ膨らみました。
超長期住宅先導的モデル事業「木住協ながい木の家モデル 地震に強い設(しつらい)の家」について-木住協HP(PDF版)
http://www.mokujukyo.or.jp/upfiles/20081128155148.pdf不動産最新ニュース 「木住協ながい木の家モデル 地震に強い設の家」、超長期住宅先導的モデル事業に採択/木住協
http://www.re-port.net/news.php?ReportNumber=17451
審査や採択に関する検討委員会のコメントについては概ね前回の第一回採択案件の報告と同様で、今回も地域ビルダーによるこだわり住宅へのシンパシーを感じました。
面識のある地元愛知のビルダー「株式会社明城」の案件が採択になっていて驚きました。
私の地元愛知県の安城市にある「在来伝統木造住宅」「瓦屋根の土葺き」「土壁」にこだわった、どちらかというと昔ながらの仕事の進め方を特徴とした規模はそれほど大きくない工務店です。
の規模でも十分「超長期優良住宅」に取り組むことが出来るという事例としてあげさせていただきます。お知らせ 祝「200年住宅」に明城が選ばれました!-明城HP
http://meijyou.co.jp/news/ID_1174.html三河・安城 木造住宅の建築・リフォームなら 株式会社明城
http://meijyou.co.jp/
今回気になったキーワードは以下です。(前の記事「第1回超長期住宅先導的モデル事業」評価結果が発表(200年住宅・第一回採択結果)並びに、公式発表「平成20年度 第2回超長期住宅先導的モデル事業の評価結果を公表しました」を斜め読みでも良いので読んでいただければと思います。)
「住宅全体としてのバランス」
個々の特出した技術ではなく全体としてのバランスで判断した旨のコメントが、随所で見られました。「壁体内の結露対策」
やはり建物の耐久性という面で今の建物の一番の問題は、結露による構造材の腐朽やシロアリなどの虫害という認識を持っていらっしゃるようで、構造躯体の耐久性について書かれた部分では、いの一番に壁体内の結露について触れられていました。
これは高耐久住宅と言うよりも高断熱住宅の宿命的な問題で、早期に高断熱に取り組んだHMを中心に恐らく今後5年以内には社会問題化するのではないかと感じています。「これまで積み重ねられてきた技術を、より有効に組み合わせる」
前回・今回と採択されてきた案件を見ても、200年住宅は開発力のある大企業のみでしか扱えない訳ではありません。
コメントを読んでも、日本の気候風土の中で数十年経たないと信頼性が実証されない新規な技術より、むしろ確実な既存の技術を重視している様子がうかがえます。
中小規模の工務店でも、十分取り組むことが可能です。「伝統的工法」
「伝統的工法の特長を生かしながら、現在の水準を満たすように工夫する提案」を、優位に評価したそうです。
現在3年計画で、伝統構法の設計法・評価法についての検討が国で行われていますが(先日Eーディフェンスで伝統構法の耐震実験が行われるなどしています)、元々日本の気候風土の中で数百年単位の耐久実績のある建物は伝統構法しか存在していません。
様々な災害に現実に耐える建物を分析することから始まったはずの建築学であるはずなのに、その生成物であるはずの法律や規制により実績のある構法の建物が建てられないというおかしな事態から一刻も早く脱して欲しいものです。「床下点検措置・システム配管・二重床」
維持管理の容易さというのがやはり大きなポイントとなっているようで、様々な配慮が求められているようです。「変化に対応できる空間」
先進的なモデル事業としてはもっとも評価の難しかった部分であったようで、耐力壁の可能な限り外周部への配置や木質ラーメン構造など様々な提案は成されたようだが、現実に既存の木造軸組構造の案件が多数採択されていることからもそれらは先導的とまでは言えないとの評価になっているようです。
この辺りは先導的モデル住宅と長期優良住宅本法で規定される建物との、評価に於ける着眼点の差になるかもしれません。「維持管理に於ける建築主自身のDIY」
今回の評価結果を読んで一番衝撃を受けたのが実はこの記述です。
メンテナンスを第三者機関を含む他人が行うと言うことはその部分の工数が発生することとなり、当然の事ながら管理コストがそれなりにかかることを意味します。
DIYでそれが出来ればランニングコストの圧縮につながりますし、中小工務店がよく突きつけられる「あなたの所の会社は10年後に間違いなく存在してメンテナンスが出来るの?」との言葉に対しても一定の答えになります。(破綻してしまった大手HMも何社もあり、大手だから大丈夫だというわけでは全くないのですが...。)
検討委員会がこのような提案を前向きに捉えていただいたことに対して、率直に評価したいと思います。「保険や金融機関と連携した制度の構築」
ここに来てようやく、この手の提案が出てきました。
長期優良住宅の普及については、ローン終了時にもちゃんと残る「残存価格」や「転売時の資産価値」が高いことによる「リスクの低さ」などを考慮に入れた「残価設定ローン」などのローン商品に掛かっていると感じています。
災害などでの破損の可能性も通常の建物に比べて遙かに低いわけで、保険料率もリスクに見合った低料金設定が可能になります。
また実際の点検や維持管理については、工務店自身が主体となるのではなく何らかの形でこれらと連携した方が実効性もあると感じています。(第三者機関のシステムの利用というのが現実的な姿で、工務店・お施主・金融機関・保険会社・第三者機関が連携したシステムが出来つつあると思います)
保険会社や金融機関と連携する可能性が高まったことで、本法施行後の普及に弾みがつくかもしれません。「地産地消・環境配慮(自然素材の利用を含む)・地域性」
建材に於ける地産地消と言うことが、やはり大きく扱われています。(グループを組むなどして何らかの具体的な枠組みが作れた場合に、高い評価となっているようです。)
これこそHMではない地場の工務店のテリトリーであり、容易に取り組める部分であり、前向きに受け止めていただきたいと思います。
「第1回超長期住宅先導的モデル事業」評価結果が発表(200年住宅・第一回採択結果):山本大成 「かわら屋の雑記帳」
http://kawaraya-taisei.blog.so-net.ne.jp/2008-07-11
(第一回の採択発表があった際に私なりに内容をまとめた記事ですので、併せてこちらも読んでいただければ幸いに存じます。この記事を印刷して取引先の屋根工事店に配布したところ、元請けの工務店を巻き込んで幾つかの具体的な動きが始まりつつあります。)
以上、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」並びに「第2回超長期住宅先導的モデル事業採択」について私なりにまとめてみました。
最初に書いたように今進んでいる「いわゆる200年住宅」は、建築に「耐久性」「信頼性」「メンテナンス性」という当然新築の際に検討しなくてはならなかった項目にスポットを当てる画期的な国の政策転換です。
HMの寡占化が進む中、地場の工務店が確かな仕事を確保し安定して生きていくための大きなチャンスになりうるものです。
国の政策転換に振り回されるだけではなく、積極的に生かしていただきたいと思います!
(数百年単位で耐久性に実績のある屋根材は粘土瓦しか存在していません。これが復権の切っ掛けとなることを期待しています)
なお、3回目の「先導的モデル事業の公募」は来年1月に行われる見込みです。
「200年住宅関連記事」
「超長期住宅先導的モデル事業の第2回公募」が始まっています&30万ヒット!
「第1回超長期住宅先導的モデル事業」評価結果が発表(200年住宅・第一回採択結果)
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お施主さんもその事を理解してもらわなければ意味が無いと思います。
安く出来て長く保証されるなんて誤解されたのでは、業者は潰れてしまうと思いますが・・・
by yanasan (2008-12-12 21:08)
こういった法律は報道には乗らないので、一般の人が知ることは少ないですよね。
たいせいさんのブログで取り上げていただかなかったら、私も一生知らないままでした。
家を建てる事は今は考えてませんが、もしそうなった場合には「長期優良住宅」というのが選択肢の重要な部分を占める事になるでしょうね。
by nina (2008-12-12 21:29)
こんばんは。
いわゆる“200年住宅”の「普及」へ向けて、大きな流れが始まっているようですね。
高度経済成長時代のように、“安かろう・悪かろう”、“とりあえず持ち家であることが重要”という価値観から、現在の施主である消費者は、「より良いものを」求める傾向が、住宅に限らず強まっていると思いますので、この転換は遅きに失した感は否めませんが、これを機に屋根材の見直し(もちろん“瓦”です)へ視点が移ってくることを、祈っています。
自分で居たことがあるから言う訳ではないですが、三沢さんは「先見」の衰えない人です。きっとあと数年後には、「200年住宅」の仕様が住宅建築の標準となり、たいせいさんのおっしゃるとおり、地場の工務店やビルダーの復権へと繋がって行くのではないかと考えております。
住宅は、建てる土地に応じて柔軟に建築する必要があると思いますから、工業製品のようなプレハブ住宅では、耐久性や品質に限界がありますから。
by まーきん。 (2008-12-13 00:17)
先日、従兄弟の設計事務所に立ち寄ったとき、この200年住宅の話をしたらなんか否定的な答えしか返ってこなかったのが印象的でした。突っ込んで意見を聞いたわけではないですが・・・。なんか複雑な気分になりました。ともかくうまくいくことを願っています。
by toyo (2008-12-13 01:55)
yanasanさん、これまでHM等がやってきた100年住宅は、建物自体の作りはさほど変えず(多少は変えていますが限りなく怪しい範囲だとしか私には感じられません)ただ保証を延長することによっての対応で、結果として下請けが大変な目に遭ってきたと言う側面が確かにあります。
それに比べて今回国が進めようとしている「長期優良住宅」は、「長期間建つに値する家」というのが大きなキーワードになっていて、建物の造り自体を付加価値の高い物に変えていこうとの取り組みで、少し違う様相で今のところは進んでいるとの印象を持っています。
(少なくとも「先導的モデル事業」の段階はそうでした。これから今回通った本法の適用によって建つ家がどうなるかは、行政の今後の運用による要素が確かにありますが。)
現在の低価格化の流れは、お施主様に建物による目立った差を認識していただくことが出来ないことによるものが大きく、同じようなものならばと低価格な建築を建てられるという要素が大きいように思います。
(もちろんお施主様の財政状況や意識により様々なケースがありますが、二極化により付加価値の高い家の絶対数が増えているのも事実で、付加価値の提示がキチンと出来ればお客様は集まります。)
今までのお施主様の関心は設備機器や内装・間取りなどに集中していて躯体については耐震性などの機械的な強度には多少の関心は示しても耐久性やメンテナンス性について顧みられることはほとんどありませんでしたが、これは戦後長く続いた住宅の低価格化政策とそれによって政策的に優位に立ったHMの宣伝によるものが大きかったはずで、今回の政策転換で様相が変わる可能性があると感じています。
建物を長期間維持するためにはメンテナンスが必要で、当然それにはコストがかかります。
それらを理解させるのは元請け工務店の仕事なのですが、大手HMが積極的な営業展開をした時点で否が応でも長期優良住宅への流れが出来ていくものだと思っています。
ただ、今の時点でお施主様の大半は、メンテナンスにお金がかかることも耐久性という観点が住宅選びにどれほど必要かという認識を持っていません。
この観点をお施主様自身に持っていただくことが出来る可能性の高い政策転換だと感じています。
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-12-13 09:01)
ninaさん、昨日の麻生首相発表「緊急経済対策」の中で、長期優良住宅に対する減税がまた新しく打ち出されていました。(住宅ローン減税?:普通の住宅に比べ100万円控除額が大きくなります。)
そんなことからも今しばらくの間は、国の住宅行政は「長期優良住宅」を中心にして進んでいくことになりそうです。
私としては「長期優良住宅」と言う定義がされた家については様々な特典がありそうなのでそれに越したことはありませんが、一番の基本は自らの仕事とお施主様に対して真摯な「こだわり建築家」を選ぶことだと思っています。
(「長期優良住宅」の範疇の家でも不誠実な建築会社のものであっては全く意味を成しません。:HMの家でも品質は最終的には現場で作業する職人のレベルで同じ商品でもピンからキリまで出来てしまい、あまり好きになれません。)
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-12-13 09:18)
まーきんさん、大変申し訳ないのですが三澤千代治さんについては現在のプレハブメーカー・ハウスメーカー一極化に至るビジネスモデルを作り出した人との印象が強く、私個人としてはあまり好きになれません。
ただ仰るように「先見の明」と「ビジネスプランの創出」に関して素晴らしいものを持っていらっしゃり、今回の実質的なフランチャイズシステムによるHABITAの立ち上げなど、ビジネスマンとして大変素晴らしい感覚を持った方だと感じています。
(200年住宅用屋根仕様などの話で、当社の属する組合にも一年以上前から接触がありました。)
昨今の住宅業界については、他の業界では「高付加価値製品」と「超廉価品」との二極化が進む中で、住宅だけは何故「超廉価品」の話ばかりが注目されるのだろうか?との疑問を持っていました。
(住宅業界のビジネスモデルはいまだに高度経済成長時のマスプロ式が主流と感じています。:設備機器については必ずしもそうではなく、付加価値の高い物がちゃんと売れていますから、住宅所得のお施主様の意識は本来価格だけではないのは明らかなのに...。)
当然やり方によっては「高付加価値市場」が開けるはずだとの確信を持って様々な情報収集をしている中で「200年住宅」というキーワードを発見し今に至っているわけですが、ここに来て様々な施策が出だし、供給元も体制整備が始まり、いよいよテイクオフが近づいたかの感を持つようになりました。
ただ、せっかく自らに有利な土俵を国が用意しつつあるにもかかわらず一般の工務店は、ここの所のネコの目建築行政によって国に振り回され通しで被害者意識の元、「200年住宅」への意識があまり高くないのが心配です。
(このままだとHMに都合の良いようにねじ曲げられていって、HMの新たなビジネスモデルが出来るだけの結果になってしまう可能性もあります。)
当面の間、注視していたいと思っています。
nice! &コメント、ありがとうございます!
by たいせい (2008-12-13 09:44)
toyoさん、ここ数年来クルクル変わる国のネコの目行政によって建築関係者は振り回され通しで、その設計事務所の方の気持ちは大変良く解ります。
(気がついていらっしゃると思いますが、建築基準法改正などこのBLOGで建築行政を扱う記事の大半は批判的なものなのはその辺りが関連しています。)
このBLOGでも最初に「いわゆる200年住宅」を扱ったのは、昨年の福田首相就任時の所信表明演説で「200年住宅」との文言を発見したときのものですが、その記事は「また国に振り回されるのか?」と批判的なスタンスで書いた記憶があります。
改めて調べよく考えてみると今の「200年住宅」に至る複線は、前々回の建築基準法改正時の品確法などで「性能表示制度」(付加価値の高い物が評価される枠組みを作る意図を当時感じた記憶があります)を創出したなどの複線があるのに気付き、斜に構えず背景やその後を追ってみると、意外に画期的な試みと大きな政策転換の可能性があると考えるようになりました。
果たして今回の「いわゆる200年住宅」が国のネコの目政策の中で消えていくものなのか?、それとも大きな流れとなりうるものなのか?は、もう少し時間が経過してみないとわかりません。
ただ今回、国が戦後初めて公に「耐久性」「信頼性」「メンテナンス性」というこれまで全く注目されていなかったキーワードを使い出しているのは事実で、この言葉が建築の大きなファクターとしてお施主様の頭に刻み込まれるだけで非常に大きな意義を発揮すると思っています。
「いわゆる200年住宅」についての対応は、情報の受取手によって大きく評価が異なるのが事実ですが、記事中でも書かせていただきましたように今のままでは先の見通しがない中小の工務店にとっても、「将来に渡り事業の継続が可能」で、「次代に引き継ぐ価値のある建築業界」を復活させられる可能性を持っているように感じています。
今後どんな変化が起こっていくのか?、楽しみで仕方ありません。
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-12-13 10:11)
「地域ビルダー」や「こだわり建築を標榜する工務店」が中心になっているようでいいですね。地方の会社が活性化するのはよいことだと思います。大手は中を抜くだけですからね。神社仏閣の施工にも大手が入り鬼瓦とか、家紋入りの瓦も金額も下がっているそうで、大手重視の考え方ではなく、地域の会社が元気になるような考え方をすべきだと思いますね。
最近特に地方の切捨てが気になりますしね。
それと国産の木をもっと使うといいと思うんですが、日本の森は今よくないですからね
石膏ボードは便利ですが、下手な捨て方すると硫化水素がでるそうで問題になってますよね
by スミッチ (2008-12-13 11:07)
いつもの事ながら、積極的にお調べになり記事にされることに敬意を表します。仰ることは良く解りますが、地域性もありますので、やはりHMが強い首都圏及びその近郊においては、中小工務店は善戦はしても報いが少ないような気がしています。
いずれにしろ、見極めが大事だと感じているところです。
by アキラ (2008-12-13 14:26)
スミッチさん、申請件数自体はそこそこありますが、棟数レベルで見ると残念ながら「地域ビルダー」や「こだわり建築を標榜する工務店」の比率は必ずしも多くなく、大半の方の意識も低いのが現状です。
(だからこそ少しでも業界のためになるのではないかと思い、私程度がこんな記事を書いているわけですが...。)
仰っているような現況を大変寂しく思っていますが、すでに町場の工務店の元気が感じられ無くなってからそれなりの時間も経過しており、手遅れになってしまっているやもしれません。
そうではないことを信じてはいるのですが...。
コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-12-13 15:17)
アキラさん、一応全国シェアの6割の出荷量を誇る産地組合の構成員で中央官庁の情報が比較的容易くはいることと、粘土瓦製造業の場合私の所程度の生産量でも全国販売が基本で業界のマクロの動きの影響下にあり仕事上この手の情報を注視しする習慣があったことで、情報収集については習慣になっておりほとんど苦にはなっていません。
また意外とネット上でも情報の少ない分野で、私自身この手の記事を書いた後のコメントでどんな反応があるかを楽しみにしています。(自分の考えが正しいかどうか?、見極めることが出来ますので。)
現実に首都圏で200年住宅に取り組もうとしている工務店の社長の何人かの話をうかがったことがありますが、首都圏は仰るようにHMの寡占化が大きく進んでおりこだわり住宅の担い手であるというブランドを独自に確立しない限り、新築での安定した仕事量の確保は難しそうだとの印象を持つことがあります。(逆に言うと、今新築で仕事を確保していらっしゃる方は、悪戦苦闘の末にその立場を確立しつつある方達かもしれません。)
結局は経営判断の部分で、自らの経営基盤を鑑みて新築をやっていくかどうかに依存するのが実情だと思います。
ただ、もし新築を今後やっていきたいとの意志があるのであれば、中小工務店にとってこれまでとは違ったチャンスが回ってくる可能性の高い政策転換だと感じています。
第二回目の先導的モデル事業の採択結果を読んで、第一回と同じく「住宅の改修部門の提案が少なく、今後望まれる」旨のコメントが書かれていました。
アキラさんくらい様々な分野の認識が深く多方面との付き合いもある方ならば、そちら方面での「いわゆる200年住宅」の展開が可能かもしれません。
第1回目の時に、「古い建物の移築時は構造部分が見られる機会でもあり、回収を行い超長期優良住宅化する」などの事例が実際に採択されましたが、前に記事で拝見した「減築」や、それが難しいのであれば他のアイデアなどをぶつけてみるのも面白いのではないかと感じています。
上手くいけば、10~20年単位で安定した仕事につながる道もあるように感じています。
コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-12-13 15:48)
200年住宅・・・いい言葉です。いいものを長く、代々に渡って。
それが一番地球環境に適した文化であり、考え方ですよね。
なかなか定着しませんけど・・・。
by STEALTH (2008-12-13 20:51)
たいせいさんの記事にうなづきっぱなしです。
家作りに関わって2年の私には、今まで通ってきた道を
振り返って再確認するような気持ちです。
政府の1兆円規模の大減税には賛成です。
この機会に施主はいいものを見極め、施工業者はいいものを
提供できるように研究をして行ってほしいです。
それと、伝統建築、伝統的な瓦屋根が増えることを願っています!
日本伝統風景は残したいですよね。
by ぺんたごん (2008-12-14 08:11)
STEALTHさん、他の分野のものでは信頼性があり確かな品質なりブランド力を持った製品にはそれに見合った価格が成り立っていますが、必ずしもそうではない建築業界に違和感を抱き続けていました。
多くのお施主様にとって一生に一度の買い物だし価格が高い物だからどうしても価格が優先になるとの論法はよく理解できますが、反面一生に一度の買い物だからこそ「信頼性」が高く「確かな品質」が求められる層も存在しなければおかしいし、少なくともこうした観点での住宅選びがあり得るのだという点が、もっとお施主様一般に広がらなくてはおかしいと感じています。
(その上で予算内の安い価格のものを選択すると言うのが本来のあり方のはずで、家電製品や自動車などもそうした購買行動によって様々な製品ラインナップが成り立っています。:現実には予算の潤沢な方でも愉快道は設備機器や内装の方に向かい、もっとも大切な建物本体に向かわない現状があります。)
背景としては記事中でも書いた戦後長く続いた国の住宅政策があったわけですが、今回の「いわゆる200年住宅」で多少なりとも雰囲気が変わることを期待しています。
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-12-15 09:26)
ぺんたごんさん、伝統建築・伝統風景を必要以上にありがたがるつもりではありませんが、日本の(或いは地域の)気候風土の中で実際に風雪を経て確立した様式には実に素晴らしい機能的な意味があり、新しい工法に比べて遙かに信頼性の高い物だと感じています。
この期に多少なりとも日本の気候風土やライフスタイルの中で培われてきた伝統的な工法が少しでも見直されて欲しいとの思いを持っています。(現実には現代建築とどう融合させていくかがポイントなのでしょうけれど...。)
減税についてなのですが、私は必ずしも減税に賛成ではありません。減税は家計なり企業の普通の会計に組み込まれてしまい当座は助かるという意味はあるやもしれませんが、抜本的な解決ではないと感じています。
それよりは今回の「先導的モデル事業」のように集めたお金を集中的に使い、新しい産業創設をして雇用なり所得が増大する仕掛け作りをするしか抜本的な対策には成らないと感じています。
悪評高い「定額給付金」についても、減税であれば家計に簡単に組み込まれてしまい市中にお金が出回ることは考えられないのを(お金が回らないと経済は活性化しません)、現金の形で国民に渡ることで多少なりとも経済活性化の可能性がある政策だと感じています。
(この件は記事を書こうと思っているのですが、なかなか時間が捻出できません)
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-12-15 09:43)
住宅の建て替えの動機の一つに、修繕費の増があるとおもいます。200年持つけど、メンテ費用が今までと同じ様に掛かるのなら、余り魅力的ではありませんが、DIYによるメンテナンスが家の全ての部位で出来れば画期的です。それを実現した家を見てみたいです。
by kappa (2008-12-15 23:51)
kappaさん、建築会社がどういった取り組みをするかで新築費用とメンテナンス費用のバランスはいかようにも変わります。(新築費用は従来に比べて安いが、メンテナンス費用は今まで以上にかかる200年住宅ちうのも理屈の上ではあり得ます。)
ただ長期に使い続けることが出来る建物というのが大命題なので、これまでと比べてメンテナンス費用が表に出て比較されやすくなる事により、メンテナンス費用を抑えるために「多少割高になろうとも確かな品質の新築を行おう」というのが、私の期待する「いわゆる200年住宅」です。
ただこれは法文が確定したから直ぐ出来るものではなく、実際の法の運用の問題や業界各社の対応の方法、お施主様の理解などによって複合的に成されるもので、どんな形になっていくかはまだ経過を見守っていかないとよく解らないのが正直なところです。
ただHMへの一極集中で壊れかけた建築業界では、手を拱いていても大半の工務店は滅びるのみで、せっかくこんな土俵を国が用意しつつある訳なので、変化に翻弄されるのではなく積極的に利用していただきたいというのが私の本音です。
200年という長期耐久性よりも、確かな職人が確かな材料と技術で次代に残す価値のある建物を普通に建てられる業界に成って欲しいと考えています。
nice! &コメント、ありがとうございました!
PS.
採択案件の詳細は申請者自身が情報公開しないとわからないので、具体的にどんな形でのDIY的な取り組みのものが採択されたかよく解りませんが、私も非常に興味津々です。
今後情報が出てくるのを楽しみにしています。
by たいせい (2008-12-16 13:30)
200年住宅はSE構法も採用されてましたので、
担当者から色々情報収集してます。
まだまだ道は遠そうですが・・・
by plusgate (2008-12-18 10:46)
plusgateさん、見識を持った有識者が審査する先導的モデル事業で言うところの「超長期住宅」と、お役所や認証機関が審査するであろう「長期優良住宅」では、同じ「200年住宅」と言う言葉が使われたとしても全く「似て異なるもの」になってしまうのではないか?と言う疑念が、今もって捨てられずにいます。
これから国土交通省のパブリックコメントなどの形で、本法の方の認定基準や運用方法など様々な情報が明らかになってくるかと思いますので、私も引き続き情報を注視したいと思っています。
(前回の建築基準法改正の際にも、法文では全く触れられず国会審議の際にも突っ込んだ議論がされてこなかった低層木造住宅でこれほど翁運用面での変化が起こるとは全く想像していませんでした。:4号特例の問題など、いまだに引きずっています)
nice! &コメント、ありがとうございました!
by たいせい (2008-12-19 11:47)
おはよう御座います。
ブログにご訪問頂き有り難う御座います。
此からも、お願い致します。
by チャッピィー (2009-01-09 06:58)
明けましておめでとうございます。
昨年末からブログを始めました、きっかけはリフォームです。
200年住宅、私も長期に渡り住めるように基礎の部分は
多少費用がかかってもと思っております。
もちろん住まいの内装もなるべく自然素材を使っての
リフォームです。
もともと重量鉄骨の家で残念ながら屋根が陸屋根で
瓦はないんですけど。
少しはこだわりの家にしたいと思っております。
リフォームは5月末まで、始まったばかりですので
ブログを参考にさせて頂きます。
よろしくお願いします。
by ドラ (2012-01-03 11:55)